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前ページ次ページ上条さんと美琴のいちゃいちゃSS/御坂美琴の消失 第9章 「ハッ!」 上条当麻は思わず声を上げた。 なぜなら白井黒子へ伸ばしていたはずの『右手』が、何もない空間へと、天へと伸ばしていたからだ。 即座に、視線を下に向けてみた。 あれだけボロボロだった体には傷一つなかった。 ついでに言うなら着ている服も違っていた。 (…………そうか、『遡行の儀式』そのものは成功した、ってわけか…………) 静かな闇の中、上条当麻はどこか物静かに、しかし、物悲しげにギュッと右拳を握った。 悔しかった。 今の自分が無傷であることに怒りすら湧いた。 白井黒子の、全身から血を吹き出させ、最後は崩れ落ちていった姿が見えたというのに、自分が何もできなかったことが悔しくて腹立たしかった。 あれは必要なことだったとはいえ、それでも上条はやるせない気持ちに臍を噛んだ。 しかし、それはほんのわずかな時間。 上条は心を落ち着かせることにした。 これから、ここで起こること。 しかし、それを阻止すること。 それが上条当麻の使命だ。 命がけで送り出してくれた白井黒子。 自身の消滅さえも厭わなかった一方通行。 『姉』を取り戻したいと懇願してきた御坂妹。 必ず帰ると約束したインデックス。 四人の思いに報いるために今やることは、己の不甲斐なさを嘆くことではない。 上条当麻は息を殺してその時を待つ。 正確な時間までは正直、分からないが、この闇が晴れる前に必ず『犯人』が行動を起こすその時が来るのを待つ。 上条同様、『遡行の儀式』という魔術を行使して、この時間に来ているはずの『犯人』が動き出すのを待ち続ける。 もし『犯人が行動を起こさない』なら、それはすでに『終わった後』ということになる。 できるなら上条は、そのようになることを望んでいた。 それならば、上条は『この時の上条当麻』がいつ、目覚めるかをだいたい分かっているので、その直前に行動を起こせばいいだけだからだ。 なぜ、上条は『犯人が行動を起こした後』、すなわち『犯人がすでに世界を変えた後』を望むのか。 それは、上条の優しさだった。 できるなら、犯人は何も知らないままで、元の時間に戻ってほしいのだ。 『遡行の儀式』のルール通り、ここで何をしたかを『忘れて』戻ってほしいのだ。 しかし、そうならない。 不幸体質の上条当麻が望むことは大抵裏切られてしまう。 (…………来たか…………) 上条は心の中で呟いた。いや、正確には嘆いた。 結局はこうなるのかと心苦しくなった。 それでも、犯人を見逃すわけにはいかない。犯人の行動を阻止しなければならない。 そうでなければ白井に、一方通行に、御坂妹に、インデックスに申し訳が立たないからだ。 変えられた世界を元に戻すと言った上条に、文字通り『自身の命をかけて』協力してくれた四人に失礼だからだ。 物音を立てず、そっと立ち上がる。 闇の向こうではかさかさという音が、おそらくは眠っていたなら聞こえないであろうほどの小さな音が響いていた。 全神経を尖らせていた上条だからこそ聞こえたと言えるほどの小さな音が鳴り響いた。 息を殺して、そのまま音のした方へと向かう。 そして――――― 「やっぱり、お前の仕業だったんだな…………」 声をかけられた相手は絶句して、即座に振り向いた。 上条は、闇に紛れている人物を見とめて、どこか、もの悲しげな視線を送っていた。 そして、静かに、ゆっくり歩みを進める。 相手は、突然の展開にその場を動けないようだった。 今回の御坂美琴消失事件の犯人。 いや、犯人と呼んでもいいものかどうか。 なぜなら、この人物はそこまで考えていなかったはずだからだ。 己の行動が、人の生死に関わるほど、未来を変えるなど想像だにしていなかったはずだからだ。 不意に部屋の中に月の光が差し込んできた。 柔らかく部屋の中に自然の、しかし、やや薄暗い明りが灯る。 しかし、その人物を浮かび上がらせるには充分だった。 「インデックス…………」 上条は静かにその名前を呟いた。 その口調には怒りはまったくない。あるのは虚しさだけだ。 白い太ももを露わにしたYシャツ一枚に見えるその姿はどこか扇情的に映ったが、今の上条に下世話な気持ちは露ほども湧かなかった。 「一番、最初に気付くべきだったよ…………俺の財布に『二千円札』が残っていたときにさ…………」 場所は八月二十日の丑三つ時の上条当麻の部屋だった。 「数日前にお前に話したことが仇になっちまってたとはな…………」 だから、上条当麻に怒りは湧かない。 上条自身が己の、軽率とは言えないが、あの時の発言が今回の事件を引き起こしてしまったからだ。 数日前。 上条は、美琴との関係について、しつこく問い詰めてくるインデックスに、つい美琴との出会いからこれまでを詳細に話してしまっていた。 何でも無い、単なるケンカ友達で気の合う女友達、そう言っても信じてもらえなかったから。 詳細に話すことで、自分の言葉に嘘がないことを証明したかったから。 時は八月二十日、場所は自販機のある公園。『二千円札』を自販機に飲み込まれて、難儀していたところに声をかけられた。 美琴との関係が始まりを告げたのはこの出会いからだったというところから話した。 そう、たったこれだけで二人は出会ったのだ。 しかし、その『二千円札』が無ければ、上条当麻と御坂美琴が出会うことはなかったのだ。 なぜなら、上条当麻に七月二十八日以前の記憶はない。 御坂美琴と本当に初めて出会った六月中旬の記憶、そしてその後の勝負という名のケンカの数々、 この記憶が、上条には『無い』のだ。 美琴の方から声をかけてこない限り、『再会』という名の『出会い』の可能性はなかったのだ。 もし、自販機に硬貨を滑り込ませることができたなら。 もし、自販機に『千円札』を入れることができたなら。 上条は、ぼやくことも声を上げることも無く、ジュースを持って自販機を離れていったか、財布に中身が無ければ諦めたか、しただろう。 美琴は、上条の声に気付くことなく、上条がいなくなった自販機に蹴りを入れていたことだろう。 『二千円札』だったからこそ、呑まれてしまったのだ。 それが上条を自販機の前に必要以上の時間で立ち止まらせたのだ。 だから、インデックスは過去に遡り、『八月十九日から八月二十日の寝静まった時間』に上条の財布の中から『二千円札』を抜いた。 上条が起きてくる前に、『八月二十日に持っていく』財布の中に『二千円札』を置かなかった。 この日以外で『上条当麻の財布の中に二千円札が残っている日』を知らなかったから。 確実に、美琴と出会う日であることを知っていたから。 御坂美琴と上条当麻の出会いを導いた、たった一つの手段『二千円札』。 しかし、その『二千円札』が無かったばっかりに、二人は出会わなかったのだ。 翌日に二人は会っているが、あれは上条から声をかけたからだ。 上条と美琴が出会っていなければ、上条は飛空船を眺める美琴の背後を歩くだけに終わっている。 美琴は、前日のショックと思いつめた気持ちで周りに気を配ることなどできないほど追いつめられている。 だから互いに視線を合わせない限りすれ違うだけで終わる。 妹達と美琴は公園で出会う。美琴が公園に行った段階でそれは必然となる。 妹達は公園の一角で子猫に気付いたから必ず出会う。 公園の一角で美琴が子猫を愛でている妹達を必ず見つける。 だから美琴と妹達は出会うのだ。 しかし、上条と美琴は『二千円札の事件』が無ければお互いに気付くことはなかった。 あれば、笑い話ですまされた『二千円札』なのに。 わずか数分、いや、もしかしたら一分にも満たなかったかもしれない時間なのに。 この出会いが無かったばかりに、結果、上条当麻はその世界がどうなったかを知っている。 このインデックスが『知らない』世界の顛末を知っている。 四ヶ月後のインデックスが、自身の行動を『覚えていなかった』のは『遡行の儀式』のためだった。 『過去の意識』と『現在の意識』を入れ替えて時間を遡る『遡行の儀式』では、『変えられた世界=過去の意識』の延長線上に『現在の意識』があるからだ。 だからこそ、インデックスは上条当麻に『遡行の儀式』のことを何の躊躇も憂いも後ろめたさもなく詳細に伝えることができたのだ。 「とうま……どうしてここに…………」 か細いインデックスの声。 もちろん、このインデックスは上条当麻がなぜ、この場にいるのかを分かっている。 もちろん、このインデックスは上条当麻がどうやってこの場に現れたのかを知っている。 にも拘らずインデックスは問いかける。 「お前を――――止めに来た」 予想通りの答えだった。 そして、言ってほしくない答えだった。 「とうま…………」 だから、インデックスはうな垂れる。 だから、インデックスは伏せ目になる。 「お前の気持ちに気付かなかった俺の責任だからだ」 上条は答えた。 「本当に……私の気持ちに気付いているのかな…………?」 「…………それは分からねえ……けど、お前が寂しい思いをしていた、って気持ちに気付いてやれなかったのは俺の責任だ」 「…………………」 上条とインデックスの間に沈黙が訪れる。 気まずいというよりは重いという沈黙が。 今にも泣き出しそうな表情を浮かべるインデックスに上条は、いつの間にか怒りを感じていた。 御坂美琴が殺されて。 御坂妹が嘆き悲しんでいて。 一方通行が孤独のどん底まで堕とされてしまっていて。 白井黒子は、己の存在さえも否定して。 それは、世界的に見ればわずか四人しかいない変化かもしれない。 例え、御坂美琴がいなくとも世界はそこまで変化しないとしても。 それでも、居るべき人物がいない世界の悲しさを生み出したインデックスに上条は怒りを感じていた。 正確には、インデックスをそうさせてしまった自分に怒りを感じていた。 そう。 インデックスは寂しかったのだ。それも気が狂いそうになるくらい寂しかったのだ。 一年と半年以上前の記憶が無いインデックスにとって、上条当麻はすべてだった。 今でこそ、魔術サイドにも科学サイドにも『友人』と呼べる存在は多々いるが、それでもそれはすべて上条当麻によってもたらされたものであることをインデックスは分かっているのだ。 だからこそ。 インデックスは上条当麻の傍に居たがる。 インデックスは上条当麻の傍から離れられない。 そんな純真で真っ白で穢れを知らない気持ちが。 上条当麻を一人占めしたいではなく、上条当麻と一緒にいたい、ただそれだけの思いのために起こった今回の事件だったのだ。 極寒の北極海から戻ってきて以来、 上条当麻の、自分よりも御坂美琴を優先させているような行動が、心に深く突き刺さってしまっていたのだ。 御坂美琴の、彼女だけが自ら上条当麻を誘い、またそれに乗る上条の行動に恐怖を感じてしまっていたのだ。 だからこそ。 インデックスは、『八月二十日に上条と美琴が出会っていない』世界を作ろうとしたのである。 まさかそれが、御坂美琴の命を奪うなどとは微塵も思ってもいなかったにも拘らず。 仮に、八月二十一日以後も、美琴が生きていたとしても、『妹達の一件』が無ければ美琴はそこまで上条を意識することはない。なぜなら、七月二十日に会って以来、二人は一ヶ月以上も会っておらず、また、この間、美琴は、幻想御手を皮切りに、テレスティーナや相園美央など結構、ハードな戦いをこなしていて、しかも、その時は、上条には一切頼ろうとしなかったことからも、妹達の事件まで、上条を当てにしている以前に、その存在すら片隅にも無かった節があって、しかも、美琴の認識としても上条は『何が何でも勝ちたいケンカ友達』でしかなかった。 そして、海原光貴=エツァリが御坂美琴に近づいた元々の理由は『上条当麻の知り合い』が前提なので、一ヶ月以上も顔を合わせていない人物をマークするはずもないから『八月三十一日』の恋人ごっこもなく、『九月一日に出会う』としても、妹達の一件がない限り、美琴が上条を異性として見ている可能性は低いと言えるので、上条とインデックスが絡み合って倒れていようが、白井同様、『どうでもいい顔』をしたことだろう。 ゆえに、上条当麻と御坂美琴が『八月二十日に出会わない』限り、インデックスの憂いはあり得ないと言えた。 (くそったれ…………) 上条は臍を噛みながら心の中で呟く。 こんなインデックスの表情を見せられて、 こんなインデックスの気持ちを見せられて、 上条の心が揺れる。 インデックスが変革した世界と元の世界。 どちらが正しい世界なのか、心が揺れる。 客観的に考えれば、 冷静に見つめれば、 それは間違いなく元の世界だ。 たった一人の我が侭で構築された世界などあってはならないのだ。 しかし、である。 では、インデックスが変革した世界にどんな不備があった? 確かに御坂美琴はいない。 では、その他は? 一方通行は前人未到のレベル6に到達していた。 白井黒子は八人目のレベル5に進化していた。 御坂妹は、軍事利用されることなく『普通の人間』としての扱いを受けていた。御坂妹が常盤台の学生寮にいたのはそれが理由だった。 それは悪いことなのか? 美琴が居ない悲しみを背負っていたが、それは人として生きていく限り、決して逃れることができない運命であり、同時に時間が解決してくれることでもあるのだ。 上条と出会うまでは孤独だった一方通行だって、これからは上条が友人になってやれば済むことだ。 そして、周りの世界は何一つ変わっていなかった。上条が関わったイベントは全てクリアされていた。 おそらく、元の世界で知り合った友人知人は、インデックスが変革した世界でも知り合っていることだろう。 どこに不備がある? 上条の心は揺れる。 インデックスは上条がこの場に現れるであろうことが『分かっていながら』世界を変革した。 魔術による世界構築なら、上条当麻には作用しないことを『分かっていながら』だ。 つまり、それは上条当麻に『最初から』選択権を委ねていたのだ。 元の世界とインデックスが変革した世界、どちらがいいか選んでほしいというシナリオだったのだ。 そこで、上条当麻は自分に問いかける。 自分はどう考えていたんだ、と。 元の世界を、正確に言えば『御坂美琴がいる世界』をどう思っていたんだ、と。 間違いなく美琴は頼りになる。戦闘力はもちろん、記憶喪失であることを知っていながら、それでも上条の味方になってくれる唯一の奴だってことは確かだ。 しかし、それは戦場での話だ。インデックスが変革した世界でも代替は居た話だ。 では普段はどうだった? 美琴に事ある度に因縁をふっかけられて追いかけまわされて、無理矢理付き合わせられたことがほとんどだった日常をどう思っていた? 上条は反芻して、 うんざりだ。 いい加減にしろ。 アホか。 そろそろ付き合い切れねえぞ。 浮かんだ単語はこれらだったのだが、 (………………本当にそうか?) 上条の心がじくりと痛む。 心ならずも面倒ごとを持ちかけられる美琴とのイベント。それを嫌々付き合ってやる心優しい年上のお兄さん。それが上条当麻のスタンスだったはずだ。 はずだったのだ。 上条当麻は自分に問いかける。 いいか、俺、重要な問題だから心して聞け、そして答えろと自分自身に言い聞かせて問いかける。 ――――そんな御坂美琴との邂逅を、お前は楽しいと思わなかったのか? 答えろ。考えろ。 心の内からそんな声が聞こえてくる。 本音を言ってみろよ、という声が聞こえてくる。 御坂に付き合わされて何があった? 電撃付きの追いかけっこに、ウザったい勝負という名のケンカの連戦、窃盗の片棒を担がされて、恋人ごっこを強要されて、アステカの魔術師からは命を狙われて、大覇星祭で無理矢理借りモノ競走で走らされて、罰ゲームに付き合わされて、御坂の後輩・白井黒子には後頭部にドロップキックをかまされて、毎回毎回インデックスには咀嚼される始末。 うんざりでいい加減にしてほしくてアホかと思って付き合い切れない、か―――はん、そうかい。なら、お前はこう思っているんだな。 ――――こんなもん、全然面白くねえぜ。 上条の内なる声が。 もう一人の上条の声が心に言い募ってくる。 そうだろ? そういうことになるじゃないか。お前が真実、御坂をウザイと感じて、突っかかって来る御坂の全てが鬱陶しいんだとしたら、お前はそれを面白いなどとは思わないはずだよな? 違うとは言わせねえぞ。明らかだろうが。 しかし、お前は楽しんでいた。お前は御坂と一緒にいることが楽しかったんだよ。 なぜかと言うか? 教えてやるよ。 ――――お前は白井の問いに真実を答えたじゃないか。 世界をこのままにするか元に戻すかの選択肢、白井が聞いてきた御坂美琴の上条当麻人物評。 白井黒子から聞いたか、御坂美琴から聞いたか。 その問いに、お前は『白井黒子から聞いた』を選んだんだ。 だろうが。 せっかくインデックスが御坂のいない平穏で、ともすれば何人かは前の世界よりも良い待遇になってる世界に変革してくれたってのに、お前はそれを否定したんだ。 八月二十日に御坂と出会って以来、何度も何度も因縁をふっかけられてきた鬱陶しい世界の方をお前は肯定したんだよ。 御坂と顔を合わせれば、ほとんど、ケンカを売られたり電撃を浴びせられたり厄介事を持ちかけられたりした世界に戻りたいと思ったんだよ。 何でだおい? お前はいつも御坂と関わることを避けようとしてきたじゃないか、御坂と出会った己の不幸を嘆いていたじゃないか。 だったらよ。白井の問いに「御坂から聞いた」って言えば良かったんだよ。嘘を吐き続けたっていいじゃないか。御坂がいなくても、一方通行や御坂妹、白井黒子とは知り合いになれるし、お前と御坂妹が間に立てば一方通行にだって友達ができる世界で生活できたんだ。 そこでは、一方通行は前人未到のレベル6に到達していて、白井黒子は八人目のレベル5に進化していて、御坂妹は軍事利用されることなく『普通の少女』として生活できて、そしてインデックスは寂しさを感じることも世界を変えようなどと大それたことを思うこともなくお前の傍にいられる世界だったんだぞ。 そう言った別の日常をお前は放棄したんだ。 もう一人の上条当麻が上条当麻の心に語り続ける最中、不意に上条は闇に包まれた改札口に立っていた自分に気が付いた。 進むか引き返すか。 その境界線に立っていた。 「…………!」 つい、と腕の裾が引っ張られている。 一度、ハッとした上条ではあったが、摘まんでいる相手は誰か分かっている。 声をかけてはこないが誰なのかを分かっている。 振り向かなくても誰なのかを分かっている。 引き留めているのが誰なのかを分かっている。 心細く、しかし、精いっぱいの勇気を振り絞っている思いがそこから伝わってくる。 一瞬、闇の中に冷たい風が吹いた気がした。 一瞬、雪がちらついたような気がした。 しかし、再び心の声が聞こえてくる。一時の感情で判断するなという含みを持って。 いいか。俺はお前の気持ちに聞いている。 言っておくが、白井黒子、一方通行、御坂妹が嘆き悲しんでいたから、とか言い訳するんじゃないぞ。 それだったら、時間遡行してまで、しかも危険を冒してまで御坂美琴を取り戻そうとする理由にならないし、第一、世界を元に戻すよう協力要請したのはお前の方だ。 そうだろうが。お前は今まで、自分の命よりも他人の命を優先してきたから自覚はないかもしれないが、御坂美琴が鬱陶しいなら、御坂美琴を慕い寵愛する白井に全てを任せてしまえば良かったはずなのに、お前は『自分の意思』で御坂美琴を助け出すことを選んだんだ。 それは何故だ? 上条当麻の内なる声が上条当麻の心に訴えかけてくる。 後頭部を誰かに強引に踏みつけられて力づくで押さえつけられたような気がした。 もう一度訊くぞ。これで最後だ。 お前は御坂美琴に絡まれる日常を楽しいと思ってたんじゃないのか? 言えよ。 「――――当たり前だ」 上条当麻は答えた。 無理矢理、顔を上げ、己を押さえつけてくる『自分自身』にはっきりと答えるために力づくで立ち上がろうとする。 「楽しかったに決まってるじゃねえか。解り切ったことを訊いてくるな!」 上条が心の内で吼えた刹那、自分を踏みつけていた自分はガラスが割れたような乾いていてなおかつ澄んだ音を立てて砕け散った。 同時に、上条の腕の袖を摘まんでいた手も振りほどいて、改札の向こうへと進む。 生まれつき、幻想殺しの所為で不幸を背負って生きている俺に所構わずちょっかいかけてくる女だぞ。 記憶喪失であることを知っていて、それでも、おそらくは記憶喪失前と同じ対応をしてくれる女だぞ。 不幸体質の俺に、インデックスを含めても他にはいない、『自分から』声をかけてきてくれる女だぞ。 そんな女の子が気にならないと言ったら嘘になるに決まっているだろう。 だからこそ、俺はこの場にいる。 こればっかりは『不幸だから』で切り捨てられないことだ。 御坂美琴だけは『不幸だから』で遠ざけたくない存在なんだ。 だからこそ―――― 気がつけば目の前に無言で佇む御坂美琴がいた。 場所は、美琴と『初めて』出会った自販機の前だった。 もちろん、現実ではなく上条の心の中だ。 不意に二人を柔らかい日差しが照らしてきた。 まるで上条のもやもやした心を晴れやかにするかのように。 上条は、インデックスが変革した世界を否定したのではなく、御坂美琴のいない世界を否定したのだ。 どこか、心がすっとした気がした。 上条当麻の腹は決まった。 「インデックス。俺は元の世界の方がいい。みんながいてみんなが笑ってみんなが馬鹿やっている世界、そこには御坂だって含まれる。俺はそのためにここに来た」 インデックスを真っ直ぐ見つめて。 真摯な瞳で、 上条当麻はインデックスにきっぱりと優しく宣言する。 「とうま…………」 「だから、その『二千円札』を財布に戻すんだ。それですべてが元通りになる」 「…………………」 「心配すんな。こういうことをしたからって俺は別にお前を嫌いになったりなんかしないし、これまで通り、一緒に暮らすこともやめない。お前が俺のことを嫌いにならない限り、俺からお前を追い出すようなことは絶対にしない」 言って、にかっと笑う上条。 「ズルイんだよ…………」 インデックスは右手に持っている『二千円札』を左手に持っている『財布』に戻そうとして、 「…………そんな顔で言われたら、とうまの言うことを聞かない訳にはいかないかも…………」 インデックスの瞳から一滴、涙が落ちる。 しかし、それは悲しみの涙ではない。 「でも、とうま約束して…………」 「ん?」 「いつの日か…………とうまは、短髪か私を選ぶ日が必ず来る…………今のとうまじゃ意味が分からないかもしれないけど…………そんなに遠くない将来、この言葉の意味が分かる日が必ず来るから…………」 インデックスは、ぐっと前を向いた。 まだ涙目ではあったが、それでも強い意志が宿った瞳で上条を見据えた。 「どんな選択だとしても、私と短髪、二人とも納得させられる答えを見せるんだよ。じゃないと私も短髪もとうまを絶対に許さないかも」 インデックスの問いかけに、上条は、確かにインデックスの言った通りで意味が少し分からないので、ちょっと苦笑を浮かべて頷きかけようとして、 それに気付いたのは『背中にいきなり走った灼熱感』からだった。 「…………がっ!?」 突然の『熱さ』に上条は背中に『右手』を当ててしゃがみ込む。 しかし、『右手』を持ってしてもこの灼熱感は消えない。 「まったく……あれほどインデックスを泣かせるな、と言ってあったのに、何をやっているのかな? きみは」 と同時に聞こえてくる声。 ついさっきまで後ろにあった気配が、今はすぐ目の前にある。 無理矢理、顔を上げてみれば、そこにいたのは、赤髪長髪で顔にバーコードを付けて煙草をふかしている長身の黒い神父だった。 「て、てめえ……どうしてここに…………?」 「んー……決まっているだろ。インデックスに協力するためさ」 「なん、だと…………?」 「忘れたのかい? インデックスは魔術を使えない。ならば、どうしてそのインデックスが『遡行の儀式』を遂行できたのか。答えは『協力者がいた』以外ないと思うが」 ステイル=マグヌスの興味なさそうな説明を聞いて、上条はインデックスを見やった。 ステイルの後ろにいるインデックスは、ステイルの行動に驚いて声を失っているようだった。 まさか、上条に切りつけるとは思ってもみなかったのだろう。 「僕ときみはこの時期に『三沢塾』の一件を片付けた。なら、『この日』に『僕』が学園都市にいてもおかしくないはずなんだけど…………きみは忘れていたのかい?」 言って、無造作に『炎の剣』を下段に構えるステイル。 しかし、上条当麻は一撃目のダメージが思っている以上に大きく、ガクガクして体が動かない。 「何、心配することはない。この炎の剣では肉体に損傷を与えることはできないよ。単に『意識を飛ばす』だけのものだ。まあ、一撃で仕留めたかったんだけど、インデックスの手前、あまりきみを無碍にできないところもあってね。ちゃんと説明してから『元の時間』に戻してあげよう、そう思ったんだ」 (くそったれ……それで、意識が遠くなってきやがるのか……マズイ……今のまま、元の時間に戻ったら…………) そう。今度は上条当麻自身も『変換された時間の流れ』に呑み込まれてしまう。 なぜなら、ここにいる上条当麻は『意識』を『この時間の上条当麻』と交換している存在だからだ。 元々、『御坂美琴のいない世界』から八月二十一日にタイムスリップしたので、『遡行の儀式』のルール通り、四ヶ月先からこの世界と意識交換したことになるから。 『意識』には『幻想殺し』は作用しないのだ。 ゆえに今、意識を失うのは絶対にマズイ。 もしかしたらステイルの舌先三寸で再び、インデックスが財布から『二千円札』を抜きとる可能性があり、しかも、それは『確認できない』のだ。 「では、とどめといこうかな? 先に四ヶ月後に行っているといい」 「くっ…………」 ステイルが無造作に近づけるのは、上条が身動きできないからだ。 もう右手を翳すことができないからだ。 しかも、上条の意識がどんどん遠のいていく。 (や、やば…………) ステイルが振りかぶる。 「インデックスが作った世界を否定するなど僕が許さない」 静かに呟いて、 炎の刃が振り下ろされて―――― 刹那、上条の頬をなでて閃光が走る! 「何っ!?」 ステイルが驚愕の声を上げると同時に、閃光が炎の刃を粉砕した。 (な、何だ…………?) 薄れゆく意識の中、上条は必死に覚醒しようとした。 混濁した意識の中、目の前に、ベージュのブレザーとチェックの入ったプリーツスカートを翻す少女が、肩までの長さの亜麻色の髪が上条の前に飛び出してきた勢いで揺らいでいたのが見えた。 (だ、誰だ…………?) 心の内だけで呟くと、今度は、首筋に走る衝撃。 そして、 「すまねえな。正確な時間を忘れちまったんであてずっぽうに飛んだんだがどうやら間に合ってよかったぜ。だから気にするな。俺もヤバいと思ったさ。まあ後のことは俺たちがなんとかする。いや、どうにかなることはもう分かっているんだ。お前にもいずれ解る。だから今は安心して眠れ」 (何だ? 誰だ? どうなってるんだ?) 上条は朦朧とする中、恐れ慄いた表情を浮かべるステイルと、今にも泣きそうなインデックスの顔と、全身を火花でスパークさせている快活そうな少女と、その隣に並んで立ったツインテールの少女が見えた気がして―――― そのまま、上条当麻は気を失った。 前ページ次ページ上条さんと美琴のいちゃいちゃSS/御坂美琴の消失
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美琴「新しいかっこいい必殺技が欲しい」(短編)(打ち切り) 美琴「お願い!今日一日でいいから、私の“代わり”になってくれない?」(短編) 美琴「黒子、アンタってさぁ…彼女とかいないの?」 黒子「はい?」 (短編) 美琴「ちょっとアンタ!」禁書「なぁに?」(短編)② 禁美琴「あ、アイツの事どう思ってんのよ?」超美琴「べ、別に…」 オッレルス「わが家へようこそ!」(短編)② 上条「アクセラにいちゃん」 (短編) 上条「アンタは私のものになんのよ」美琴「……不幸だ」(短編)② 上条「二人で一緒に逃げよう」 美琴「………うん」(長編)(連載中)② 上条「美琴ってMだよな・・・・・・」(短編)(オムニバス)18禁 佐天「きまぐれ」 初春「れぐまき」(短編)②③④
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【種別】 人名 【初出】 一巻 【CV】 佐藤 利奈 【概要】 【人物】【世間からの評判】 【性格】【上条との関係】 【食蜂との関係】 【『妹達』との関係】 【能力・スキル】【超能力者(レベル5)入りと『超電磁砲』の誕生】 【学力・知能】 【作中での行動】 【口調】 【余談】 【概要】 学園都市第三位の超能力者(レベル5)にして、「常盤台中学のエース」の異名を取る少女。中学2年生。 本編『とある魔術の禁書目録』ではヒロインの一人、 外伝『とある科学の超電磁砲』では主人公を務める。 【人物】 誕生日...5月2日 身長...161cm 体重...45kg 血液型...AB型 スリーサイズ...78・56・79(胸の事に関してはかなり気にしている模様)。 なお、現実の女子中学生を基準にしてみると胸囲は僅かに平均を上回っており、 身長が中学生で160台になっているのを見る限りモデル体型として理想的なスタイル。 コンプレックスなのは比較対象が悪すぎるだけである。もしくはあちらの世界の水準が高いか。 父は御坂旅掛、母は御坂美鈴。 母である美鈴の事は「ママ」と呼んでいる。 ちなみに「ママ」と呼んでいるのは決して親離れできていない訳ではないらしい(本人の発言より)。 父の旅掛がどこでなにやっているかは知らない模様。 こちらは「パパ」と呼んでおり、父親についての話になると遠くをみつめるような目になる。 記憶喪失前の上条には「ビリビリ」や「ビリビリ中学生」、 記憶喪失後に付き合いの増えた上条には普段は「御坂」と呼ばれている。 しかし、ぞんざいな扱いをされる時は変わらず「ビリビリ」呼ばわりされる事も。 また、白井黒子等、彼女を敬愛する後輩からは「お姉様」と呼ばれている。 これに合わせているのか、妹達からは「お姉様」と書いてオリジナルと呼ばれる。 漫画好きであり、自称「漫画大好き美琴センセー」。 毎週月曜日と水曜日に漫画雑誌を立ち読みしているようだ。毎月十日は本屋に行く。 美琴はヴァイオリンを嗜んでいるが、初春が「持っているヴァイオリンケースだけでも骨董的な価値がありそうだ」と感じていたり、 そのヴァイオリンを預けたり服を着替えたりするためだけに高級シティホテルの部屋をロッカーや更衣室代わりにする、 数千円の高級ホットドックを躊躇いなくおごる……などなど、 その行動は結構なブルジョワジーで、金銭感覚が一般人とはややズレている面もある。 本人は自覚していないが、意外と魔術や魔術師と触れ合う事が多い能力者でもある。 しかし学園都市の頂点である能力者でもある為か、基本は魔術、オカルトといった類のものは信じようとしない。 第三次世界大戦やハワイでの騒動で、「学園都市の超能力とは違う法則の力があるらしい」と薄々分かってはいるものの、未だにオカルトとは認めていない。 夏休み前にあった能力実演旅行にて、レッサーが使用した厚紙での通信魔術を見て「新素材の携帯」と認識したり、 ベツレヘムの星や雲海の蛇といったものを見ても、ロボットなどと自分なりに解釈してきている。 このようなところもあって、レッサーからは「ガッチガチの科学脳」と言われた。 (その後『新約』に入り、特に去鳴と出会ってからは少し「道を踏み外し」つつある。詳しくは後述) 本作のメインヒロインであるインデックスとの仲はそれほど良くはない。 インデックスは美琴を名前ではなく「短髪」と雑な呼び方をしており、美琴からもその呼び方を突っ込まれている。 とはいえ後述の食蜂と同様、根本的に分かり合えないというわけではなく、 新約八巻では彼女達の得意分野を組み合わせた見事な連携を見せている。 【世間からの評判】 「レベル1からレベル5までのぼりつめた『超電磁砲』」 「名門・常盤台中学のエース」 そうした立ち位置から、美琴の名と顔は学園都市内では広く知れ渡っている。 また、「隠しても隠しきれない人格破綻者だらけ」とされるレベル5の中では数少ない、 比較的まともな人格を有している人物であることから、 一般に属する上層部や組織からは「学園都市の顔(広告塔)」として期待されている模様。 しかし、その絶大な知名度と彼女の奔放な行動が仇となって、 「御坂さんっぽい人が自販機を蹴っていた」 「御坂さんに似た人が男子高校生を追い回している」 「御坂さんらしき人が路地裏でサバゲーをしている」 といった不名誉な目撃情報が常盤台中学に報告されているなど、良くも悪くも懸念材料になっている。 「御坂さんだと思って声をかけようとしたら、別の方向から御坂さんが現れた」 【性格】 竹を割ったようなさっぱりした性格で、良くも悪くも直情的。 頭よりも先に体が動くタイプで、気が短く、年上相手であってもタメ口を利く等(超電磁砲S3話では高校生の布束にタメ口を注意されていた)、 お嬢様学校を代表する人物とは思えない程、勝気で活発で奔放。 その反面、ヴァイオリン演奏を得意とするなどお嬢様らしい一面も数多く持ち合わせており、 レベル5の超能力者である事も相まって、多くの後輩や同輩から羨望の眼差しを向けられている。 それ故に、気軽に話が出来る友人が少なく、 黒子からは「輪の中心に立つことは出来ても、輪に混ざることはできない」と評されている。 本人も周囲から特別扱いされる事を嫌っており、 その裏返し故か、誰に対してでも分け隔てなく接しようとする一面が見られる。 また、頭より先に体が動く点、自分の損得に関係なく(「義憤」か「本能」かという違いはあれど)人助けに動く点、 周りを巻き込まず自分一人で事件を解決しようとする点など、性格的な面は上条当麻と酷似している。 寂しがり屋なところがあり、カエルのマスコット「ゲコ太」や小動物といった可愛らしいものを好むが、 彼女が常に放っている微弱な電磁波を恐れて、動物から避けられてしまうという悩みも持つ。 可愛いもの好きはパジャマや下着等のセンスにも表れており、 特に下着は趣味が子供っぽ過ぎるため、美琴信者である黒子ですら引いていた。 【上条との関係】 美琴と上条の出会いは『禁書目録』本編一巻冒頭の約一ヶ月前(おそらく6月17日~19日前後)、 路上で不良に絡まれていた所に上条が割り込んで来た事から始まる。 少なくとも、この頃から美琴が上条を追いかけ回すなど、二人の因縁は続いている。 (これは食蜂操祈と上条が出会った『1年前の8月』の約10ヶ月後に相当する) 『妹達』の一件が解決して以降は、上条に対して次第に強い恋愛感情を抱くようになっており、 彼の存在そのものが美琴の精神の根幹に関わっている。 感情が自分だけの現実に影響を及ぼしているのか、 上条の前では能力の制御が利かなくなり、『漏電』のような状態になることもある。 ことあるごとに上条との接点を作ろうと努力しているが、 素直になれない性格や上条の鈍さ、互いの不運も手伝って中々距離を縮められずにいる。 鎌池氏曰く、「上条の出番やセリフは無くても、美琴が登場すると上条のシルエットがボヤッと出てくる」。 「上条は美琴の根幹に関わるキャラクター」であり「美琴の中で上条が息づいている」とのこと。 また、一方通行と同様、時間の経過と共にメンタルが急速に変化・成長していくキャラクターでもあるという。 「上条への恋心」も彼女の重要な存在理由であるが、「学園都市という闇を抱えた場所の平和を守る」 というのも彼女の核であり、美琴視点で描かれる『超電磁砲』においてはその面が強く表れている。 【食蜂との関係】 常盤台中学の同級生かつ同じ超能力者(レベル5)の食蜂操祈とは犬猿の仲。 『禁書目録』小説扉絵でのキャラ紹介曰く、「食蜂が嫌い」「美琴が嫌い」。 食蜂との出会いは常盤台中学に入学して少したった五月の末頃。 直接対面するまでは「お人形さんみたいな綺麗な子」という好意的な印象を持っていたが、 校舎内の廊下で偶然にも対面した際、とある複雑な事情を抱えていた食蜂から 「あなたの顔見たくないの 私の視界に入って来ないでもらえるかしらぁ?」 と言われたことで喧嘩を売られたと認識し口論となり、それ以後ギスギスした関係が続いている。 ただ、その口論や喧嘩の内容は実に子供っぽいもので、一年生当時の美琴の友人から、 「なんだコレ?」「できれば(喧嘩を)見たくなかった 低レベルすぎて」と言われるありさま。 また、食蜂が持つ精神操作系能力である心理掌握(メンタルアウト)は、 美琴が自らの身体の周囲に常に発している微弱な電磁波によって干渉が起きるようで、 食蜂は通常、美琴を操ったり記憶を覗いたりすることができない。 過去の事情や、「何考えてんだかわからない」美琴に対しての警戒心があり、 同様に美琴も食蜂を警戒したり疑ったりする部分があったため、 中学校二年生の夏頃には互いにかなり激しく敵視し合った時期もあった。 大覇星祭後は、『妹達』に絡む後述の事件の解決のため共に奔走したことや、 食蜂が抱え続けていたことの一つが解決したこともあって、両者とも素直になれないながらも、 「上条と共にいたい」「妹達を守りたい」という二人の共通点がきっかけとなって、 少しずつながらも互いに歩み寄りつつあり、傍からは親しく見えるほどに至っている。 他方、二人の能力を組み合わせた場合の相性はとても良い。 電子機器のクラッキングと、心理掌握による記憶の操作・捏造・改竄など、コンビを組むと特に証拠隠滅に関しては最高の結果を発揮する。 お互いの得意分野を組み合わせた、液状被覆超電磁砲(リキッドプルーフレールガン)という『合体』技も存在する。 【『妹達』との関係】 自身のDNAマップから生み出された体細胞クローン・『妹達(シスターズ)』に関して、 幼少期に詐取されたものといえど、結果的に一万人を超えるクローン殺害に発展してしまったと認識、 ある種の負い目や責任感を抱いており、同時にその非人道的な『実験』に対しての怒りを強く感じていた。 現在でも「山のように積み上げられた無機質なマネキンの中で溺れる悪夢」(*1)を見ることがあるという。 『実験』が中止になって以後、生き残った妹達の扱いや保護について関わってはいないが、 妹達の現状や今後については美琴としても気にかけており、 彼女たちが一人ひとりの個性ある人間として一般社会で生きていける将来を望んでいる。 学園都市内に残りカエル顔の医者の病院で暮らしている妹達、 特にミサカ10032号(御坂妹)とは街中でもたびたび顔を合わせているほか、 病院にも様子を見に行くことがあり、現在では「姉妹」として接している。 『大覇星祭』の事件の記憶が消されておらず「妹」の存在を知っている婚后光子に対しても、「私の妹」として紹介している。 【能力・スキル】 電気系能力者・電撃使い(エレクトロマスター)の中では文字通り最強、頂点の存在であり、 能力の象徴として彼女の必殺技の『超電磁砲(レールガン)』を自らの能力名として名乗っている。 代名詞的な技でもある超電磁砲はもちろん、砂鉄の剣や落雷、雷撃の槍など様々な攻撃技を持つ。 これらの派手な技の数々に隠れがちだが、 彼女の真の強さは電子・磁力を自由自在に操る能力を活かして、 複数の用途で多角的に敵を叩く「手数の多さ」にある。 本人も多角的な用途こそが自身の能力の真骨頂と心得ており、 取るべき手段は『超電磁砲』一つだけに決して拘らない。 そのため非常に戦略性の高い戦闘が可能であり、 圧倒的に不利な状況でも、作戦や地の利を生かして敵を翻弄し活路を見出していく。 能力を活かした高度なハッキング技術も持っており、 トップクラスの情報処理能力を持つ初春に捨て身の防衛策を講じさせる程である。 そのハッキング技術を生かした大規模なサイバーテロも実行可能で、 絶対能力進化計画を巡る破壊工作では、実験施設の7割を一晩で再起不能の状態に持ち込んだ。 身体能力も高く、特にスタミナに関しては女子中学生という枠を外して考えても驚異的なレベル。 これは上条と勝負し、その後一晩追いかけ回した事や、 連日連夜にわたる絶対能力進化実験阻止工作で疲労しながらも研究施設の防衛をしていたアイテムを退け、 翌日も活動していたことなどからうかがい知ることが出来る。 ただし、無限にその力を使い続けられるわけではなく、あまりに能力や体力を消耗し続けると、 スタミナ切れをおこして行動不能になってしまうことがある。通称「電池切れ」。 木山春生・幻想猛獣戦などで、電池切れ状態になっている様が確認できる。 格闘など、能力に頼らない生身の戦闘技術も高い。 シャワールームで頭上からドロップキックをしかけてきた黒子を素手で返り討ちにできるほど。 暗部で長い間その手の仕事に従事していたフレンダに肉弾戦を持ち込まれた際は、 火花を一切起こしてはいけないという状況に追い込まれ思うように身動きが取れず追い詰められるが、 目立った怪我一つ負うことなく時間を稼ぎ、結果逆転へと持ち込んだ。 麦野沈利との戦いではその能力・身体能力・格闘技術をフルに生かしており、 麦野の原子崩しを自身の能力で曲げたり、 至近距離から発射された4発の原子崩しは身体能力で全弾回避し、 麦野の高い身体能力を持って放たれる蹴りも数度に渡って的確にガードし、 最後まで致命傷を負うことはなかった。 そして猟犬部隊、上条当麻襲撃部隊、ロシア軍独立部隊といった武装組織相手の戦闘では自身の能力で一蹴し、 「一人で軍隊と戦えるほどの力を持つ」というレベル5の評価を見事に体現した。 このように、御坂美琴は戦闘に必要な多くの才能に恵まれた人物と言えるが、 彼女の本質はあくまで学園都市の「表」の住人であり正義感が強く、殺人に手を染める性格ではない。 その点では暗部組織に所属していた第一位・第二位・第四位に比べ「甘い」と言えるが、 その甘さこそが美琴の魅力であり、白井黒子のような信奉者を生み出す源泉といえる。 もちろん、上条や食蜂と同様、当然ながら「絶対に折れない心」を持っているわけではないため、 新約二巻で行方不明の上条当麻を探すために「闇」と関わろうとしたり、 警策看取の精神誘導で心に秘めた怒りが呼び覚まされ学園都市もろとも破壊しようとしたり、 常盤台中学が暴徒化した学生たちから襲撃されたときには、世間への不信感や怒りから闇雲に暴走したり、 彼女の心の中にある「弱さ」が悪い方向へ傾きかけることはこれまでにも何度もあった。 鎌池氏曰く 「美琴は能力が性格の支えになっており、敗北すると心が折れてしまうのではないかという懸念があって美琴をなかなか負けさせられない」 「美琴を負けさせるには、要は電気を吸収する能力者を新しく作ってしまえばいいが、美琴がどうやって立ち直るかのプロセスを描くのがとても難しく、負けさせるのは重大事」 「スタンダードを極めた能力者なので、パラメーターで勝てない敵にはほぼ何をやっても勝てない」 とのこと。 実際、美琴よりも特異性の高い能力を持つ一方通行には手も足も出ず敗北しており、 魔術を用いる去鳴(サロメ)にもあっさりと破られている。 【超能力者(レベル5)入りと『超電磁砲』の誕生】 美琴がレベル5として認定されたのは、常盤台中学に入学してから自身の誕生日までの間、 つまり4月中に行われた能力測定を受けた時である。(『超電磁砲』第136.5話) 食蜂は中学入学前にレベル5に認定されていたため、この時点では序列も食蜂のほうが上だった。 当初は周囲のやっかみもあってか、「超能力者最弱」や 「大能力(レベル4)と大差ないギリギリライン越え」との評判が立っており、 切斑芽美からも「(子供っぽい)彼女がレベル5なら私たちもすぐにレベル5になれそうですわね」と嘲笑されていた。 後に「超電磁砲」の異名が付く技を始めて使ったのは、五月頃のある日のこと。 当時の三年生、支倉冷理に誘われ、ベアリング用の金属球と能力を用いた的撃ち勝負を行った際に、 金属球を撃ち出す最適な方法として即興で考えて試しに射出してみたものだった。 ただし、この時は初体験ということもあってコントロールすることができず、 よりにもよって美琴を見学していた支倉を掠める方向へと射出し、風圧で支倉をふっ飛ばしてしまう。 当然ながら、身体を木っ端微塵にされかけた支倉に激怒される結果になった。 この経緯から、美琴がレベル5入りした時点では、彼女の能力名は単なる『電撃使い』であり、 支倉との的撃ち勝負の際の閃きとその後の練習によって「レールガン風」に球を撃ち出す技術を習得し、 その後に『超電磁砲』という能力名を申請したものと思われる。 【学力・知能】 レベル1から努力のみでレベル5になった稀有な例(*2)として知られており、その功績は教育指導の模範とされている。 勉学においても優秀で、高校生である上条の宿題をいとも容易く解いてしまう程である。 更には、英数字で構成された18ケタの符号を一度聞いただけで暗記してしまう等、 元来の頭脳も凄まじいものである様子を窺わせる。 また、美琴も含めた常盤台の生徒たちは外国語に秀でており、 フレンダが攪乱を目的としたオリジナル言語を話した際には英語でもフランス語でも無いことを看破している。 ロシアに行った際は、ロシア語オンリーの看板や標識表示を見ても日本語に翻訳する必要性を感じないほど。 これらの理由から、上条にとっては技術や専門知識方面において非常に頼りになる存在であり、 教師である小萌先生に連絡が取れなかった場合は彼女を頼る事も。 【作中での行動】 本編開始前の7月1日には、能力実演のデモンストレーションのためロシアのショッピングセンターに派遣される。 そこで『とても価値のあるオレンジ』にまつわる事件に巻き込まれ、 出会ったレッサーと協力しつつ事態解決に乗り出す。 美琴本人は自覚していないが、この時初めて魔術を目撃している。 一巻から1カ月ほど前に、インデックスと出会う前の上条当麻と出会い、 自分の能力が通用しない上条に打ち勝つべく度々勝負を挑んでいた。 本編初登場は一巻(7月19日)。 この日の夜、第七学区の陸橋で上条と対決し、「超電磁砲」を放つなどして一晩中彼を追い回した。 7月20日の夕方にも上条と遭遇するも、当の上条はインデックスと補習で手一杯だったため適当にあしらわれている。 8月20日(三巻)、記憶喪失後の上条と初めて会う。 会話の最中にミサカ10031号が現れ、ミサカを伴って上条と別れた。 『超電磁砲』ではこの後の出来事が描かれ、 「実験」はまだ終了しておらず妹達が殺害され続けていることをミサカから聞き出した後、 「実験」の関連施設を襲撃し、流れていた第10031次実験のライブ中継でミサカの死の瞬間を目の当たりにする。 「実験」が未だに続いていることに絶望し、自分がわざと一方通行に瞬殺されることで「実験」を止めようと考えていたが、 第七学区の陸橋に佇んでいるところを上条に見つかり、制止される。 上条を遠ざけるために雷撃の槍で攻撃を加えるも、最終的には説得され、代わりに上条が一方通行へ挑むという提案を受け入れた。 その後自分も上条と一方通行の戦闘に立ち合い、一部始終を見届けている。 この時に御坂妹の心を動かし、間接的ながらも上条が一方通行に打ち勝つ布石を作り出した。 四巻では直接の登場はないが、『御使堕し』の影響で竜神乙姫と外見が入れ替わっている。 8月31日(五巻)には、ここ1週間ほど自身に付きまとっている海原光貴にデートに誘われるが、 偶然通りがかった上条を見て彼と待ち合わせているということにし、上条と疑似デートをすることに。 この際、美琴に関わるまいと無視する上条にタックルをかまし、アニメ版での描写が当時ネット上で話題になった。 「待ったー? って言ってんでしょうが無視すんなやこらーっ!!」(原作) 「どるーん、待ったー?」「無視すんなやゴラァァァ!!」(アニメ版) 夜にも上条と偶然遭遇しているが、この時上条はインデックスを攫った闇咲逢魔を追っていたため適当にあしらわれている。 9月1日(六巻)。シェリー=クロムウェルに追い詰められていた黒子を「超電磁砲」で援護し、 その後の地下街の戦闘にも居合わせている。 9月3日から始まった広域社会見学では学芸都市に遠征。 そこで『翼ある者の帰還』と学芸都市の抗争に巻き込まれ、黒子・初春・佐天らと事件解決に向け奔走した。 やはり本人は自覚していないが、この時も魔術の存在に接している。 9月14日(八巻)。"残骸"を巡って結標淡希と交戦し、 結標に敗北した黒子を上条と共に救出した。 大覇星祭編では選手宣誓で超能力者(レベル5)を使うという上層部の意向があり、 隠しても隠し切れない人格破綻者の集まりである為に、7人の超能力者の中でも唯一まともな人間として運営委員会からは安全牌だとされていた。 選手宣誓の交渉を受けた綿辺は 「前学期末には他人の目を気にしてノイローゼ気味になっていたし、今このような場に出すのは彼女にとってよろしくない」と、 美琴を気遣い依頼を断った。 また、美琴の知名度が上がるに連れて不名誉な目撃情報が相次いでいる。(【目撃情報】項の参照) 競技では二人三脚で婚后光子とペアになり、相手の妨害を磁力で回避したり、 相手の服に砂鉄を引っ掛けゴール寸前で止める算段をしていた(実際は使用するにまで至らなかった)などと、 レベル5としての力の片鱗を見せつけた。 また、この二人三脚のみの制限かは分からないが、高位能力者である美琴には電撃の使用が禁止されている。 競技共通の制限では選手に対する能力による攻撃は禁止のようだ。 前述の競技の際、服が汚れてしまい着替えの合間に、湾内絹保が偶然見かけたミサカ10032号を美琴本人と勘違いし、そのまま入れ違いとなってしまった。 競技終了後、湾内絹保に借りた体操服をミサカ10032号が返しに来ていない事を知り、胸騒ぎを感じて捜索を開始する。 その最中、黒子・初春・佐天に迷惑が掛からない範囲での調査を依頼しようとしたが、 三人の記憶から御坂美琴との思い出が消されている事に気づく。 これが食蜂操祈の能力による物であると看破し、「これはもうイタズラじゃ済まされない」と怒りを感じていた。 食蜂の派閥メンバーによる監視もついていて、身動きを封じられた美琴は、 妹と入れ替わっていた事に気づいた婚后に協力を仰いだ。 しかし、美琴と妹のために行動していた婚后が馬場芳郎に重傷を負わされたことを知り、馬場を倒しに向かう。 その際、食蜂派閥のメンバー二人が美琴を足止めしようとするも、威圧感のみで二人を押し黙らせた。 最終的に、湾内絹保と泡浮万彬の二人に屈辱を負わされた馬場が切り札として投入した T MTを軽々と破壊し、馬場を完全に戦意喪失させた。 美琴の妹についての手掛かりを得た佐天・白井から連絡が入り、現在地を報告して合流を図っていたが、 妹達の身柄を捜索している謎の人物に初春と御坂美鈴を人質に取られる。 が、事前に位置の報告を受け、移動していた黒子との連携によって襲撃者を撃退。 食蜂と接触し、襲撃者の雇い主が木原幻生である事と、その目的がミサカネットワークである事を知る。 この際口論になり、食蜂に対し「やっぱりアンタとは一生反りが合わなそうね」と発言している。 木原幻生の身柄確保に向け食蜂と行動し、施設を制圧。 幻生の狙いが都市伝説サイトに載っていた第二学区のビルにある事を突き止め、 そこで外装代脳(エクステリア)を奪った幻生と邂逅。 直後、幻生によってミサカネットワークに特製のウィルスを打ち込まれ、 それにより出現した莫大な力に取り込まれてしまい、レベル6へと進化を始めてしまう。 進化を始めると、意識が曖昧なまま正体不明の黒い球体を作り出し、 警策看取によって『外装代脳』で深層心理を誘導され、窓のないビルへ攻撃を開始。 元の美琴の雷撃の数十倍の火力だったが、ビルには傷一つ付けられなかった。 幻生曰く、この時点で絶対能力者への進化は2%程らしい。 その後、騒ぎを聞きつけた削板軍覇と助けに来た上条当麻が共闘し、 幻想殺しによる接触に成功するが、核を潰さなければ元に戻らないらしく、 触れた部分はすぐさま元に戻ってしまった。 その後、食蜂や黒子の活躍で幻生と警策は敗北。 同時に美琴の意識も戻ったが、黒い球体は消えず、 それどころか美琴を中心に謎の力が集まって、球体は削板曰く「別世界の理解できないモノ」となり、 美琴本人ですら止められなくなってしまう。 上条は美琴を救う為に球体へ右手で接触。 右腕は弾け飛ぶが、直後、上条の肩口から、 それぞれ姿形の異なる八体の竜王の顎(ドラゴンストライク)が出現し、 球体を喰らい尽くされたことで、一連の事態は収束した。 十四巻。C文書を巡る戦いで上条がアビニョンに向かった際、学園都市の動向を聞き出すために上条からの連絡を受ける。 その際、偶然にもテッラと上条の会話を聞いてしまい、上条が記憶喪失であることを知る。 そして、天草式とアックアとの戦いに参戦しようとしていた上条を止めようとしたことがきっかけで、 彼が記憶喪失であると知ったことを本人に告げ、自分の中にある上条への莫大な感情をついに自覚。 しかし、その後出会った際には自分の気持ちに整理をつけられずパニクっている。 また、記憶喪失については上条自身から口止めされている。 十八巻。上条から電話を受け、イギリスのクーデターに巻き込まれた事を察知する。 10月30日(二十巻)。第三次世界大戦が勃発した事により、上条がまだ学園都市に帰ってきて居ないのではないかと推測し、 彼が今ロシア付近にいる事、学園都市の回収対象になっている事を突き止め、 彼への襲撃部隊を倒しロシアへ向かう。 数時間後(二十二巻)、ロシアで出会った10777号を通じて、 ロシア軍による空中要塞(ベツレヘムの星)への核ミサイル発射の情報を得た事で、 上条を救うため、世界を核の汚染から救うために核ミサイルを巡ってロシア軍と戦闘。 これに勝利し見事核ミサイル発射を阻止した。 その後、VTOL機でベツレヘムの星外縁まで辿り着き上条に手を差し伸べるも、 まだ全てを終えていない上条に救援を断られてしまう。 ベツレヘムの星墜落後、 墜落地点付近の港で偶然にも上条の所持していたゲコ太ストラップの残骸を発見するに至った。 その後は学園都市へ戻ったようだが、上条を救えなかったショックからか、 無言のまま第七学区をふらふらとさまよい歩く姿が浜面に目撃されている(新約一巻)。 新約二巻。バードウェイに救出され学園都市に帰還した上条と再会し、 ロシアで回収・修繕したゲコ太ストラップを渡す。 そしてまたも一人で学園都市の外へ行こうとする上条の手を取り、共に行動する事を宣言した。 新約三巻。上条らと共にハワイに向かい、上条の助力となる傍ら、魔術結社グレムリンと交戦した。 その際、ロシアで上条を救えないまま彼が行方不明になってしまった経緯からか、 浮気防止のおまじないがあるという噂の指輪を購入し、独自の模様と着色を施し唯一無二のペアリングとして上条に渡そうとしていた。 しかし、オカルトを信じられないがために、上条に指輪を渡す事が出来ないままになっている。 新約六巻。一端覧祭の途中、上条がフロイライン=クロイトゥーネを救うために窮地に陥っている事をトールより伝え聞き、 フロイラインを狙うブリュンヒルド=エイクトベルと交戦し、一進一退の戦いを繰り広げた。 同時にバードウェイとの戦いで窮地に陥った上条を援護し、勝利へと導いた。 この際トールの変装と間違えた上条に胸を堂々と触られた。 新約十巻。突然オティヌスを連れて反意した上条の真相を問うため学園都市のファイブオーバーを全てハッキングし、雪原で上条と対峙する。 そこで上条から「この世界が二万人の妹達が全員生存し、美琴も含めて誰もが幸せな世界に変わっていた」ことを告白される。 だが美琴はその言葉を断片的に噛み砕き 「そんな都合の良い、ただただ甘ったれた世界に。今さら誰がすがるかっつーの!!」 「それで過去に私が一万人以上の命を奪った事実までは変わらない! 一秒先で全てが救われたとしたって、どんな書類を書き換えたって、私は私の罪から逃げたくないのよ!!」 と一蹴する。 上条が「幸せな世界」に対する事は掌を返して認めることではなく、たった一人でも間違ってると拳を握ること。 「幸せな世界」に勝利し「元の世界」に戻った時には「幸せな世界」を羨ましがるのではなく「元の世界」に戻れて良かったと胸を張ること。 「幻想を殺す」という上条の本質を出して立ち向かう。 それだけで良かったと上条の「幸せな世界」という「幻想」を論破する。 そして「平凡な高校生」である上条の叫びに「そのままで良い」と優しく抱き締め、勝利する。 目が覚めた上条がオティヌスと共に去った後は自らの能力を組み込んだファイブオーバーの軍勢に立ち向かった。 新約十三巻。上条と共に僧正からの逃走劇を繰り広げる。 東京湾の『船の墓場』到着後に起きたオティヌスによる位相の改変から、 そしてデンマークの一件までの全貌を知らされないことから胸の内に突き刺さる『何か』を感じていた美琴だったが、 徐々にその姿が浮き彫りになっていく。 学園都市第三位のレベル5である『超電磁砲』という強大な力が通用しない『魔神』という規格外の怪物と相対し、 しかし上条は「過去にオディヌスや世界を敵に回した経験があった」故にそれに驚く事はなく、むしろ当然として受け止める。 ネフテュスや娘々からはそもそも存在しないかのようにさえ振る舞われ、 『常盤台中学のエース』のプライドさえもズタボロにされる。 「同じ場所に立っている」と思っていたが、それは勘違いで、もはや周回遅れにさえ感じる桁違いの領域をその身を持って体感する。 僧正から上条当麻の邪魔者、美琴が側にいるからその本質を発揮できないなどと全否定され、その上で上条に再び肯定されたが、 それもやはり、美琴の心を炙って「お荷物」にしかなっていない事を自覚させてしまった。 決定的なのは、アローヘッド彗星を取り込んで地球へと再突入した僧正に対し、上条が起こした行動。 右手からピシリピシリとプラスチックに亀裂が入るような音が響き、飛来する彗星を掴もうとするかのように手を伸ばすその姿に、 美琴は身体の内からせり上がるような恐怖を覚えた。 事件収束後、美琴は学生寮のシャワールームで壁に背を預け、掌で顔を覆って、唇を噛んで押し殺すように、 そして明確に、こう絞り出していたのだった。 あいつが…遠いッッ!!! かつての美琴であればかつての「実験」で手も足も出ず敗北した一方通行に勝利した上条当麻を見てヒーローと思い、彼の役に立ちたいとそれを支えに彼の背中を追いかけていただろう。 だが、その彼は桁違いの領域に足を踏み入れていたことで彼女の心の支えをなっていたものが消失。 そして何より、美琴自身の中にある上条への莫大な感情を自覚していたことでそれが余りにも大きな壁として立ちはだかって美琴の心をより強く引き裂き、深い爪痕を残し、孤立した彼女の心は折れてしまったのである。 新約十五巻。上条勢力を襲撃して回っていた『絶滅犯』去鳴と戦闘。 上条当麻に追いつけない自分の非力さ、周回遅れのような取り残されてしまったような感覚に陥っていた彼女は、 砂鉄の剣や雷撃の槍、『超電磁砲』すらも打ち消す、上条当麻以上の力を持つ去鳴との遭遇に対して、 自らの理解が及ばないほどの脅威に対して、新たな可能性、新たなステージへ上がるための足掛かりを見つけたと笑みすら浮かべる。 しかし、暮亞の介入で、正気に戻った美琴は自らの思考に吐き気を催していた。 また、そんな美琴の狂気じみた様子を目の当たりにした去鳴からは、 私も絶滅犯なんて後ろ指差されるほどにイカれているけどさ、でもきっと、アンタは私以上になるよ。このままこっちに進んできたらね と伝えている。 上里翔流の右手が木原唯一に奪われた後、美琴も上条や去鳴と共に巻き込まれるようにして唯一からの攻撃を受けるが、 追撃を受ける中でA.A.A.のスペア保管庫の一つに偶然辿り着く。 駆動鎧の一つに触れて、軽く干渉しただけで去鳴と相対した時以上の新たな可能性を感じ取ると同時に、 それを使う事で、成長の方向性を決定的に違えてしまうこと、「上条当麻の隣を歩くなら、絶対に進んでは行けない道」であることも理解する。 しかし、木原唯一に上条が殺されかけたその時、彼を失ってしまうという恐怖を覚え、激昂した美琴は能力によるハッキングで対魔術式駆動鎧を掌握。 新たな主に合わせて組み代わったA.A.A.を装着し、凶悪な兵器群を用いて、唯一を退けるのだった。 事態が収束した後、去鳴は危機が去ったことに安堵する上条に対して「御坂美琴はじきに大きく踏み外す」「壊れると言ってもいい」と伝えている。 上条から逃げるようにしてその場から立ち去った美琴は、役目を終えて剥がれていく兵器群を気にも留めず、 科学の街には似合わないような言葉を紡ぎながら「掴むべき手掛かり」「登るべき高み」「目指すべき頂上」がどこまでも広がっている事を実感するが、其処には助けたかった上条当麻の事すらも忘れ、ただ自分の新たな可能性と疑問しか眼中に無く、狂気的な言動や精神状態は戦闘狂一歩手前まで陥っていた。 その時、彼女の顔からはまるで何かの副作用のように、大量の鼻血が出ていた。 アレイスターにとって美琴はミサカネットワーク構築の素材のひとつでしかなく、 構築が完了した今となっては美琴本人に価値は無いと評価しており、それ以上に美琴とA.A.A.の接触をむしろ有害と考えている。 かくして木原唯一を打倒するために急を要したとは言え、結果的に「成長の方向性を決定的に違えて」しまったところで新約十五巻は幕を下ろす。 まだ見ぬ領域に手をかけるべく貪欲に成長を求める姿勢は、かつての一方通行や雷神トールに通じる部分がある。 新約十六巻。大熱波のさなか、A.A.A.を操ってエレメントによりピンチに陥った上条を助けたり、常盤台中学を中心にエレメントの撃退に従事していた。 が、いかんせん使っている技術が技術なので身体に影響を及ぼしており、時折不意に鼻血が出るなどの副作用が出ている。 上条もこの事実に対して薄々感づいてはいるものの「美琴自身に魔術の心得が全く無いからどう説明して良いのかが分からない」というのが現状である。 新約十七巻。壊滅的打撃を負った学舎の園に物資を狙った暴徒が流れ込み、 彼らが略奪を正当化しているのを聞いたことなどにより、心的外傷と昏い復讐心を負ってしまう。 上条に保護された後A.A.A.の残骸にアクセスしたが、それによりアレイスターの呪詛を打ち込まれ、口から血を吐いて倒れてしまう。 痙攣していたが、必死に笑って上条に一般人の悪意の原因となった人物を倒してくる約束を守れと告げて、意識を失う。 その後、病院にて上条と会っているがその時には元気な姿を見せていた。 新約十八巻。犬猿の仲である食蜂操祈に協力を依頼しA.A.A.を調査する。 A.A.A.にアクセスして調査を進めていく段階で『神浄の討魔』という文字を見つけ、上条が窓のないビルへ乗り込んだ事を悟る。 上条を心配する食蜂操祈とタッグを組んで、A.A.A.を用いながら2人の合体技で窓のないビルの破壊を行った。 この時、食蜂操祈と協力することでA.A.A.による負担を軽減することに成功し、また食蜂操祈という新たな心の支えを得たことで、美琴自身の「成長の方向性を決定的に違えた」事の軌道修正が出来たようで、十五巻で見せていた狂気的な言動や精神は鳴りを潜めつつあった。 新約二十一巻。学園都市のブラックアウト後は南国のビーチに避難していたが、 上条に協力すべく、水着の上にレインコートを着た状態で食蜂とイギリスに来る。 相変わらず食蜂ともめていたが、上条が女騎士を侍らせているところを見つけてからは一気に息が合い、 「あいつロンドンに来てまで何してんのよお!!」 とバイクへと変わったA.A.A.に乗り、上条に向かっていった。 その後A.A.A.を使ってマッハ6で飛ぶところを父である御坂旅掛に目撃されている。 このとき、上条は美琴に対し『理解者』であるオティヌスやアレイスター、一方通行とも違った、心の拠り所としての信頼感を感じていた。かつて僧正から否定された際に上条が肯定をしていたかの如く証明させたことで美琴本人は理解していないものの、この事により美琴は報われたといえるかもしれない。 12月24日(創約一巻)。上条・インデックスとクリスマスパーティを楽しんでいたが、 一方通行の『手錠』に関する壮絶な騒動に巻き込まれ、上条と共闘した。 12月25日(創約二巻)では、上条がサンジェルマンウイルスに冒されタイムリミットが迫る中、 上条を救うため食蜂と共にアンナに立ち向かうものの、手も足も出ず惨敗し瀕死の重傷を負う。 魔術に手を出そうとするなど危うい様子を見せている。 最終的にカエル顔の医者の病院に搬送され、食蜂と相部屋になった。 同日夜(創約三巻)、オペレーション・ハンドカフスの最中に重傷を負った黒子も搬送されてきたため、 美琴・黒子・食蜂の3人が相部屋となっている。 【口調】 一人称は「私」、名前を直接呼ばない二人称は「アンタ」もしくは「あなた」。 固有の語尾や口調は基本的に無いが、怒ったときに口調が荒くなることがある。 (初期には「ちょっと」を「ちょろっと」と言うことがたまにあった) ただし怒っている際の口調の変化については鎌池和馬作品ではよくあることなので、 総じて一般的な喋り方と考えていいだろう。 なお、話し方の大きな特徴として「上条当麻の名前を(美琴視点の地の文も含めて)絶対に口に出さない」というものがある。 そのため上条の名前が当てはまるところは、 「アンタ」「コイツ」「アイツ」「この男」「あの人」という二人称・三人称で代用されている。 一応、新約十八巻では上条のことを思い出しながら「かみじょうとうま」と発言しているが、 これは字面の違う『神浄の討魔』を読んだものなので例外と見るのが妥当か。 【余談】 本作品のタイトルにもなっているインデックスだが、実は美琴よりも登場が遅い。 インデックスは一巻のp.26、美琴はp.13が初登場である。 「このライトノベルがすごい!」の連続女性キャラクター部門において、2010~2014年度・2016~2019年度で合計9回第1位を獲得した実績を持つ。 元電撃文庫編集長の三木一馬氏は「電撃文庫のヒロイン」と称した。 鎌池氏はとある魔術の禁書目録ノ全テで禁書キャラの中で友達にしたい相手に選んだ。 ちなみに中国の動画サイトのbilibiliはの名前は彼女のあだ名の「ビリビリ」に由来する。
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前ページ次ページ上条さんと美琴のいちゃいちゃSS/御坂美琴の消失 第3章 「ここは本来男子禁制ですのよ」 「申し訳ございません、とミサカは心より謝罪申し上げます。しかし、ミサカはあなたに連絡する手段しか知らされていませんでしたからこうするより他ありませんでした、とミサカは弁解します」 「まあ仕方ありませんわ。行動そのものは正しかったことは確かですの。あのまま、放置してましたらこの方は風邪では済まなかったかもしれませんし」 「…………広いお部屋…………」 「こちらの方は?」 「上条さんにまとわりつく金魚のフンです、とミサカはきっぱり宣言します」 「何言ってるかな!? 金魚のフンはそっちなんだよ!! 私はとうまと一緒に住んでる関係者で短髪より深い間柄なんだから!!」 「…………だいたいどんな方か分かりましたわ。では、上条さんが目覚めるまでお待ちくださいな」 「当然!」 「はぁ……それにしても血は争えませんわね。よもやあなたもお姉さまと同じ殿方に想いを寄せておられましたとは…………」 「血?」 「ミサカは、先ほど上条さんが口にされました名前、『御坂美琴』の妹なのです、とミサカは今回ばかりは何の裏も無くあなたにお教えします」 「ふうん。それで『みさか』なんだ」 上条当麻は同じ夢を見ていた。 一昨日見た夢、八月二十一日の操車場。 そこではやっぱり、御坂美琴が一方通行に立ち向かっていて。 上条当麻は柵越しにそれを眺めているだけで。 しかし、以前とは違い、上条は夢の中で思った。 (もしかして、この光景が真実なのか…………?」 夢の中の美琴は一方通行を押していた。 (実は、あの日、俺は鉄橋で御坂の電撃にやられて気絶してしまったのか…………?) 一方通行の能力は『ベクトル操作』、全ての運動方向を操る最強の力。 (目を覚ました俺は美琴を追いかけたけど、すでに美琴が一方通行に戦いを挑んでしまっていて、俺はここで二人の圧倒的な力の前に竦んじまっていたのか………?) しかし、美琴の電撃や砂鉄の攻撃が一方通行にヒットする。 決して当たるはずのなかったその攻撃が一方通行を追い詰めていく。 (一方通行が創り出したプラズマは俺に向けてではなく、御坂に向けてのものだったのか? 俺は…………ブルって御坂を見捨てたことが真実だったのか………?) 追い詰められた野獣の究極のインスピレーションが一方通行の力を飛躍的に押し上げる。 頭上で手を広げた先には巨大な光の塊が漲らんばかりにうねっていた。 (御坂は…………この、全てを呑み込む高熱の光にやられてしまったのか…………?) 一方通行の創り出すプラズマの光が激しさを増し―――― 上条当麻は、やっぱりここで目を覚ますのだった。 「とうま?」「上条さん?」「上条さん、とミサカは心配げにあなたを覗き込みます」 上条が目を覚ますと、そこには六つの瞳が上条を見つめていた。 「ここは…………?」 「わたくしとお姉さまの妹君の部屋ですわ」 まだ、ぼぉっとしている上条の問いに毅然と答えたのは白井黒子だ。 「大丈夫? とうま」 「何ともありませんか? とミサカはあなたを気遣います」 インデックスと御坂妹が神妙に問いかけてきて、 「いや、別段何も…………」 言って、上条は半身を起こす。 一度キョロキョロ見回すと、見慣れない部屋にいることに気付く。 どこか高そうなホテルの一室のような趣きだった。入口の近くにはユニットバスらしき扉、自分が横になっていたベッドの隣にもベッドでその大きさと優雅さは上条の部屋のものとは比べ物にならず、部屋そのものの広さも上条の部屋の倍はありそうだ。部屋の片隅には大きなぬいぐるみ。この部屋にはどこか不釣り合いなデザインの荒々しいクマのぬいぐるみなのだが、どこかさみしげに座っているように見えた。アレは美琴のぬいぐるみなのだ。それは上条も知っている。だから、もう二度と帰らない主人を甲斐甲斐しく待っているペットのように見えて寂しげなのだろう。美琴の私物はすべて家族が持っていっただろうが、あのぬいぐるみは置いていかれたのだろうか、それとも白井が美琴の形見にと頼み込んで譲り受けたものなのだろうか。 もっとも、その真意を確かめる気すら今の上条には沸かなかった。 「そっか…………倒れた俺をここまで運んでくれたのか…………サンキューな白井、とお前らも…………」 「どういたしまして。しかし何がありましたの? 意識が遠のくほどの出来事とは」 「…………」 上条は無言で頭を垂れて目を伏せる。その表情も沈み切っていた。 無理もない。 一日前はタチが悪すぎる冗談だと思った話が実は真実だった、これほどショックなことはないだろう。 ましてや上条当麻は八月二十一日に御坂美琴と妹達を助けることを決心し、その決意を貫き通した、と思っていたのに、見た夢の内容も相まって、本当の現実は美琴を見捨てたかもしれないと思い始めているのだ。 自責の念に押し潰されそうになっても仕方がなかった。 「それがね、とうまが私に『御坂美琴って女を知っているか?』って聞いてきたから『誰なんだよ?』って答えたら倒れたんだよ。本当は問い詰めようと思ったんだけど、とうまのショックがあまりに大きいみたいだから後にすることにしたんだよ」 「はあ?」 「ところで、あなたはお姉さまを知っておいでなのですか? とミサカは率直に疑問を口にします」 「まあ、な…………」 上条は曖昧に返すしかできなかった。 確かに上条当麻と御坂美琴の間には浅からぬ因縁がある。初めて出会ったあの日から今日に至るまで、幾度となく追いかけっこをして、幾度となく共闘して、幾度となく(当人たちは無自覚なのだが傍から見ればそうとしか見えないくらい)キャッキャウフフをかましてと、実に濃密な関係を築き上げ、いつしか上条にとっては気が付けば自分の傍で頼りになるパートナー、くらい信頼できる相手となっていた。それでも時たま関わり合いたくない、と思ってしまうことが無いことも無いのは、まあ美琴の性格によるものなのだろう。それはある意味仕方がない。誰だって高圧電流に巻き込まれたくはないものだ。例え、その電撃を無効化できるとしても、アレは音だけでも結構心臓に悪い。 が、あくまでそれは上条当麻の記憶の中だけでしかないのが、この世界だった。 この世界では、上条当麻と御坂美琴は出会ってはいるが、御坂美琴は八月二十一日に殺されてしまっていて、それ以後、会っていないのが現実なのだ。 それは極めて遺憾ながら、上条のいつも傍にいるインデックスによって証明されてしまった。 白井は少々、上条と美琴の因縁を知っているようだが、残念ながら七月二十八日以前の記憶が無い上条自身は知らないことだ。 だから、上条は曖昧に返すしかできなかった。 「…………つまり、上条さんは三日前に私が教えて差し上げましたことを信じてなかった、というわけですか…………はぁ…………」 盛大な溜息を吐く白井。 「でも、どうして信じていただけませんでしたの?」 「…………」 上条は無言。どうにも答えられないようである。 もっとも白井には上条の気持ちがなんとなく分かる。おそらくは自分と同じなのだろうと推測はできる。 ただ、問題は、八月二十一日から四ヶ月ほど経過していることであり、なのにどうして今になって上条当麻が御坂美琴のことを気にかけたのかがまったく分からないのだが。 とは言え、今の上条からは芳しい答えは得られそうにない。そこでもう一つの疑問を口にした。 「そう言えば、妹さん、あなたはどうして上条さんとお知り合いになりましたの? わたくしはあなたと上条さんがお知り合いだとは思ってもみなかったのですが」 何気なく御坂妹に問いかける。 刹那、上条の脳裏に閃光が走った。 (そうだ! 御坂妹と出会ったのは美琴と一緒にいたときが最初だ! しかも御坂妹はミサカネットワークで繋がっている。なら――――!!) 一抹の期待を抱いて上条も御坂妹へと視線を移した。 そんな上条の期待の視線を受けて。 御坂妹は少し、顔を赤らめて、 「その…………ミサカが道端で見かけた猫に餌をやろうとしていたところを見られて、とミサカはまずは出会いから語ります」 「…………」 「でも、ミサカの体から発せられている微弱な磁場によって猫に怯えれらてしまうので餌をやることも拾うことも叶わず困っていたところ、上条さんが猫の面倒を見てくれることを承諾してくださいました、とミサカは上条さんの優しさを思い出して胸を熱くします」 「基本、困っている人は放っておけないとうまらしいかも…………」 「それでその後、一緒に本屋へ行って猫の飼い方という本を買ってもらって、ミサカに猫を抱かせてくれて、という具合にミサカの願望を叶えてくださった優しさにミサカは…………」 「あー……そこで純情乙女っぽい仕草はよろしいですわ。なんだか砂を吐きそうになりますの…………」 語尾が途切れた御坂妹の回想をインデックスと白井はどこかやさぐれて聞き流していた。 いったいどこの恋愛物語のシチュエーションだっつーの。 という声を二人は脳内で聞いた。 しかし、上条はとてもそんな気にはなれなかった。 (その経緯は確かに間違ってねえ。現実にあったことだ。けど、やっぱり、美琴が一緒にいたときの記憶は無い、か…………) 「覚えてませんか? とミサカはどこか恐る恐る問いかけます。ミサカにとっては重要なイベントなのですが、あなたの落胆ぶりを見るにつけますと覚えていないのでは? とミサカは恐々とします」 「いや…………覚えているさ…………」 口にできるのはそれが精いっぱいだった。 その心の内では、 (それは俺の中では初顔合わせのときの記憶じゃなくて、その翌日の記憶なんだがな…………) そう付け加えていた。 何でこんなことになってやがるんだ? 何が起こっているんだ? 上条は、頭の中でそんな言葉がずっとリピートされて渦を巻いているような気がした。 意識が戻ればいつまでも女子寮である常盤台中学の学生寮にいるわけにはいかない。 上条は、キャリアウーマンを連想させる眼鏡の寮監殿に御礼を言って立ち去った。 御坂妹はどこか名残惜しそうな表情を見せていたが、それはインデックスが上条を無理やり引っ張っていって遠ざけた。 そして歩くことしばし、 「とうま、なんだか一昨日くらいから変だよ? 何か悪いものでも食べた?」 「それだったら腹痛になってるわ。いや、そうじゃなくて…………」 「んー?」 しばらくの間、二人の足音だけが夜の町に響いて、 「ちょっと……混乱しててな…………何か、ついこの間までの生活がここ三日間で一変しているような気がして…………」 「疲れてるんだよ、とうま。とうまはいつもいつもいつもいつもいつも厄介事に首を突っ込んでボロボロになって帰ってくることが多いもん」 「…………厄介事?」 「そうだよ。私を助けてくれた後も、何回も何回も何回も魔術絡みの事件に巻き込まれたし、それも日本のみならず海外にまで出ることもあったし、そんな疲れが溜まって表層に出てしまってるんだよ」」 「はは……その所為で進級が危なくなってるんだよな……そうだよな…………」 苦笑を浮かべる上条当麻。 「…………ごめんね」 「あん?」 「私と関わったばかりにとうまをいつも危ない目に合わせて…………」 「何言ってやがる。そりゃ俺が選んだ道だ。お前が悪びれる必要はねえよ」 「でも……!」 「だいたい。色んな厄介事に巻き込まれちゃいるが、お前以上の厄介事なんてそうそうねえよ」 「ああ! それは酷いんだよ、とうま!」 「ははっ」 インデックスに明るさが戻って上条の表情にも笑みが浮かぶ。 もっとも、それは単にインデックスを元気づけることに成功したことに対する笑みでしかない。 ふと、前方を見てみれば、無意識だったのか、いつの間にか御坂美琴と出くわすことが多かった鉄橋に来ていた。 何の気なしにポケットの携帯電話を取り出す。 やっぱり、美琴に貰ったゲコ太のストラップはない。 ぎゅっと握りしめて、再び前を見据える。 ――――!! 前方に人影を感じた。 いや、前方だけではない。 鉄橋の柱の傍や地面にも。 左手を後ろから握られた気さえした。 鉄橋のあらゆる場所に人の気配を感じた。 その人影は亜麻色の髪を翻したり、コインを弾いたりしていた。 表情は――――よく分からなかったが、それは上条が間違いなく知っている人物だった。 「み、さか………?」 しかし、上条が戸惑い気味に名前を呟くと、その気配は全て霧散した。 「とうま?」 傍にいるのはインデックスだけ。 心配げに声をかけられて、ハッとしてからインデックスを見やる。 そこにはインデックスの不安げな眼差しがあった。 今にも泣きそうな、そんな碧眼だった。 (馬鹿野郎…………何、インデックスに心配させてやがる…………) 心の内で呟いてから、 「すまん……お前の言うとおり、俺は疲れているのかもな…………」 かぶりを振ってから自嘲の笑みを浮かべて上条当麻は再び歩き出す。 この鉄橋は、あの自販機がある公園以上に御坂美琴と上条当麻が邂逅した場所。 しかも、そのほとんどが何かしらの重要なイベントがあった場所。 だから、上条はこの鉄橋に美琴の幻覚を感じたのだろう。 (くそ…………普段、あれだけ関わり合いたくない、と思っていたくせに、いざ、現実になったら、何でこんなに落ち込んでんだよ俺は…………) ぎりっと歯を食いしばり、 (そりゃ、インデックスに匹敵するくらいあいつの印象は強いさ。頼れるし、力になってくれるし、俺のピンチに駆け付けてくれる唯一の奴だけど、普段はそこまで意識したことねえじゃねえか。なのに何で――――) 上条にはこの気持ちの意味が分からなかった。 今は――――まだ。 翌日、上条は月詠小萌より特例中の特例ということで補習も宿題も免除された。 前日の宿題の回答が全問正解だったことが、ある意味、小萌に慈悲の心を与えたのかもしれない。 これなら、一日くらい休みをやっても追いつけるかもしれない、そう思わせることができたのだろう。 したがって上条は今日はまっすぐ自宅へ帰ろうと決意した。 毎日毎日遅くなる上に大量に出される宿題の所為で、ろくすっぽ相手できないインデックス構ってやろうと。 昨夜、柄にもなく自分を心配してくれた少女に報いてやろうと。 そう心に誓いながら帰路を歩く。 とは言え、上条が決心したことは、だいたいにおいて外的要因によって崩されることが多々ある。 例えば、後ろから声をかけられるとか。 その相手が、これまた昨夜、お世話になった人物からとか。 「上条さんも今、お帰りですの?」 「白井……あー……お前も今、帰りなのか…………?」 「…………何やら、嫌なモノを見た的な表情をされてますわね」 ジト目で言いながらも白井は、少し早足で歩いて上条と肩を並べる。 「帰る方向が同じなら、途中まで一緒に帰るか、って聞くべきシチュエーション?」 「ほほう」と白井は少し目を細めてから、 「常盤台のお嬢様に向かって、ただ何となくで『一緒に』と仰いますの? ふふっ、その位置に立つために一体どれほどの殿方様たちが努力を重ねているのか分かってらして?」 「…………………」 「ん?」 白井の軽口を聞いて押し黙ってしまった上条に、白井は怪訝な視線を向ける。 無理もない。今の白井のセリフは八月二十一日に美琴が上条に言ったセリフだ。 この世界には存在しない御坂美琴を思い出してしまうセリフに上条はやるせない気持ちを抱いたのだ。 しばしの間、沈黙が流れて、 「――――そのお顔、三日前にお会いした時から何度か見せられていますが、その意味を教えていただけないでしょうか?」 「え?」 「あなたは時折、不思議な表情をされますの。まるで今の自分を否定しているような、今ある現実を否定しているような、――――とでも申しましょうか。とにかくどこか現実逃避をさらに重くしたような表情をされますわ。その理由を知りたいですの」 上条は再度、押し黙った。 昨日までの三日間。 上条当麻は誰にも自分が知っている現実と今の現実が乖離していることを話してはいない。 正確に言えば、三日前に白井には話してしまったが、それは今の現実を認識する前の話だった。 上条の思いとは違う『現在』を認識させられた今となっては話すことを躊躇っても仕方ないと言える。 なぜなら白井は上条から聞いた話を戯言と一蹴した。 で、あるならば、同じ話をしても信じてもらえるわけがないし、信じてもらえないだけならまだしも、精神病棟に放り込まれるならまだマシだが、今後、白井黒子を皮切りに、御坂妹、インデックスと上条を異常者扱いして、自分から離れていってしまう危険性を秘めてしまっている。知らない世界に一人にされる孤独感は想像を絶することくらい、予知能力が無い上条でもそれは容易に予想は付く。 さすがにそれは嫌だ。人とは一人では生きていけないものなのだ。 かと言って、誰にも話さず自分の内に溜め込んでおくのもストレスで発狂してしまうかもしれないことは否定できない。 では、どうすれば? 「んー? お前には一度話したろ? 俺とお前が初めて会ったのは九月一日じゃなくて――――ああ、日は言ってなかったな、八月二〇日、俺と御坂が公園のベンチに並んで腰掛けているときだって」 冗談っぽく言うことだった。そうすれば白井は呆れてこの話を打ち切るだろうということを見越した上で。 「また、その話ですの? はぁ…………あなたは夢と現実に境界線を引くべきですわ」 予想通り、白井は答えて、 「――――とでも言うと思いましたの?」 予想外に、白井は続けた。 「んな!?」 「何を驚いてらっしゃいますの? まあ、確かに以前のわたくしはあなたの話を一蹴しましたが、三日も経てば多少は頭が冷えるというものですわ。そして、思い返してみますとあなたの話の中でどうしても分からない部分がありましたの。それを確かめるためにあなたに会いに来たのです。ですから、今日、あなたとお会いしたのは偶然ではありませんわ」 はっきり言って、白井の言葉は意外だった。 もっとも、だからと言って、今はまだ話すことはできない。その理由は先に述べた通りだからだ。ならば、まずは白井が気付いた分からない部分について聞いておくべきだろう。 「俺の話の中?」 「そうですわ。三日前に上条さんが話された、わたくしとあなたの邂逅のお話の中で、もちろん、今でも信じることはできませんが、たった一つだけ、逆の意味で信じられない話がありましたの」 「信じられない話の中で信じられない話?」 「ええ。上条さんの話の中にたった一つだけ、わたくしとお姉さましか知らない『わたくしの知っている現実』のお話がありましたの。それはわたくしが『お姉さまが事ある度にあなた様のことを話されている』と言う前に、あなたが『あの馬鹿』とお姉さまが評していることを仰り、また『上条さんのことを散々悪く言っていた』とお姉さまが言っていた、という件【くだり】ですわ。この話だけは『現実にあって』、しかも、『わたくしとお姉さましか知らないこと』ですの。わたくしがお教えする前に上条さんが先に話されましたでしょ? お姉さまの上条さん評を、どうして上条さんが知っているのか、そこにわたくしは疑問を感じるわけでございます」 「…………」 「この場合、考えられる理由は二つ。一つはお姉さまが上条さんにそう話したことがあったか、あるいは――――」 白井は立ち止まった。 つられて上条も立ち止まる。 一陣の風が二人の間を吹き抜けて、上条と白井の髪を少し強く揺らす。 「あなたの言っていた現実が正しくて、わたくしが上条さんに伝えたか――――ですわ」 白井黒子は上条当麻を射抜くような視線を送りながらそう言った。 しばし沈黙の後、 「で、どちらですの? あなたはお姉さまからお聞きしてましたの? それともわたくしから聞きましたの?」 白井から切り出した。 上条は呻吟する。 ここで『お前から聞いた』と言うのは容易いが、『御坂ら聞いた』と嘘を吐いても別に構わないところでもある。 なぜなら、『御坂から聞いた』ことにしてしまえば、少なくともこの世界でも上条は孤独に陥ることがなくなるからだ。おそらく白井は『御坂から聞いた』との答えを待っているだろうし、言えば、白井は自身の気の迷いと結論付けて、二度とこの話はしないことだろう。 そしてそれはそのまま上条が今の現実を受け入れることも意味する。 確かにこの世界に御坂美琴はいない。だが、だからと言って、それが上条の生活に多大な影響を及ぼすかというと、そうでもないことは分かっている。 それは、一方通行の件以後、何度か美琴に関わる事件や、何度か美琴の助けを必要とした事件もあったが、それらすべてをクリアしているということは、今現在があることで証明されてしまっているからだ。美琴絡みの事件は美琴がいないことで無かったことになっているだろうし、美琴の助けを借りた事件はおそらくだが、同系統の能力者である御坂妹が代わりを務めた可能性が高いと思われる。 だからこそ、今この場での正しい答えは『御坂から聞いた』だろう。それですべてが平穏無事に収まるのだから。 しかし、である。 この世界はそれでいいかもしれないが上条当麻はどうなのだ? 上条当麻自身はどうなのだ? 今、『御坂から聞いた』と嘘を吐くこと自体は簡単だが、それは上条が今後、ずっと嘘を吐き続けて生きることを意味するのだ。 しかもそれは、この世界に生きる全ての者に対して、だ。 インデックス一人にさえ嘘を吐き続けてきたことを後悔したのではなかったのか。 それに今、白井はまだ疑いの方が強いだろうが、本当のことを話せば協力してくれるのではないかという思いが上条の頭を過った。 白井黒子は御坂美琴を寵愛している。 それがいささか行き過ぎた方向だろうと寵愛していることに変わりはない。 ならば、御坂美琴が存在する世界を肯定してくれるのではないか。 本来在るべき形の世界を選んでくれるのではないか。 上条当麻の心は揺れる。 そう。ここが分岐点。 この世界に留まるか。本来の世界を取り戻すか。 二度目はない。 今、この場の回答のみが今後の決定権を有している分岐点なのだ。 なぜなら、白井は『御坂から聞いた』と言ってしまえば、二度とこの話をしない。それは確信を持って言える。今この場の答えをひっくり返すほどの『物的証拠』を持ち出さない限り、実は嘘でした、と言っても通ることはない。発言がぶれてしまえば信用度は皆無となるからだ。 インデックスと御坂妹は元より上条の言葉を信じることはない。 完全記憶能力を持つインデックスは上条の話を、たとえ上条のことを心から信じていようとも、自分の記憶を疑うことはない。よって、上条が「今の世界は俺の知っている世界と違う」と言おうとも聞いてもらえることはあり得ない。 御坂妹からすれば、八月二十一日に御坂美琴が殺された、となれば相手は一方通行しかいないわけで、しかもそれは御坂妹自身の実験の日なのだから自分で見ている以上、百聞は一見に如かず、だから如何に上条の言葉であったとしても信じられるものではない。 そして、直接、上条当麻と御坂美琴が知り合いである、ということを知らないクラスメイトや月詠小萌、他多数は最初から論外なのである。もしかしたら、本当にもしかしたらだが、学園都市の統括理事会、さらにその上に君臨するアレイスターは気にかけていたかもしれないが、アレイスターは多少のイレギュラーであれば修正して目的を達成しようとするだろうから、御坂美琴がいるいないにそこまで執着することはないだろう。まあ、上条がアレイスターに謁見する、などというイベントは、起こるとすれば、それは、上条が相当、学園都市の闇に最接近した時だろうから、このような仮定は最初から無意味だ。というか、学園都市のことだから御坂美琴の死体から脳なりDNAマップなりを人知れず回収して、ある意味有効利用している可能性の方が高いのではなかろうか。 つまり、今、白井に突き付けられたこの選択肢の回答以外で、上条当麻は元の世界に戻る可能性を得ることはないのだ。もちろん、まだ元の世界に戻す方法を見つけ出しているわけではないのだが、それはさておき。 ゆえに上条の答えは、 「お前から聞いた…………と言ったら信じられるか…………?」 重々しく、呟いた。 ともすれば聞き取れないかもしれないほどのか細い口調で呟いた。 どちらとも取れるギリギリのラインの答えだった。 これほどまでに緊張し、また言葉を紡ぐのに躊躇ったのは、インデックスに記憶喪失のことを告げた時以来だろう。 「そう、ですか…………」 白井の返答を上条はどういう思いで聞いただろうか。 もちろん、上条には分からない。 哀れんだ瞳を向けられれば、まだ分からないでもないが、残念ながら白井は前髪の影を濃くしてその奥に瞳を隠している。 で、あるならば、白井が何かを口にしない限り、分かるはずもない。 重苦しい沈黙が続く。 その沈黙を破ったのは―――― 「むっ!」 先ほどまでの神妙な態度はどこへやら。 白井は上条を、正確に言えば上条の後方をいきなり睨みつけた。視界にとある人物を捕えたのだ。 「何だ?」 つられて上条も肩越しに振り返る。 そこにいたのは―――― 「見つけましたわよ!!」 吼えて白井黒子は、上条は見ていなかったが、上条の正面からは消えて、上条が見つめる結構遠い前方に現れた。 空間移動能力。 「今日こそは、お姉さまの仇、討たせていただきますわ!!」 ビシッと指を突き付け、勇ましく宣戦布告したその相手。 「あァ? またお前か? 懲りねエ奴だぜ、ったく――――」 狂ったように白く、歪んだように白く、澱んだように白く。 烈火の瞳はどこまでも冷たく。 黒をベースにしたTシャツにはまるで白い蜘蛛のようなデザインが浮かび上がる。 冬なのに半袖を着ていられるのは自身の能力のためだろう。 学園都市二三〇万人の頂点。 誰も追いつけない位置に君臨している最高最強の能力者。 本来の世界であれば上条当麻、御坂美琴、御坂妹の三人とは切っても切れない因縁を持つ男。 そして、この世界では八月二十一日に御坂美琴を殺した男。 一方通行【アクセラレータ】が凶悪な笑みを浮かべてそこにいた。 前ページ次ページ上条さんと美琴のいちゃいちゃSS/御坂美琴の消失
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前ページ次ページ上条さんと美琴のいちゃいちゃSS/御坂美琴の消失 第6.5章 少女は走っていた。 夜の学園都市を駆け抜けていた。 向かう場所は第一〇〇三二次実験に割り当てられた操車場。 (…………ここには何でも解決してくれるママはいない) 前日、公園で子猫を愛でていた自分のクローンに出会ってしまった。 彼女は無情にも悪夢のような実験が継続中であることを少女に告げた。 少女の胸の内に絶望の二文字が広がった。自分のしてきたことが徒労に終わり慟哭した。 その場にいたクローンに八つ当たりしてしまうほど気が狂いそうになった。 だからと言って諦めるわけにはいかなかった。 夕方、最後の手段として考えていた『樹形図の設計者』を狂わす、という作戦は頓挫した。三週間ほど前に何者かに破壊されたことを知ってどうにもならなくなった。 (…………神頼みしたって都合よく奇跡なんて起こらない) その足で、放心状態で近くにある研究施設をぶっ潰した。 しかし、その場で内なる声が『無駄』であることを残酷にも告げてくれた。 どうすればいいか分からなくなった。 時間が来るまで鉄橋で泣いた。たった一人で泣いた。 誰にも見られることも聞かれることもなくたった一人で弱音を吐いて涙を落した。 どうにもならない無限地獄の中、たった一人で思い悩んだ少女は一つ結論を出した。 (…………泣き叫んだら来てくれるヒーローなんていない) 少女は心中でずっと叫んでいた。 誰かに縋りたかった。 助けてと願っていた。 しかし、それは叶わない願い。 一万人以上も見殺しにした自分に救いの手が差し伸べられることはないことを突き付けられた現実。 だったら、自分も命を賭けて。 自分の手で実験を中止に追い込むしかない。 そう考えて少女は走り出した。 (……………………、) 本当はたった一人。 自分の味方をしてくれそうな少年が現れてくれることを心のどこかで期待していた。 しかし、その少年は現れなかった。 幾度となく勝負を挑んで、それでも勝てなかった少年。 レベル5の自分を凌駕するその少年ならば。 いつもなんだかんだ言いながら付き合ってくれる優しい少年ならば。 全てを打ち明ければ助けてくれるような気がしていたのだ。 しかし、少年は現れなかった。 一万人以上も見殺しにした自分を構ってくれる存在がいることを期待するなんて虫が良い話だ。 少女はそう考えて苦笑を浮かべた。 そして、到着した。 思った以上に時間を食っていた。 第一〇〇三二次実験場。 命を賭ける、と思っていながら、体は恐怖に竦んでいたのかもしれない。 そう思った。 しかし、目の前の現実を見せられて全ての思考は吹っ飛んだ。 居ても立っても居られなくなった。 即座に現場に飛びこむ。 「その子から離れなさい!」 まっすぐ、相手を見据えて叫んだ。 「あン?」 対して、相手は肩越しにこちらに視線を向けてきただけだ。 もっとも、それだけで少女の中に再び絶望的な恐怖が渦巻いてくる。 だからと言って逃げ出すわけにはいかない。 ここまで来てしまった以上、やるしかない。 「その子から離れなさいって言ってんのよ!」 少女=御坂美琴は吼えた。自らを奮い立たせるためにありたっけの声を出して叫んだ。 自分のクローン=妹達の無残な姿を見せられて。 でもまだ、生きている姿を確認できて。 今度は、殺される前に飛び出せた。 あの日は、『電車』の一車両だったが、今回は妹達に『コンテナ』が落ちてくる前に飛び出せた。 もう逃げることはできない。 もうやるしかない。 「何だ、またテメエか……あーあ、参ったねこりゃ。前にコイツらにはテメエには手を出すな、って言われてンだが、ソイツをぶっ殺すにやテメエを排除するしかねエしなァ。オイ、先に言ってやる。死にたくなかったら消えろ格下」 相手=一方通行は御坂美琴を見据えてぶっきらぼうに、面倒臭そうに呟いた。 「馬鹿言わないでよ。だったら、この場に飛び出してこないわよ」 が、美琴は、頬に恐怖の汗を浮かばせながらも一方通行を睨みつけて言い返す。 全身が恐怖で委縮しているのは分かっている。 それでも御坂美琴は一方通行の前に立ちはだかる。 「じゃあ何? 殺されても文句は言えねェってことになるンだが構わねェか? 俺自身はソイツを殺さねェと今日の実験が終わらねェ。前回は『終わった後』だったから、アイツらは止めに来たけど、今回は止めに来ねェぜ?」 「承知のうえよ!」 「ほぉ…………そンじゃま、始めっとすっか……?」 呟き、一方通行はすっと両手を柔らかく握って軽く開き、 同時に、美琴はポケットからコインを取り出して構えた。 「あン? またそのシケた『切り札』なの?」 「うるさい! 今度こそアンタに当ててやる!」 言い募る美琴だが、それは建前でしかない。 当然だ。 美琴はこの実験を終わらせるために『自らの死』を選んだ。しかも、それは『樹形図の設計者』が導き出した一八五手の決着ではなく、最初の一手という『実験の根本』を覆そうという手段で。 つまり、反射される『超電磁砲』をその身に受けて全てを終わらせるつもりなのである。 「いっけえええええええええええええええええええええええええええええ!!」 咆哮一閃! 美琴は勢いよくコインを弾いた! 音速の三倍で解き放たれたクリムゾンのエネルギー破。 通常の相手、一方通行と『あの馬鹿』以外の相手であれば一撃必殺の美琴の切り札。 おそらく、第二位の垣根提督や第四位の麦野沈利でさえも、自らの能力と相殺はできても弾き返すことはできないであろう光の弾丸。 その身に受ければ、御坂美琴自身も粉々になるであろう閃光を一方通行めがけて解き放ったのだ! 「けっ、無駄だ無駄だ」 嘲笑を浮かべて一方通行が『反射』! 光の弾丸は、今度は美琴へと狙いを変える! 美琴はその身に受ける覚悟を固めていた。 いや、固めていたはずだったのだ。 しかし―――― 「なっ!?」 美琴は解らなかった。 気がつけば、回転レシーブの要領でかわしてしまっていた。 「どうして…………」 美琴は愕然とした。己の行動が信じられなかった。 「くっくっくっくっく……なるほどな。テメエ、さては今の反射された一撃を受けるつもりで撃ちやがったな?」 一方通行のセリフにギクッとする美琴。 「ヒャーヒャッヒャッヒャッヒャ! 無駄無駄無駄なンだよォ! 『樹形図の設計者』の予測シミュレート一八五手前にテメエが死んて終わらせようってか? 悪ィが、そいつは無理だ!!」 「…………アンタも知ってたのね? けど、実験の根幹は『私がアンタに一八五手で負ける実力』よ! それが覆れば実験は続けられないわ!」 「じゃ、何でテメエは今避けた?」 「――――!!」 「クックックック、『樹形図の設計者』を舐めてねェか? アレがただ単に『一八五手』を導き出すわけねェだろうが」 「どういうことよ?」 「オイオイ、今、身をもって知ったじゃねェか。人に限らず『生き物』ってのはな、『命に関わる危険』が迫ると、己の意思がどうあれ『本能的に回避』しちまうンだぜ。それも計算に入れての『一八五手』なンだよ」 一方通行の衝撃の発言に御坂美琴は頭の中がショックの鐘が鳴り響いた。 背景が自分も含めて協調反転されたような気がした。 「つまりだ。実験を終わらせるにゃ、『俺がレベル6になる』か、『俺が最強でなくなる』か、の二択しかねえってわけなンだが、そこんトコ、楽しく理解してくれてンのかァ?」 「くっ!」 美琴は立ち上がった。 実験を終わらせる方法が自らの死ではなかったことを思い知らされてしまった以上、やることは一つしかない。 万が一の確率でしかないことをやるしかないのだ。 しかも、それが『樹形図の設計者』の思うツボだと解っていながら、だ。 「なら! アンタを『最強の座』から引きずり下ろす!」 レベル5同士の戦いである以上、何かの間違いで美琴が勝ったとしても、それは誤差の範囲内で済まされるかもしれない。 だから『何かの間違い』で『勝利する』ことは許されない。 明らかに『誰の目から見ても』美琴が『勝利した』でなければならない。 そんなことができるのか? 美琴は心の内で悲観的になる。 が、そんなことを言っても始まらない。妹達を救うために、自らの罪を償うために、今まで動いてきたのに諦めることなど許されない。それなら最初から見て見ないふりをすれば良かっただけだ。 「そンじゃま、今度こそ、本当にゲーム開始だ!」 言って、一方通行は地を蹴った! 当然、結果は見えていた。 美琴の繰り出す攻撃は何一つ通じない。 電撃だろうと、砂鉄の嵐だろうと、砂鉄の剣だろうと、空気を電気分解して一方通行の周りにイオンを創り出そうと、全てが弾き飛ばされ、逆に一方通行の攻撃はすべてが当たる。 しかし、美琴の『本能』がどうしても『死』という最後の一線を越えさせない。 「かはっ!」 美琴は肩を押さえて、座り込み、背を周りに突き刺さった鉄骨に預けていた。 制服の裾はところどころ破れ、露わになっている手足、顔、髪は痣と埃まみれになっていた。 もちろん、一方通行は無傷だ。 「あ~あ。つまンねェなぁ……レベル5同士なンで、もうちっと楽しめるかと思ってたンだが……」 拍子抜けした表情で頭を掻く一方通行。 「こりゃ視力検査と同じだな。アレは二.〇までしか計れねエわけだが、テメエは二.〇でも、俺は一〇.〇くらいありながら『二.〇』って判断されてるってコトなンだろうぜ…………」 やる気が失せた声で呟いてから、一方通行が美琴へと、無造作に手を伸ばす。 しかし、美琴に蓄積されたダメージは小さくない。一方通行のゆっくり伸ばされる手でさえもかわすことが困難なほどに。 「そろそろ、終わりにすっか?」 好事家のような笑いで一方通行は御坂美琴へと手を伸ばす。 その手が美琴に触れれば、美琴は体中の血管が爆発する。 逃げ場はない。 となれば、 「お?」 突然、一方通行の目の前で美琴の体がドシュウ!と音を立てて吹っ飛んだ。 むろん、一方通行がやったのではない。 美琴が自分自身を飛ばしたのだ。 (磁力による強制離脱! ダメージになるからやりたくなかったんだけど!) がつん、と鉄製のコンテナに背中から激突! 「くはっ!」 一度、息を吐いた時、そこには赤いものが混じっていた。 そのまま、ズリズリと背中を滑らせて落ちていき、再び座り込む。息も荒い。 「…………お姉さま……、とミサカは呼びかけます…………」 どうやら、飛んだ方向は妹達の傍のコンテナだったらしい。 「何よ…………?」 「お姉さま……逃げてください、とミサカは警告します…………」 「――――っ!」 「ミサカは…………必要な機材と薬品があれば、ボタン一つでいくらでも自動生産できる、単価にして十八万円で作られる実験動物です…………お姉さまが命をかけてまで守る価値のない……………」 「誰がそんなことを言ったの……?」 美琴の声に怒気が孕んでいた。 「え…………?」 「誰が『私が命をかけてまで守る価値が無い』なんて言ったの? って聞いてんのよ!」 「そ、それは…………」 「周りに『実験動物』って言われたからって、ハイハイ頷いてんじゃないわよ! だいたい、実験動物ならどうしてアンタは『私があげたワッペン』を後生大事に抱えてくれたのよ! どうして私にミルクティーを要求してきたのよ!! どうしてあの子猫を助けようって協力を求めてきたのよ!!」 美琴の剣幕に妹達は押し黙った。 「いい? あの行動一つ一つは『アンタがアンタとして』居たいからの行動なの。アンタは『動いていること』って言うかもしんないけど、アレは『生きていること』の喜びを表したものなのよ!」 「ですが…………」 「じゃあもう一つ聞くわ。どうして私に逃げろって言うの?」 「それは……ミサカはミサカのためにお姉さまが殺されるのは忍びないと思い……、とミサカはお姉さまを気遣った結果で…………」 「何で『実験動物』のアンタが『私を気遣う』の?」 「…………………」 「それが『心』よ。アンタはアンタ以外の誰でも無い『アンタ』って証よ。実験動物なんかじゃない、『人』としてのアンタの『心』よ」 美琴は立ち上がった。怒りがダメージを和らげた。 いや、正確には、怒りがダメージを忘れさせた。 「お姉さま…………」 「だから私は戦う。正直言うと、ここに来るまでは『死のう』と思っていたけど、今は違う。アンタを助ける手段が一方通行を倒すしかない、なら抗い続けるまでよ!」 御坂美琴は勇ましく吠えた。 ――――!! 刹那、『死』ではなく『生』を選択した美琴の頭の中で閃光が走った。 生きようとする本能が、御坂美琴の演算能力を強烈にプッシュしたのだ。 (反射……ベクトル操作…………でも、根本を『重力の操作』とするなら…………) 美琴は頭脳を高速回転させる。 これまでの一方通行の攻撃パターンを頭の中で分析し、解析を進めていく。 そして、たどり着いた。 ついに、見つけ出した。 一方通行の『ベクトル操作』に対する突破口を。 御坂美琴の『電撃使い』としての能力で対抗できる策を。 ニヤッと、美琴は自然に笑みが浮かんだ。 「あン?」 無造作にゆっくりと近づいてきていた一方通行がいぶかしげな声を漏らして、 「ふふっ」 美琴は思わず声を漏らして笑った。 「何だ?」 「あー、はっはっはっはっはっは! 何だ簡単なことじゃない! 何が最強の力よ! 何が第一位よ!」 美琴は高らかに笑った。 「オマエ……気でも狂ったか…………?」 「うふふ、いいえ、私は正常よ。ま、アンタを攻略できる方法が分かったんでテンションあがっちゃったんだけど」 両手を広げて言い募る美琴。 「俺を、攻略できる?」 「ええ、見せてあげるわ!」 一方通行の疑問の声に応えるように、美琴は頭髪を一櫛、跳ねあげて電撃を発射。 「はァ……何かと思えば…………って、がっ!?」 ため息を吐こうとした一方通行に、なんと美琴の電撃が当たったのだ。 「て、テメエ…………?」 「ふふん。言ったでしょ。アンタを攻略できる方法が分かったって」 言って、もう一発打つ。 これも当たる。 当たれば生身の体の一方通行にもダメージはある。 一方通行はベクトルを操作して間合いを取った。 「な、何が……?」 「教えてあげるわ。なんたって知ってもどうにもならないしね」 「―――――!!」 腕を組み、勝利の笑みを向ける美琴に一方通行は声にならない驚嘆を表した。 「解ってしまえば単純なことだったわ。アンタはこの世のすべてのベクトルを操る。言い換えれば『全ての重力』を操作している」 「………………」 「さて、重力って聞いて何かピンと来ない? 私の能力と兼ね合わせると」 「――――電……磁力!?」 「その通り! そして磁力には常にS極とN極が存在する! アンタのベクトル操作=重力を分析解析、磁力に変換して、S極とN極を見出す! アンタのこれまでの攻撃で充分解析できたわよ! 私は常に『アンタに引き合う磁力を乗せた電撃』を撃てば、アンタは反射してるつもりが引き寄せてしまうって結果を招く!」 説明を終えて、美琴はダッシュをかけた。 もう躊躇う必要はまったくない。 美琴にとって一方通行はすでに最強でも敵わない存在でも無くなったからだ。 「チッ!」 それは一方通行にも理解できることだった。 形勢は一気に逆転した。 美琴の電撃が、砂鉄の攻撃が全てヒットする。 一方通行は、周りのコンテナや鉄骨を盾にするしかできず、例えコンテナや鉄骨を美琴めがけて放とうが、それは美琴の『電磁力』によって弾かれる。 ならば、自身で間合いを詰めて直接攻撃、と行きたいところだが、猛スピードで間合いを詰めようとも、ベクトル操作を磁力変換され、S極とN極を創り出す美琴の電磁力発動によって反発し、間合いを与えてしまって、逆に、遠距離反撃を喰らう羽目になってしまうのである。 これでは一方通行は八方ふさがりだ。 「ぐおっ!!」 一方通行は美琴の何撃目かの攻撃をまともに受けてもんどりうった。 「ハァ、ハァ、ハァ……これで……実験が終わる…………」 美琴は一つ深呼吸した。 一方通行は操車場、砂利の上に大の字になって考えいてた。 (クソが……この俺が格下の能力に抑え込まれるなンざ…………もう少し……で、『無敵』が手に入るってのに…………) 一方通行の頭の中を、この実験についてが再確認されていく。 実験に対しての協力要請。 過去一〇〇三一回の実験。 そのすべてが詳細に流れてくる。 妹達がクローンであり、出来損ないであり、乱造品であり、人形である、という認識を一方通行は持っている。 そう教えられたから持っている。 アレは人間ではない、と。 しかし、クローン製作のためのDNAマップ提供者、オリジナルは彼女たちをクローンでも出来損ないでも乱造品でも人形でも無い、一人の『人間』として見ていることは分かる。 今、目の前の死に損ないの妹達を命がけで守ろうとしているのは分かる。 だが、一方通行には、なぜ、そうまでしてクローンを守ろうとするのかが分からない。 そのことがオリジナルの力を引き上げたことが分からない。 一方通行が教えられたのは、戦闘経験による成長速度の促進であり、『誰かを守る』という意思が成長を促すとは思ってもみなかったのである。 いや違う。 一方通行の頭の中で内なる声が聞こえてきた。 オリジナルは自身の能力を何一つ引き上げてなどいない。 学園都市二三〇万人の頂点、レベル5の第三位の力は変わってなどいない。 ただ単に、『その攻撃』が一方通行を捉えることができた、それだけなのだ。 その方法を見つけ出したから、一方通行に攻撃を加えることができた、だけだ。 『攻撃が当たる』から、一方通行を押しているだけなのだ。 当然だ。 一方通行の能力はあくまでも『ベクトル操作』。相手を直接『攻撃』するための力ではなく、『ベクトルを操って』何かを『武器にして』攻撃する力なのだ。 では、その『ベクトル操作』が何らかの手段で破られたとしたら? それでは、極端な話、レベル5ではなくレベル1の力でも『異能の力』が当たれば、通用するということにならないか。 ましてや、一方通行はその『最強の能力』ゆえ、鍛える必要もなく、身体そのものは脆弱といっても過言ではないのだ。 だとすれば。 一方通行は考える。 今、この窮地を脱するベクトル操作とは何か。 オリジナルの電撃攻撃をかわすことができないのであれば、抑え込む力とは何なのか。 無い物ねだりはできない。 そんな時間などない。 一方通行は考える。 この間、わずかコンマ八秒。 そして―――― 「く、」 見つけた。 最大の武器を。 オリジナルを確実にねじ伏せられる力を。 『電磁力』程度ではどうにもならない力を。 「くか、」 一方通行の不気味な声が聞こえてきて美琴は立ち止まった。一方通行から何か、危険な何かを感じ取ったからだ。 しかしもう遅い。 「くかき、」 一方通行の力は触れたモノの『向き』を変えるというもの。運動量、熱量、電力量、それがどんな力かは問わず、ただ『向き』があるものならば全ての力を自在に操るもの。例外は美琴が見つけ出した『ベクトルの磁力変換』のみ。 「くかきけこかかきくけききこかかきくここくけけけこきくかくけけこかくけきかこけきくくくくききかきくこくくけくかきくこけくけくきくきこきかかか――――ッ!!」 ならば。 この手が、大気に流れる風の『向き』を掴み取れば。 世界中にくまなく流れる、巨大な風の動きそのすべてを手中に収めることが可能――――! 轟!!と音を立てて、風の流れが渦を紡ぐ! 一方通行が両手で何かを掴もうとするがごとく天に突き上げたその先で。 「なっ!?」 声を上げる美琴だが遅い! 殺せ、と一方通行が言葉を紡いだ刹那、風速一二〇メートルの暴風が美琴に襲いかかった! むろん、その威力は美琴の肉体を吹き飛ばすことなど造作でも無い! 「きゃあああああああああああああああ!!」 抗う術を持たず、美琴は後方に吹き飛ばされる! その先には巨大な鉄塔! 「―――――って、なぁめぇんなぁぁぁぁぁああああああああああああああ!!」 しかし、そこは美琴もレベル5の猛者! そのハイレベルな演算能力が即座に対抗策を導き出す! 風圧から抜け出すことはできなくとも、鉄塔に激突すことを回避する手段を弾き出す! 鉄塔に対して『反発磁力』を展開! 『押される力』を急速に『抑え込み』、鉄塔にぶつかる直前、『磁力の反発』で横向きに着地! そのまま、飛び降りて、これまた磁力の力で衝撃を和らげて、大地に降り立つ。 前を見据えてみれば、一方通行がゆらりと、前髪の影に瞳を隠して、立ち上がっていた。 「…………咄嗟に思い付いたンだが、こりゃ、相当の威力だなァ……『反射』とは違って、『向き』を自分の意思で変更させる場合は『元の向き』と『変更する向き』を考慮しなけりゃなンねェわけなンだが………この付近の『大気』だけでもこの威力…………くっ、」 美琴はハッとした。 さっきまでの一方通行じゃないことがはっきりと悟れて。 さっきまでの敗色濃厚だった表情が一変していて。 声を上げて哄笑していて。 「クッ……カッーカッカッカッカッカッカッ! なるほどな! 確かに『強い相手』と戦うとレベルアップするってのは本当のようだなァ! 超電磁砲!」 一方通行が初めて美琴のことを二つ名で呼んだ。 格下でもオリジナルでもない。 御坂美琴の代名詞である『超電磁砲』と呼んだのだ。 それはすなわち。 一方通行が御坂美琴を『真の敵』として認めたからだ。 一方通行が御坂美琴を『対等の存在』として認めたからだ。 この瞬間、一方通行は自分が『最強ではなくなったこと』を認めたのだ。 だが、それは一瞬。 「だからよォ――――愉快なことを思いついた。テメエに対する『敬意』でコイツをくれてやるぜ!!」 吼えると同時に、一方通行は再び両手を天へと掲げた。 瞬間、大気が渦を巻いて再び集まり出す。 「…………何を?」 美琴は周囲に吹き荒れる暴風に耐えるしかできない。 台風並みの暴風が吹き荒れている以上、コインを取り出すことすらままならないのはもちろん、照準すら合わせられないので超電磁砲を撃つことはできない。 ならば、拡散型の電撃を、と展開させてはみるが、大気の渦に飲み込まれてしまう。 なす術はない。 ただ一方通行のやることを眺めるしかできない。 しかもそこには、風の大気の塊が眩い白色光を放っていた。 (高電離気体【プラズマ】――――!) 美琴の全身が、いきなり北極海の海の底に落とされたように凍りついた。 空気は圧縮されることによって熱を持つ。 あまりの圧縮率で凝縮された空気は摂氏一〇〇〇〇度を越える高熱の塊と化す。 電撃使いとしての御坂美琴は学園都市最強最高の実力者であり、それは何も『能力』に限定されるものではなく、『知識』についても同義なのである。 そんな美琴の頭脳が導き出した答えは―――― 『アレを防ぐことはできない』 絶望的な答えしか見出せなかった。 まさか、土壇場でこんなどんでん返しが待っているとは思わなかった。 追い詰めらた野獣に『生き抜くため』の新しい力を引き出させる結果になろうとは思わなかった。 プラズマは『電撃』でどうにかなるものではない。 確かに、プラズマは原子を陽イオンと電子に分離されたものだ。だから、電撃使いの力で『電子』を陽イオンに組み込んで原子に戻すことはできるかもしれないが、そんなもの時間稼ぎにすらならない。なぜなら一方通行は大気がある限り、半永久的に再構成できるからだ。 なぜならプラズマの元は『風』なのだ。 とすれば、『風使い』が大気を乱す以外、あのプラズマを拡散させる手段はないのだ。 美琴は歯噛みした。 結局は、一方通行に勝てないのだと悔しくなった。 あそこまで追いつめたのに。 勝利まであと一歩だったというのに。 それなのに、結局は『第一位』という壁に阻まれてしまうのかと、妹達を救えないのかと慟哭した。 しかし、それでも意外なところから御坂美琴に救いの手が差し伸べられる。 「何だ!?」 突然、上空の空気の塊が揺らいだのが見て取れて、一方通行は驚嘆の声を上げた。 (チッ……計算を誤ったのか…………) 舌打ちしてから、再び圧縮させようとして、 しかし、空気の塊は一方通行の計算をあざ笑うがごとく、拡散の一途を辿る。 (何だ? 俺の計算式に狂いはねえ――――!) 一方通行は気が付いた。 大気の流れ、風の流れがかなり不自然なことに。 一方通行の演算とは必ず逆の方へと流れることに。 (待てよ。聞いたことがあンぞ。確か、発電機のモーターってのはマイクロ波を浴びせっと回転するって話が――――!) 学園都市の発電機とは何か。 答えはそれだ。 一方通行は、ある方向へと視線を合わせた。 そこにいるのは打ちのめしたはずの妹達だ。 しかし、違った。 そこにいたのは一方通行の敵だった。 今にも倒れそうな体を無理矢理奮い立たせて、体中が悲鳴を上げている激痛にさえも堪えて一方通行を睨みつける『敵』だった。 「この、ヤロウ…………っ!」 「ミサカも…………」 息絶え絶えに妹達は言い募る。 「ミサカも…………お姉さまを…………守ります、とミサカは……ここに……宣言します………ミサカに……命の価値を……心を吹き込んでくれたお姉さまに報いるために……、とミサカは戦う決意を新たに………します…………」 学園都市には九九六八人の妹達がいる。 その妹達が、今この場にいる一〇〇三二号の見ているものをミサカネットワークを通じて、学園都市中にある『風力発電用のプロペラ』を操っているのだ。 そしてそれはそのまま。 一方通行が御坂美琴を倒すために、まず先に倒さなければならない相手が妹達であることを意味していた。 しかし、それが意味することは逆に一方通行を再度、追い詰めることにもなる。 「殺す!」 吼えて一方通行は地を蹴った。 今、この場にいる妹達さえ殺してしまえば大気のコントロールを取り戻せるからだ。 もっとも、 「させると思う?」 一方通行のスピードを凌駕したかのように、彼と妹達の間に割ってくる影一つ! 「なっ!?」 気付いた時はもう遅い! 「ちぇいさー!!」 掛け声とともに繰り出された上段回し蹴りは、まともに一方通行の側頭部にヒットした! 一方通行は頭に血が上っていて周囲に気を配るのを忘れていた。 しかも、妹達を攻撃するために『反射を切って』いた。 その一瞬の隙を完全に突かれたのだ! 「お姉さま……」 「ありがと。おかげで助かったわ」 美琴がとびっきりのウインクを妹達に見せる。 しかし、即座に一方通行に向き直り、 「これで終わりよ、一方通行。もうアンタに手は残されていない」 「くっ…………」 大気を操る力を捥がれた今、通常ベクトル操作では美琴に敵わないので、これで一方通行は本当に追い詰められた。 静かに。 再び、美琴はコインを構えて一方通行へと突きつける。 「この実験に協力するのを止めなさい。そうすれば、この場は見逃してあげる」 「………………」 「できないなら、私がアンタを『殺す』。樹形図の設計者は『一方通行以外でレベル6に到達することはない』という予測シュミレートを弾き出している。なら、アンタがいなくなる以外で実験を止める方法が無いなら私は躊躇わない」 「………………」 宣言がハッタリではないことを証明するがごとく、美琴は全身を火花でスパークさせる。 「できないと思ってる? 悪いけど、私は善人じゃない。だって、私はもうアンタと同じで一万人以上の妹達を殺しているのよ。今さら躊躇いなんてしないわ」 「…………そりゃ、テメエの思い込みだ……実際に殺したのは俺だ……テメエじゃねェ…………」 「同じよ。私がDNAマップを提供しなきゃ、起こらなかった惨劇なんだから」 「ちっ…………」 「さあ、どうするの? 三つ数える内に結論を出しなさい」 以前、とある研究室に忍び込んだときに出くわしたボディーガードに対して言ったセリフを今度は一方通行に突き付ける美琴。 対する一方通行は、 (クソが……この俺がここでやられるってか…………無敵の称号を諦めろってか…………だったら、今まで一万人以上殺してきたのは何のためなンだっつうの…………!) 諦め切れなかった。 当然だ。 学園都市最強ゆえに、突っかかって来る鬱陶しい馬鹿は後を絶たなかった。 町中でケンカを売られるなんざ当たり前。 時に留守中の部屋を荒らされることさえあった。 そんな生活に嫌気がさし、誰も突っかかって来ない『無敵』を望んだのは一方通行の意思だ。 たとえそれが学園都市側の意向だとしても、受け入れたのは一方通行の決断によるものだ。 それを約半分までこなした。 ここまでやって引き返すことなどできなかった。 今の一方通行は、ある意味、それが妹達に報いる唯一の方法だとも思っていた。 殺されるためだけに生み出された存在、妹達。 しかし、だからと言って彼女たちは存在しなかったわけではない。確かにそこにいたのだ。 ならば彼女たちが生きた証を残してやらなければならない。 それが『レベル6』だということを一方通行は自分に言い聞かせてきた。 もちろん、一方通行はそれを否定するだろう。しかし、それでは一方通行がこの実験中、何度も何度も妹達に話しかけたりはしない。罵ったりはしない。 それは一方通行の心の奥底だけが知っていたことだ。 本当はこの実験を続ける気などなかったと。 妹達が「もう戦いたくない」と言うのを待っていたと。 実験を取りやめる大義名分が欲しかったのだと。 ところが、すでに一方通行は後戻りできないところまで来てしまっていた。 最初の方は思わなかったが、一万回以上も顔を付き合わせていれば、嫌でも情が湧く。 もちろん、一方通行は否定するだろうが、心の奥底では、そうは思わない。 それが人間だ。現に一方通行は自分に襲い掛かってくる馬鹿を殺したことは一度もない。 だから『レベル6』を諦めるわけにはいかない。 「――――三つ」 御坂美琴が静かに告げる。 「答えは?」 冷徹に聞いてくる。 一方通行は答えられない。いや、沈黙が答えだ。 「そう――――だったら、私も容赦しない――――」 言って、美琴が全身のスパークにさらに拍車をかけた。 「この一撃をアンタは避けられない。避ける術はないのよ。でも安心して。アンタが背負ってきた業の深さはこれからは私が背負う」 ぎりっと一方通行は歯噛みした。 何かないかと。 この土壇場でも何かないかと頭の中を高速回転させて模索する。 この場でベクトル操作できるもの。 大気は、超電磁砲の後ろにいる妹達に阻まれている。 鉄骨レールやコンテナは超電磁砲には通じない。 そして、超電磁砲の電撃はベクトル操作の磁力に引き寄せられる。 何もないのか。 操れるものは何もないのか。 一方通行は頭を高速回転させる。 (くそ…………あの電磁力を止めるためには…………) フル回転させる。 「終わりよ! 一方通行!」 吼えて、美琴はコインを撃ち出した! 二度目の、いや前の河原の分を数えると三度目になる超電磁砲を! 文字通り、三度目の正直となるための超電磁砲を撃ち出したのだ! 「クソッタレェェェェええええええええええええええええええ!!」 一方通行になす術はない! ――――はずだったのだが、 ――――――!! 一方通行は言った。 生物は『本能』によって『命の危険』を無意識に回避する行動をとる、と。 御坂美琴は身を持ってそれを知った。 『死のう』と頭で決めていたのに、体が言うことを聞かなかったその時に知った。 しかし、それは何も『御坂美琴だけ』に当て嵌まることではない。 一方通行とて『一人の人間』なのだ。 『本能』で『身の危険を回避する』生物なのだ。 一方通行は最初、何が起こったのか分からなかった。 無意識に何かをベクトル操作したとしか思わなかった。 だが、それは今、この状況を逆転させるための決定的で絶対的な手段だった。 「これ、は…………」 超電磁砲の光線が一方通行と御坂美琴の間で止まっていた。 御坂美琴と妹達の瞳が自分を捉えているようにも見えなかった。 今、この場の全てが停止していた。 まさかと思った。 恐る恐る光線の軌道から体を少しだけズラした。 瞬間、再び光線が音速の三倍をもって一方通行へと向かってきた。 正確には、ついさっきまで一方通行のいた場所へと。 もちろん、今は誰もいない。 大地を線上に黒焦げにしただけだ。 「え?」 美琴にも分からなかった。 今、何が起こったのか分からなかった。 回避不能の一撃を放ったはずなのに、一方通行に避けられたことが分からなかった。 ニヤリ、と一方通行は笑った。 一方通行は何が起こったのかを理解した。 自分が何を『ベクトル操作』したのかを理解した。 「クックックックックック……………」 再び、笑いが込み上げてくる。 敗北の、絶望の淵に立たされた焦燥感が霧散し、新しい段階へと引き上げられたことを確信した自分に高揚感を与えてくれる。 もう、超電磁砲は敵ではなくなった。 「ギャーッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハっ!」 堪えられなくなって声を上げた。 一方通行は笑いが止まらなかった。 そしてひとしきり笑ってから―――― ギン、と御坂美琴を睨みつける。 その瞳は勝利の確信に満ちていた。 「超電磁砲! テメエの負けだァァァァァあああああああああああああああああああああああ!!」 吼えて、一方通行は地を蹴った! 足の裏のベクトルを爆発させて地を蹴った! 「くっ!」 御坂美琴は再び、コインを取り出し、一方通行をロックオン! 「なら、もう一発よ!」 美琴は叫んで再び超電磁砲を発射した。 それが――――御坂美琴のこの世で最後に撃つ超電磁砲となるとも知らず―――――ではなく、気付くこともなく――――― 前ページ次ページ上条さんと美琴のいちゃいちゃSS/御坂美琴の消失
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◆トレーナーデータ / / | | Ⅳ ハ,.ィ ∨ム ', ′ l ! { i / } | !⌒>∨ム ', l |v! l | V ', /| ; | | ヾ V i ', l { ', l ,'| V { | ,' | | ゙Y l | l ', l ∧| l | l \ ; / l /j 〈 l ! lⅥ l ; l V |__l l l\ ,' / ;/ } l | | !| | || リ{ lv l | Ⅵ 「`l ,'j /  ̄ ̄ ̄`` 、 };へ |! | |.! /イV /, lヘ!从 {\`V{. / / ̄` /〈 } |/ !{ l | Ⅳ ∨ l rf^佗う卞、 / 、__,ィ ) / , | ! v { rくマ i 之沙  ̄ ̄´ '´イ | 八 } \ゝ ', ;^´ | | >- , 〉 / | l ゙ , / ト, l l | !', | . r‐ 7 イ ,i | V l l ;| l ; | 个 ., ` ー ´ / ;i , | l .Ⅵ ./.{ l ゙| l | √> . ,... | ヽ リ| i .l ! } | / v! } ,'! Ⅳ ノ \≧=≦ レ.∧ | l V リ | | / ! , -〈 \ ,. < \ | _ -=ニ´ V /^ ー┐V }iト .,_ r‐ ¨´ ∨ , ' | ∨ ′ ≧s。.,_ / へ /∧ ∨_/ l \__/ ', }, / \ ' /,∧ Vム l l l } |',. / ‘, ∨ハ Vム l l l l | ', / ゙, V ', Vム l l l l ,' ハ 【パーティ名】《琴刹レールガンズ》 ◆監督名:御坂美琴(AA出典:『とある魔術の禁書目録』より「御坂美琴」) ◆トレーナーステータス 指示:C+ 育成:C- 統率:B+ 能力:AA ◆固有ポテンシャル 『迸る稲妻の領域』… 御坂美琴固有ポテンシャル。 味方が場に出た時、5Tの間全体の場を「エレキフィールド」状態にする。 『これが私の超電磁砲!』… 御坂美琴固有ポテンシャル。先行入力 一番最後に「技能拡張:ちょうでんじほう」による追加行動を得る。 この時、味方の「特攻」をトレーナーの「能力」と同ランクに出来る。 ◎「ちょうでんじほう」… 特殊/電/150/90/単体/×/10割:麻痺。 次T、「行動不能」状態になる。 ◆SP:波風ミナト(AA出典:『NARUTO』より「波風ミナト」) 統率:A+ サポート効果 《木の葉忍法・飛雷神の術》… 波風ミナトのサポート効果。 味方が「電」技で相手を倒した時、味方が任意交代する。 追加任命 トップバッター スカウター ◆BD:円堂守(AA出典:『イナズマイレヴン』より「円堂守」) 育成:A+ ◆選手 ,′ |ハリ λ |厶 Λ/ れ| /三 / 笊 ,'ニ彡 ∠/ ≠リ |三彡 _, '  ̄` γミ' / /彡 |三彡 . ´ ` ヽ /リ/ γ /ミ/ V彡/ y三ソ | ヽキソ y /三| ゝ― - 、 / .'三ミ ,ィ  ̄む) ,' 、 |三彡 / V /γぅ 、 _ , しミ彡' V リ犬ツ iづ ナ _ | \ ・ ゝ 'γ ヽ '. \ ヽ 乂 _ ノ , ′ / | ` 、 , `ヽ /.;.;\ ̄ T i´ _ 」 j V (.;(.;.;(.\ λ / ̄ \ _ V \ 乂 _ ノ  ̄Y V \._ノ |.;.;.;.;.;.;.;.V (.;. (.;.;(.;.ノ 【名前】ライチュウ(AA出典:『ポケットモンスター』より「ライチュウ」)♂ 【タイプ】でんき/エスパー 【特性】サーフテール… 場が「エレキフィールド」状態の時、「速」が2倍になる。 【もちもの】 【技x4:10まんボルト、サイコキネシス、きあいだま、スタンガード】 こうげき:B- ぼうぎょ:C+ ◎「スタンガード」…電/変/自/優先度+4。「まもる」技。「直接技」の場合、相手を「麻痺」状態にする。 とくこう:A とくぼう:B- すばやさ:A+ 【ポテンシャル】 『二枚看板』… 自身の全能力値を強化(1.33倍)し、技が急所に当たりやすくなる。(C+1) 『原始天賦』… 「ライチュウ」種の頂点たる『オールドタイプ』 『エース』になるとトレーナーの「統率」が1ランク上がる。 『雷獣』… 自身が『二枚看板』の時、「御坂美琴」と『魂の絆』を結ぶ。 『電気鼠の雷撃』… 自身の「電」技が相手のタイプ相性を貫通する。 『電気鼠の電乗』… 相手より「速」が高い時、相手の技の「必中」効果を無視する。 『電気鼠の相棒』… 味方の『アシスト』が自身に対しても発動する。 『電気鼠の任命』… トレーナーが「能力:A」以上の時、自身に『二枚看板』を任命する。 『ポケパワー』… 自身の全種族値に+補正を得る。 『先の先』… 相手が優先度+1以上の技を使用した時、低確率で先に行動する。 『魂の絆』… 場にいる限りトレーナーの指示を「1」ランク上げる。 低確率でポテンシャルを再度受けられる。 『対地回避』… 敵陣に「地」ポケモンがいる時、相手の「地」技の命中率を低下(0.85倍)させる。 『対地耐性』… 敵陣に「地」ポケモンがいる時、相手の「地」技のダメージを緩和(0.67倍)する。 『対地迫撃』… 敵陣に「地」ポケモンがいる時、低確率で自身の技のダメージが2倍になる。 『ド根性』 中確率で相手の攻撃以外のダメージを無視する。 『ツートップ』… 味方の『エース』が「瀕死」状態の時、自身に対し味方の『アシスト』が発動する。 zzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzz 『雷神宿りし電気袋』… ライチュウ専用ポテンシャル。 場に出た時、自身を「充電」状態にし、「特防」を一段階上げる。 zzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzz rュ≦ニ=…─-- . . -‐ ¨´ / / _ \ / / / ; `t、 ヽ . -、 / / / イ ′ i 、 マt、 Y } / イ / _ / | i | ハ ヽ マit { ヽ ト、 . {_,! ; /ヽ| | ! ; ┼- マl} ヽ \ .、 i | l i/ Y≠ャ、! .、 i _ヽ i ヽ\八 \! .ィ'ヽ. #x2165; { |{ .爪ハ!ヽi |'゙笊示t、 | ト、..> 、 \ / / .ィヽ ハ 弋.ノ ヽ l弋__..ノ/ l リ ト、 \ / イ ./ /l {.ィクク リ j ィ /i} 、 }¨ヽ、 \ { |/ / | l `ヽ 、_ __, .〈`yj/ /ノ .イ j \ \ ヽ __l/ /z=…ヘ ! r=≧、 ..ィ'/ }. イ .}¨ヽ / / / \ ヽ ヽ-/ /´ ヽ! 、 . { . `ニエ´イ . } . . ) ./ヽ . .y' / / ノヽ . {ハ. .{ Vヽ. . . Ц . ヽヽ /¨ヽ、`/ / / r'゙ } i |! ヽ._;> | . .f`=-ノ} =≠ . . . . . . . Yィ {~‐、 l {,ィ | l ` | . .l . . .// . . . . . . 、 . . . . . . . `ヽ __. 、. . .ヽ`ー' !.ィ/ 、. . . i/ . . . . . . . . . \ . . . . . . . . .\ ヽ .`<\ リ' ヽ. . {! . . . . . . . . . . . ._>、 . . . . . . .`ヽ \ . .`ー-、 }、 . . . . . . . . . . . . . . ノ\. . . . . . . .i .\ ` ‐- 、 ¨'…-、 { . . . ー-rt'¨¨´. . . . . . . .ヽ. .. . . ..ト、 . .`ー-、 \ . . . . __>──- 、 V . . . . . .ヽヽ . . . . . . . . . . . . . .…‐-ヘ . . . . . . . \ `¨¨ ‐- . . . . . . }_ 〈 . . . . . . . .} / . . . . . . . . . . . . . . . . . . . /ヽ- ..__ . . . `ー-- .._ `¨ヽ/ . 、. } {\ . . . . .ヽヽ . . . . . . . . . . . . . . . /、 \_八 . . . . . . . . . . . ¨ヽ、/\ .ヽl 〉 .{ y_ . . .}j . . . . . . . . . . . . イ \ / /`¨iヽ. . . . . . . . . . /\ . ヽ .! . . . . 7 ¨ヽ、___. . イ | _ ∨ / . .}  ̄¨ヽ _/、 . . . >'゙ ト、 . .\ y' / __j__j__... ィ'7 |__..ノ ロ ヽ _/ { . .i` .‐r`ー/__.. #x2220;イ」 / / { ヽ `ヽ、 .l . . .ノ/-‐ ¨ ̄¨ヽ、 / / ヽ.__ . /7 ヽy' / i // ' /{ | // く Y / ..、 | i { y イヽ `ヽ、 l l l / / \\ \ { | | ' / \\ ヽ ヽ { { ノ \\ 〉、 `¨¨´ \ヽ // ヽ 【名前】エネ(AA出典:『カゲロウプロジェクト』より「エネ」)♀ 【タイプ】でんき/みず 【特性】ダウンロード… 相手の「防/特防」を比較して、「防 特防」なら「攻」、「防≧特防」なら「特攻」が上がる。 【もちもの】 【技x8:ボルトチェンジ、ハイドロポンプ、れいとうビーム、エナジーボール、いたみわけ、みがわり、あらいながす、おにび】 こうげき:E ぼうぎょ:C とくこう:B+ とくぼう:C+ すばやさ:A 【ポテンシャル】 『スカウター』… 場にいる限り、トレーナーの指示の前に相手のデータを解析する事が出来る。 『変種』… 原種である「ネットナビ」種とは異なる生態を持つ。 『オールドタイプ』を無効化する。 『閃光姫の接続』… 「電」タイプの味方と交代する時、味方に能力変化を引き継ぐことができる。 『閃光姫の電脳』… 全体の場が「エレキフィールド」の時、場に出て最初に繰り出す技の優先度を+1する。 『閃光姫の改竄』… 相手がデータ解析された時、任意の能力を一段階上昇する。 『トランスミッション』… 自身への『指令』を『熟達(全開)』から『全開(熟達)』へ変化させることが出来る。 『先の先』… 相手が優先度+1以上の技を使用した時、低確率で先に行動する。 『対草回避』… 敵陣に「草」ポケモンがいる時、相手の「草」技の命中率を低下(0.85倍)させる。 『対草耐性』… 敵陣に「草」ポケモンがいる時、相手の「草」技のダメージを緩和(0.67倍)する。 『対草反撃』… 敵陣に「草」ポケモンがいる時、低確率で一番最後に追加行動を得る。 『ド根性』… 中確率で相手の攻撃以外のダメージを無視する。 zzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzz 『閃光の姫君の電脳紀行』… エネ専用ポテンシャル。 T終了時、「電」タイプの味方と交代して場に出る(離れる)ことが出来る。 zzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzz __ /ヽ ', ', | | / ', / } / ・ / ', _ ,ハ. ト..___ ノ! ./ } / / / / ∨ニニハ }ニニニニ| ./ / / />. -― -<. / ・ ./ {ミ==彡ー彡ニニニ i} /、 / // / ̄ ̄≧ / //⌒ < iニニニニニニニニニニニ乂/ニニ=≦ / ̄> ´  ̄ ̄ r ⌒V</\ ヽ }ニニニニニニニニニニニニニニニ / .ィ // ___ 乂_ノ `ヽ \ }'ニニニニニニニニニニニニニニニ { ,ノ } | >. ´ -<}  ̄ >、 } ≧=彡ニニ=--、ニニニニニニニニニニニー ァ''"´ / {__/ ヾ ( ・/ _// i' ∨ニニニニニニ\ニニニニニニニニ乂ニゝ--=< i `¨´ rー-'--==-- ,, \ニニニニニニニ',ニニニニニニニニ ハー-- ..,, ハ { _r'====-- !ニニニニ≧x.、 j{ニニニニニニニ}ニニニニニニニニ//∧__ > 、 ∧ ', / /{{_____jj___ |ニニニニニニニニ}/\ニニニニニニニニニニニニニ {///∧ ` < \ _ /ヽ,. く / / __}______.|ニニニニニニニニ}//{≧--==ミ、ニニニニニ///////} \ , }ハ / ∧ / /{{ ==}} |ニニニニ>彡 { ∨/∧ニニニニニ≧=-彡////////! ヽ/ } ー-- ,, __,〈 ∧`ー-/ ゙ く ー' ノ ー}--'--i!ニニ_ノ// j ∨/∧ニニニニニニニ//////////|! / , ` < ヽ ∧ 〈/ / ー===ァ//ニ{{ ハ 〉///>、ニニニニニ//////////}} ./ ― -- ― ''´ ̄ .\〉./ / / rf≦ニニ/ /ニノ/ ', ∨//////≧=-- ,,///////// / / /ニ { , __//ニニニ/ /ニニム } \////////////≧=--彡 / , /ニ/ ∧ { 厂 /ニニニ/ {ニニニニ} 乂///////> ''"´ / / {ニ/ / ヽ r==/ /ニニニニ, o !ニニニi!{__ ー- 二二> ´ / / レ/<ヽ= / / /ニニニニニ{ O |ニニニニニ \ _/ / / 〃ニ/ / / / /ニニニニニニ! !ニニニニニニ ≧=彡/ / / {ニ/ / / / /ニニニニニニ ハ Vニニニニニニニニニ,' / / .|/ / / / /ニニニニニニニニハ ∨ニニニニニニニ/ ,.. < / { { { { {ニニニニニニニニニニヽ ヽニニニニニ/ ,.. < > ´ | | | | |ニニニニニニニニニニニ\ \ニニ/ ,, < > ´ 【名前】イザナギ(AA出典:『女神転生シリーズ』より「イザナギ」) 【タイプ】でんき/かくとう 【特性】テラボルテージ… 相手の防護特性を無視する。 【もちもの】 【技x6:クロスサンダー、からたけわり、スチールソード、リーフブレード、つるぎのまい、つるぎでまもる】 こうげき:A+ ぼうぎょ:B+ とくこう:E とくぼう:C+ すばやさ:AA(B) 【ポテンシャル】 『不動のエース』… 「ここぞ!」という時、全能力値が上昇し、技のクリティカル率が上がる。 『道のヌシ』… 「地」技で受けるダメージを半減する。 『番長』… 「御坂美琴」がトレーナーの時、相手の「攻/特攻」の上昇(強化)を無視する。 『雷番長の貫禄』… 「ここぞ!」という時、自身の能力が減少(低下)しない。 『雷番長の鉢巻』… 「電」タイプの味方と交代(死にだし)して場に出た時、「てだすけ」状態になる。 『雷番長の学服』… 全体の場が「エレキフィールド」の時、相手の技が急所に当たらなくなる。 『マハスクカオート』… 自身の「速」の種族値がトレーナーの「能力」と同ランクになる。 『魂の絆』… 場にいる限りトレーナーの指示を「1」ランク上げる。 低確率でポテンシャルを再度受けられる。 『後の先』… 相手が自身より先に行動した時、稀に相手より先に行動することが出来る。 『対妖回避』… 敵陣に「妖」ポケモンがいる時、相手の「妖」技の命中率を低下(0.85倍)させる。 『対妖耐性』… 敵陣に「妖」ポケモンがいる時、相手の「妖」技のダメージを緩和(0.67倍)する。 『対妖反撃』… 敵陣に「妖」ポケモンがいる時、低確率で一番最後に追加行動を得る。 『気合い』… 稀に気合いで相手の攻撃を耐える。 残り体力が多いと発動しにくい。 『カウントアーツ』… 「ここぞ!」という時、自身の「避」を強化(1.33倍)する。 『キラー』がいると発動しない。 zzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzz 『天に轟く幾千の真言』… イザナギ専用ポテンシャル。 1/試 このポテンシャルは攻撃命中時に使用する事が出来る。 自身の技のダメージを2倍にする。 zzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzz // \ / / \ / / \ / / \ / / \ / / \ / / \ / / \ / / \/______/_____________\\ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ヘ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄/ \ ヘ / \ ヘ / \ ヘ / \ ヘ / \ ヘ / \ ヘ / \ ヘ / \ ヘ / \ヘ/ 【名前】ラミエル(AA出典:『新世紀エヴァンゲリオン』より「第五使途ラミエル」) 【タイプ】でんき/ひこう 【特性】プリズムアーマー… 急所無効。 相手の「こうかばつぐん」の技の威力を緩和(0.67倍)する。 【もちもの】 【技x6:でんじほう、エアスラッシュ、こうそくスピン、ふきとばし、おまじない、しんぴのまもり】 こうげき:C ぼうぎょ:A+ とくこう:C とくぼう:A+ すばやさ:D 【ポテンシャル】 『エースアシストα』… 場を離れる時、味方『エース』が最初に繰り出す技の威力を2倍にする。 『第五使途の撤退』… 相手の攻撃を受けた(無効化)した時、味方と任意交代することが出来る。 『第五使途の援護』… 「電」タイプの味方に自身の『付随』が必ず発動する。 『第五使途の結界』… 相手の「おいうち」効果を無効化する。 『ATフィールド』… 自陣に味方の技が展開されている時、相手の「攻/特攻」の上昇(強化)を無視する。 『後の先』… 相手が自身より先に行動した時、稀に相手より先に行動することが出来る。 『対岩回避』 敵陣に「岩」ポケモンがいる時、相手の「岩」技の命中率を低下(0.85倍)させる。 『対岩耐性』… 敵陣に「岩」ポケモンがいる時、相手の「岩」技のダメージを緩和(0.67倍)する。 『対岩反撃』… 敵陣に「岩」ポケモンがいる時、低確率で一番最後に追加行動を得る。 『ド根性』… 中確率で相手の攻撃以外のダメージを無視する。 『リターンヒール』… 味方と任意交代する時、中確率で味方の体力を1/4回復する。 zzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzz 『張り巡らせる拒絶の壁』… ラミエル専用ポテンシャル。 場に出た時、自陣に2Tの間「ひかりのかべ」「リフレクター」を展開する。 zzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzz _,7 _ア゙ .{i / 7 _,ア ´{i ,′ jI斗 ===ミ ア ./ {i 斗 ====‐ ≫''^´ _ ,,.. - ヽ. / / ´{i {二二二≫''゛ ,..。s≦⌒ `' 、 ‘, r‐=ニニニニ7/⌒マニニニ/ .。s≦ニニヽ. \ ‘, 人ニニニニ人} ⌒}ー=ミァ''^^⌒マニニニニ, `ー===‐- ミ、 / \‐ニニニ辷彡、__j(⌒ く、ニニニニj}L__ )'. / `'≪ニニニニ⌒`' 、 ノリー‐=''^´ }⌒`' 、 ′ / .' ^^ ‐=ニ _ニニニー=彡'ー===七I゛ニニニ\ . ′ { {`` { ^^i ‐=ニ _二二二ニニニニニニヽ . 乂 _{ァミ、、 i ___\j} ^^i}==--、-- ‐=七^゛ . { /⌒i{ 炒 丶^双苅j} j} \ \ . {. { 小 , ¨´ j} 从 ヽ i、/^i . {. 乂 {込 v ァ ノ /{i \ }ノ.′ ! . ,`ヾ,价s。 .。g≦ { ,.イ 从 } ,ノ i | >''^ .丶 ,′ ,丿 i{ {/ ``ヽノ i |_ >''^ .ヽ___, -‐‐ ′ {i__ '⌒Y´ 、__ ,r‐ ミ``ソァ ^V>''^ r‐(⌒′ ア'゙ ,j{i⌒Li. . j} 、 i⌒ ` 、 ` i′ァ' 、 ,,. _j{ } i{ / ア゙ _ ,,辷彡'ー'⌒ー‐'^ \ 、{ ァ'゙ Y´ _j{ニ=- / jI斗 '^^⌒ . /⌒∨ ヽ ヾ , j ,..。g i{ ′ ´ . . . . . / . . ∨ ム ¨´ i{, ,..。s≦⌒ i}ニ=-i{ {. . . ァ' . . / . . . ∨‘, _}_,r'゙⌒^i}≦⌒ {i 从 人r 、/ . / . . ′/ . . . . i{ ゙, } _,,r'⌒'7゙三三二ニ=- _ ,辷=-⌒゙' 、/{i__j⌒V{__ ′ . }L . j{ , {´ __,r'⌒{i三三三三三三 ⌒ー=ミ、_j{ /⌒ーr'゙⌒`ヾ i} ./V⌒¨¨'ー '^i三三三三三三. j{,从 /´Ξニ| ___j} /⌒} ノ三三三三三三 { ,沁、 /三Ξニ| ,. ´) ) ,/⌒ j} {ニΞ三三三三三 【名前】永江衣玖(AA出典:『東方project』より「永江衣玖」)♀ 【タイプ】でんき/じめん 【特性】あまのはごろも… 相手の「地」技を無効化する。 自身の「飛」技の威力を強化(1.5倍)する。 【もちもの】 【技x6:サンダーランス、じしん、かぜのつるぎ、ストーンエッジ、まもる、ステルスロック】 こうげき:A+ ぼうぎょ:C ◎「じしんそくほう」…地/物/全/非接触/120/100/ 「まもる」貫通。相手を「じしんそくほう」状態にする。「みらいよち」の類型。 とくこう:C とくぼう:A すばやさ:B 【ポテンシャル】 『トップバッター』… 先発で場に出た時、自身の任意の能力値をぐーんと上げる。 『竜宮使の威厳』… 全体の場が「エレキフィールド」の時、相手の「設置技」を無効化する。 『竜宮使の羽衣』… 自身の特性が「あまのはごろも」の時、相手の「必中技」の威力を半減する。 『竜宮使の忠告』… 相手が「じしんそくほう」状態の時、T終了時味方と交代することが出来る。 『天の羽衣』… 自身の特性を「あまのはごろも」にする。 設置物の影響を無視する。 『対草回避』… 敵陣に「草」ポケモンがいる時、相手の「草」技の命中率を低下(0.85倍)させる。 『対草耐性』… 敵陣に「草」ポケモンがいる時、相手の「草」技のダメージを緩和(0.67倍)する。 『対草迫撃』… 敵陣に「草」ポケモンがいる時、低確率で自身の技のダメージが2倍になる。 『戦闘続行』… 低確率で相手の技のダメージを自身の行動後に持ち越す。 『万能薬』… 1/試/自動 「まもる」等の技で相手の技を無効化した時、自身の任意の能力値を上げる。 zzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzz 『竜宮の使いの天災の忠言』… 永江衣玖専用ポテンシャル。 場に出た時、「技能拡張:じしんそくほう」を繰り出す。 zzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzz . \\ \... \\ \ \\ \ _ __. \\ \ / ̄ ̄/ \ / \\ \ / __./ \ / \\ \. ∨〈¨¨¨¨ 寸 \ { \\ \. ∨〈 `寸 \―tッ―――tッ‐气 ', \\ \. ∨〈 _`寸 | ', | \ \\ \__∨〈 //// ̄\ √(C)(C)(○))/ ', \ ` ー \ / _yΛ { { { { /〈~ ̄`', .彡', ', `ー― / /ニニ7/厶_______/ Λ ', .彡'ー――', /_ / / ̄ ̄ ̄「 ̄ ̄ [ ) / Λ__', .彡',/// ', /| ̄ ̄ \ ∨〉 「 〕 〉( 冖冖冖 ̄ ∨///'| / ̄ ̄ ̄ ̄ ', / | / 〉〈 .. ./ ̄ ̄ /|// | { 」_____/__/Λ〉 「―――〈 | | |  ̄ ̄ ̄ / | | | 「 V〉 「l\ .\| |___. | __ \ .\┌.┐、 V〉 | | | ̄ ̄ .|{ ̄{ ______」 | ∠ / ̄ ̄ ̄\ √ |\ |___| \/ ̄\ __ | ∨ Λ ∨', / / \ |___| | \\ l \ ∨ Λ ∨',. / / / 〉 \ \ | | | l. \j「_j「\ ∨ Λ ∨', / __/ / / \ | | __\\ \ 「 ニ∨ / ∨ 〈〈 ̄〈 〈__/ /\ \\\( \\ \ | ||{ニニ∨| ∨_ \ _/ \ /¨゚/\`¨¨7 /\\ ヽ| ||乂ニ| |  ̄\ \ \ /,,,,/ \〈 〈 }\\ L | Lノ  ̄`¨ ', 【名前】メタルギアREX(AA出典:『メタルギアシリーズ』より「メタルギアREX」) 【タイプ】でんき/ゴースト 【特性】ヘヴィメタル… 自身のタイプに「鋼」を追加する。 自身の「防」の種族値を「AA+」にする。 【もちもの】 【技x6:ボルテッカー、かげうち、ヘビーボンバー、もろはのずつき、ギアチェンジ、ふきとばし】 こうげき:A ぼうぎょ:AA+ とくこう:D とくぼう:B+ すばやさ:D 【ポテンシャル】 『エースキラーβ』… 『エース』から受けるダメージを半減する。 『エース』の「攻/特攻」の上昇(強化)を無視する。 『鉄歯車の充電』… 相手が場に出た時、中確率で自身を「充電」状態にする。 『鉄歯車の頑強』… 相手の攻撃以外のダメージを無視する。 『鉄歯車の玉璽』… 相手の「こうかばつぐん」の技の威力を緩和(0.67倍)する。 『メタルギア』… トレーナーが「統率:B」以下の時、自身に『エキスパンション(鋼)』を付与する。 『後の先』… 相手が自身より先に行動した時、稀に相手より先に行動することが出来る。 『対地回避』… 敵陣に「地」ポケモンがいる時、相手の「地」技の命中率を低下(0.85倍)させる。 『対地耐性』… 敵陣に「地」ポケモンがいる時、相手の「地」技のダメージを緩和(0.67倍)する。 『対地反撃』… 敵陣に「地」ポケモンがいる時、低確率で一番最後に追加行動を得る。 『戦闘続行』… 低確率で相手の技のダメージを自身の行動後に持ち越す。 『アンブッシュ』… 相手の『エース』が場に出た時、相手が場に出て最初に繰り出す技の優先度を「-1」に変更する。 『エキスパンション(鋼)』… 「悪」「霊」技が「こうかいまひとつ」になる。 zzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzz 『失楽園の鉄の歯車』… メタルギアREX専用ポテンシャル。 1/試/先行 自身の技に「おいうち」効果を付与し、相手に「必中」させる。 「おいうち」効果の発動時、技のダメージを2倍にする。 zzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzz 備考 ホウエン地方「キンセツジム」をスポンサーとするトレーナー。 ジムの現ジムリーダーの血縁者であり、その縁で各地方の電気タイプのジムのトレーナーと人脈を持つ。
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前ページ次ページ上条さんと美琴のいちゃいちゃSS/御坂美琴の消失 第7章(前編) 少女は走っていた。 夜の学園都市を駆け抜けていた。 向かう場所は第一〇〇三二次実験に割り当てられた操車場。 (…………ここには何でも解決してくれるママはいない) 前日、公園で子猫を愛でていた自分のクローンに出会ってしまった。 彼女は無情にも悪夢のような実験が継続中であることを少女に告げた。 少女の胸の内に絶望の二文字が広がった。自分のしてきたことが徒労に終わり慟哭した。 その場にいたクローンに八つ当たりしてしまうほど気が狂いそうになった。 だからと言って諦めるわけにはいかなかった。 夕方、最後の手段として考えていた『樹形図の設計者』を狂わす、という作戦は頓挫した。三週間ほど前に何者かに破壊されたことを知ってどうにもならなくなった。 (…………神頼みしたって都合よく奇跡なんて起こらない) その足で、放心状態で近くにある研究施設をぶっ潰した。 しかし、その場で内なる声が『無駄』であることを残酷にも告げてくれた。 どうすればいいか分からなくなった。 時間が来るまで鉄橋で泣いた。たった一人で泣いた。 誰にも見られることも聞かれることもなくたった一人で弱音を吐いて涙を落した。 どうにもならない無限地獄の中、たった一人で思い悩んだ少女は一つ結論を出した。 (…………泣き叫んだら来てくれるヒーローなんていない) 少女は心中でずっと叫んでいた。 誰かに縋りたかった。 助けてと願っていた。 しかし、それは叶わない願い。 一万人以上も見殺しにした自分に救いの手が差し伸べられることはないことを突き付けられた現実。 だったら、自分も命を賭けて。 自分の手で実験を中止に追い込むしかない。 そう考えて少女は走り出した。 (……………………、) 本当はたった一人。 自分の味方をしてくれそうな少年が現れてくれることを心のどこかで期待していた。 しかし、その少年は現れなかった。 幾度となく勝負を挑んで、それでも勝てなかった少年。 レベル5の自分を凌駕するその少年ならば。 いつもなんだかんだ言いながら付き合ってくれる優しい少年ならば。 全てを打ち明ければ助けてくれるような気がしていたのだ。 しかし、少年は現れなかった。 一万人以上も見殺しにした自分を構ってくれる存在がいることを期待するなんて虫が良い話だ。 少女はそう考えて苦笑を浮かべた。 そして、到着した。 思った以上に時間を食っていた。 第一〇〇三二次実験場。 命を賭ける、と思っていながら、体は恐怖に竦んでいたのかもしれない。 そう思った。 しかし、目の前の現実を見せられて全ての思考は吹っ飛んだ。 居ても立っても居られなくなった。 即座に現場に飛びこむ。 「その子から離れなさい!」 まっすぐ、相手を見据えて叫んだ。 「あン?」 対して、相手は肩越しにこちらに視線を向けてきただけだ。 もっとも、それだけで少女の中に再び絶望的な恐怖が渦巻いてくる。 だからと言って逃げ出すわけにはいかない。 ここまで来てしまった以上、やるしかない。 「その子から離れなさいって言ってんのよ!」 少女=御坂美琴は吼えた。自らを奮い立たせるためにありたっけの声を出して叫んだ。 自分のクローン=妹達の無残な姿を見せられて。 でもまだ、生きている姿を確認できて。 今度は、殺される前に飛び出せた。 あの日は、『車両』だったが、今回は妹達に『コンテナ』が落ちてくる前に飛び出せた。 もう逃げることはできない。 もうやるしかない。 「何だ、またテメエか……あ~あ、参ったねこりゃ。前にコイツらにはテメエには手を出すな、って言われてンだが、ソイツをぶっ殺すにやテメエを排除するしかねエしなァ。オイ、先に言ってやる。死にたくなかったら消えろ格下」 相手=一方通行は御坂美琴を見据えてぶっきらぼうに、面倒臭そうに呟いた。 「馬鹿言わないでよ。だったら、この場に飛び出してこないわよ」 が、美琴は、頬に恐怖の汗を浮かばせながらも一方通行を睨みつけて言い返す。 全身が恐怖で委縮しているのは分かっている。 それでも御坂美琴は一方通行の前に立ちはだかる。 「じゃあ何? 殺されても文句は言えねェってことになるンだが構わねェか? 俺自身はソイツを殺さねェと今日の実験が終わらねェ。前回は『終わった後』だったから、アイツらは止めに来たけど、今回は止めに来ねェぜ?」 「承知のうえよ!」 「ほぉ…………そンじゃま、始めっとすっか……?」 呟き、一方通行はすっと両手を柔らかく握って軽く開き、 同時に、美琴はポケットからコインを取り出して構えた。 「あン? またそのシケた『切り札』なの?」 「うるさい! 今度こそアンタに当ててやる!」 言い募る美琴だが、それは建前でしかない。 当然だ。 美琴はこの実験を終わらせるために『自らの死』を選んだ。しかも、それは『樹形図の設計者』が導き出した一八五手の決着ではなく、最初の一手という『実験の根本』を覆そうという手段で。 つまり、反射される『超電磁砲』をその身に受けて全てを終わらせるつもりなのである。 「いっけえええええええええええええええええええええええええええええ!!」 咆哮一閃! 美琴は勢いよくコインを弾いた! 音速の三倍で解き放たれたクリムゾンのエネルギー破。 通常の相手、一方通行と『あの馬鹿』以外の相手であれば一撃必殺の美琴の切り札。 おそらく、第二位の垣根提督や第四位の麦野沈利でさえも、自らの能力と相殺はできても弾き返すことはできないであろう光の弾丸。 その身に受ければ、御坂美琴自身も粉々になるであろう閃光を一方通行めがけて解き放ったのだ! 「けっ、無駄だ無駄だ」 嘲笑を浮かべて一方通行が『反射』! 光の弾丸は、今度は美琴へと狙いを変える! 美琴はその身に受ける覚悟を固めていた。 いや、固めていたはずだったのだ。 しかし―――― 「なっ!?」 美琴は解らなかった。 気がつけば、回転レシーブの要領でかわしてしまっていた。 「どうして…………」 美琴は愕然とした。己の行動が信じられなかった。 「くっくっくっくっく……なるほどな。テメエ、さては今の反射された一撃を受けるつもりで撃ちやがったな?」 一方通行のセリフにギクッとする美琴。 「ヒャーヒャッヒャッヒャッヒャ! 無駄無駄無駄なンだよォ! 『樹形図の設計者』の予測シミュレート一八五手前にテメエが死んて終わらせようってか? 悪ィが、そいつは無理だ!!」 「…………アンタも知ってたのね? けど、実験の根幹は『私がアンタに一八五手で負ける実力』よ! それが覆れば実験は続けられないわ!」 「じゃ、何でテメエは今避けた?」 「――――!!」 「クックックック、『樹形図の設計者』を舐めてねェか? アレがただ単に『一八五手』を導き出すわけねェだろうが」 「どういうことよ?」 「オイオイ、今、身をもって知ったじゃねェか。人に限らず『生き物』ってのはな、『命に関わる危険』が迫ると、己の意思がどうあれ『本能的に回避』しちまうンだぜ。それも計算に入れての『一八五手』なンだよ」 一方通行の衝撃の発言に御坂美琴は頭の中がショックの鐘が鳴り響いた。 背景が自分も含めて協調反転されたような気がした。 「つまりだ。実験を終わらせるにゃ、『俺がレベル6になる』か、『俺が最強でなくなる』か、の二択しかねえってわけなンだが、そこんトコ、楽しく理解してくれてンのかァ?」 「くっ!」 美琴は立ち上がった。 実験を終わらせる方法が自らの死ではなかったことを思い知らされてしまった以上、やることは一つしかない。 万が一の確率でしかないことをやるしかないのだ。 しかも、それが『樹形図の設計者』の思うツボだと解っていながら、だ。 「なら! アンタを『最強の座』から引きずり下ろす!」 レベル5同士の戦いである以上、何かの間違いで美琴が勝ったとしても、それは誤差の範囲内で済まされるかもしれない。 だから『何かの間違い』で『勝利する』ことは許されない。 明らかに『誰の目から見ても』美琴が『勝利した』でなければならない。 そんなことができるのか? 美琴は心の内で悲観的になる。 が、そんなことを言っても始まらない。妹達を救うために、自らの罪を償うために、今まで動いてきたのに諦めることなど許されない。それなら最初から見て見ないふりをすれば良かっただけだ。 「そンじゃま、今度こそ、本当にゲーム開始だ!」 言って、一方通行は地を蹴った! 当然、結果は見えていた。 美琴の繰り出す攻撃は何一つ通じない。 電撃だろうと、砂鉄の嵐だろうと、砂鉄の剣だろうと、空気を電気分解して一方通行の周りにオゾンを創り出そうと、全てが弾き飛ばされ、逆に一方通行の攻撃はすべてが当たる。 しかし、美琴の『本能』がどうしても『死』という最後の一線を越えさせない。 「かはっ!」 美琴は肩を押さえて、座り込み、背を周りに突き刺さった鉄骨に預けていた。 制服の裾はところどころ破れ、露わになっている手足、顔、髪は痣と埃まみれになっていた。 もちろん、一方通行は無傷だ。 「あ~あ。つまンねェなぁ……レベル5同士なンで、もうちっと楽しめるかと思ってたンだが……」 拍子抜けした表情で頭を掻く一方通行。 「こりゃ視力検査と同じだな。アレは二.〇までしか計れねエわけだが、テメエは二.〇でも、俺は一〇.〇くらいありながら『二.〇』って判断されてるってコトなンだろうぜ…………」 やる気が失せた声で呟いてから、一方通行が美琴へと、無造作に手を伸ばす。 しかし、美琴に蓄積されたダメージは小さくない。一方通行のゆっくり伸ばされる手でさえもかわすことが困難なほどに。 「そろそろ、終わりにすっか?」 好事家のような笑いで一方通行は御坂美琴へと手を伸ばす。 その手が美琴に触れれば、美琴は体中の血管が爆発する。 逃げ場はない。 しかし、運命がここで分岐する。 「ンな!?」 一方通行が思わず戸惑った声を漏らした。 己の目に留まることなく、その場にいたはずの美琴が、文字通り掻き消えたからだ。 「どういうことだ!?」 一方通行が辺りを見回す。 そして見つけた。 自分と距離を置いて立っている御坂美琴の姿を。 ただし、その肩を誰かに預けて立っている姿で。 美琴に肩を貸す実験場に現れた新たな乱入者が一方通行に鋭い視線を向けている。 美琴と同じく常盤台の制服に身を包んだツインテールの少女。 白井黒子がそこにいた。 「黒子? アンタ!?」 美琴は思わず声を上げた。 絶体絶命のピンチに颯爽と登場したのが、想像の範疇にすらなかった後輩だったからだ。 対する白井は、一方通行から距離を、言い換えれば間合いを置いて、視線は一方通行から外さない。 「水くさいですわ、お姉さま」 「え?」 「黒子ではお姉さまのお力になれないと、支えになれないと、そう考えておられたのでしょう。確かにこの当時のわたくしではそう思われても仕方がありませんが」 「な、何を言ってるの? 私はただ、私のことで黒子や初春さんや佐天さんに迷惑をかけるわけにはいかないって…………」 「分かっています。お姉さまの優しさは誰よりも、このわたくしが分かっています。しかし、優しさは残酷さと表裏一体であることをご理解くださいませ」 「――――――っ!!」 「ですが、黒子は馬鹿な後輩なのです。お姉さまの苦しんでおられる姿を見せられて、黙ったままでいるとでも思いましたの?」 「う…………」 「妹達、レベル6シフト計画、DNAマップ、一方通行、電撃使いによる施設破壊」 「なっ!?」 「だからこそ、わたくしはここに来たのですわ」 白井はとびっきりの笑顔を見せた。 美琴は驚嘆した。 今、上げた単語を知っているということは、白井は全てを知っていることになるからだ。 それでなお、美琴の味方でいることを宣言したも同然なのだ。 「それに」 言って、白井は今度は片目をつぶった少し呆れた笑顔になって視線を別の方向へと向ける。 「そう言ったお馬鹿さんはわたくしだけではありませんけど」 つられて美琴は視線を白井が見ている方向へと移して、 「あ…………!」 そこに佇んでいた存在に思わず声を漏らしていた。 ここには何でも解決してくれるママはいない。 困った時だけ神頼みしたって奇跡なんて起こるわけがない。 そう思っていた。 一万人以上を見殺しにした自分に救いの手が差し伸べられる資格なんてないと思っていた。 「うあ…………」 思わず声が漏れた。 目頭が熱くなった。 威風堂々佇むその姿に涙を堪えられなかった。 お節介焼きの年上の少年。 自分を一人の少女として見てくれる少年。 レベル5の自分を凌駕する少年。 それに何より、誰よりも自分を助けてくれるかもしれないと、心のどこかで期待していた少年。 泣き叫んでいたら、それを聞いて駆けつけてくれるヒーローなんて居ないと思っていたのに。 上条当麻が妹達を守るように、彼女の前に立って一方通行を睨みつけていた。 「あなた、は……とミサカは愕然とします………」 妹達は突然、自分の目の前に現れた、このツンツン頭の少年に見覚えがった。 今日の夕方、一緒に猫の餌をやって、猫の育て方の本を買ってくれた少年。 そして、第一〇〇三一次実験の現場を目撃されてしまった少年。 どうやって、ここに辿り着いたのだか。 どうやって、この実験のことを知ったのか。 妹達はどう考えても分からなかった。 この少年がここに来ることなどあり得ないはずだったのだ。 夕方の一件だけでここを知ることなどできないはずだったのだ。 茫然と少年を見ていた妹達の傍に、これまたいきなり二人の少女が現れた。 一人は、自分たちの素体。妹達を守るために一方通行に戦いを挑んだ偉大な姉。 もう一人は、妹達は初めて見る顔だった。 ツインテールのあどけない少女だった。 「白井、二人を頼むぜ」 「ええ、任せてくださいませ」 ツンツン頭の少年とツインテールの少女が、どこか不敵な笑顔でそんな会話を交わしていることが不思議でならなかった。 そして、少年が右こぶしを力強く握りしめて、力強く一歩を踏み出す。 妹達はぎょっとした。 妹達の素体、御坂美琴はゾッとした。 なぜなら彼が一歩を踏み出した方向は紛れもなく、一方通行に向かって、だったからだ。 「ちょっとアンタ……まさか…………」 美琴は冷たい汗が頬を伝っていくのを感じた。 「何をする気ですか?、とミサカはあなたに問いかけます」 目を見開き、妹達も美琴と同じことを考えた。 あの少年の表情はどう見ても話し合いをしよう、なんて顔じゃない。 一方通行に戦いを挑む、そんな顔でしかない。 少年はそんな声を背に受けて、しかし力強く歩みを進める。 対して一方通行は足をとめた。 「何だァ? 今日はやけに闖入者が多いじゃねェか。ったく、この実験、ひょっとして外部に駄々漏れなんじゃねェだろうなァ?」 一方通行はどこか面倒臭そうに言った。 上条当麻は一方通行まで五メートルのところで足をとめた。 「で、お前とあのツインテールの女は何な訳?」 本当に世間話をするような軽い口調で問いかける一方通行。 「ここで、お前と相対するってことは意味することは一つだと思うが?」 上条当麻はわざと質問に対して質問で答えた。 それも、誰しもが答えが分かっている質問だった。 「ほォ? それはつまり、この俺が学園都市最強の超能力者と知っていてケンカを売りにきた、って解釈していいわけなンか?」 一方通行の笑みが深くなった。獰猛に深くなった。 「ケンカを売りに来たんじゃねえ。この実験を止めに来たんだ」 上条当麻は一方通行を真っ直ぐ見据えて宣言した。 「は?」 「この実験を止める方法は簡単だ。お前が『最強』じゃなくなった時点で終わりだ」 「え? 何? お前が俺を止めンの? はぁ……テメエがどんな能力者か知らねェけど、俺に勝てるとでも思ってンの? 俺、さっき言ったよな? 俺が学園都市最強のレベル5だって、そこんトコ、ちゃんと理解して喋ってンのか?」 一方通行の笑いは止まらない。 「無茶よ! アンタがどんな能力を持っているかはだいたい分かってるけど、それでもそいつに勝とうなんて無理よ!」 美琴は悲痛の叫びを上げた。 「というか、アンタは何のために戦うつもりでここに来たのよ!? どうして、アンタが一方通行に挑む理由があんのよ!?」 確かに御坂美琴は上条当麻が助けに来てくれることを望んでいた。 本当は望んではいけないのに望んでいた。 しかし、実際に助けに来てくれてしまうと、今度は上条の命の心配をしてしまう。 助けに来てくれた、それだけで美琴はすべてが救われた気がしたのだ。 だから、上条には戦ってほしくない。傷付いてほしくない、という気持ちが爆発する。 いったい、どんな事情があってこの少年がここに来たのかはまったく分からないが、それでも一方通行に挑むということは、傷付くどころか命の心配さえ、しなければならなくなるのだ。 上条は答えた。 「決まってんだろ。この実験はすべて間違っている。そんなもん認めるわけにはいかねえ」 美琴は愕然とした。 この実験は確かに異常だ。そして、この実験のことを知っているということは、この少年は一方通行の『力』も知っているはずなのだ。 しかしだからと言って『認めたくない』だけで、自分の命を賭けられるはずがない。そんな馬鹿がこの世にいるとは思えない。 一体、どんな大義名分で自分の命を賭けているのだ? 美琴のようにDNAマップを提供したならまだ分かる。 罪悪感と責任感で止めようとするならまだ分かる。 もちろん、上条にそんなものはない。 だから、美琴には分からない。 何のために上条当麻が戦おうとしているのかが分からない。 それは妹達も同じだった。 確かに妹達と上条は夕方に出会っている。また、実験現場を目撃されてしまっている。 だが、それだけだ。 それだけでどうして、この場に現れて、一方通行に挑むのかまでは分からない。 妹達は自分の命に価値を見いだせない。 それゆえ、自分のために上条当麻が来た、などとは微塵も考えていない。 「未来のためですわ」 「「は?」」、とミサカは疑問の声を漏らします」 二人の問いに答えてくれたのは白井黒子だった。 その視線は上条と一方通行に向いたままだ。 「上条さんはお姉さまとお姉さまの周りの世界の未来のために戦いに来たのです。もちろん、その世界にはお姉さまの妹さんも含まれますわ」 白井のセリフは奇しくも上条当麻がアステカの魔術師に誓った言葉とほぼ同じだった。 白井黒子は、上条当麻が『御坂美琴とその周りの世界を守る』と言った約束のことなど知らないにも拘らず。 この時はまだ、御坂美琴もまた、上条当麻のその宣誓を知らないにも拘らず。 上条当麻には今の白井黒子の言葉は聞こえなかったにも拘らず。 上条当麻は、意識的にしろ無意識的にしろ、『その誓い』を貫き通すためにここに来たのかもしれない。 「私の……未来……って、そう言えば黒子。あいつもそうだけど、アンタ、何で冬服着てるの? 今はまだ八月よ?」 「…………」 「黒子?」 「…………信じてもらえないかもしれませんが、信じていただけますか?」 「意味分かんない」 「でしたら、お話できませんわ」 「分かった。信じるわよ。少なくとも私を一方通行の毒手から救い出してくれたのはアンタなんだから命の恩人を信じないなんて真似は出来ないわ」 「ありがとうございます」 白井は一礼してから、真っ直ぐ美琴の瞳を見た。 「わたくしと上条さんは今から約四ヶ月後の世界からお姉さまをお助けに参上いたしましたの」 その一言が、きっかけになったわけでもないのだが。 白井がそう言って、美琴と妹達が絶句した瞬間、 上条当麻と一方通行の戦いの火ぶたが切って落とされた。 前ページ次ページ上条さんと美琴のいちゃいちゃSS/御坂美琴の消失
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「私だって、アンタの力になれる!!」 御坂 美琴(みさか みこと) 一人称 私美琴センセー(冗談めかして)お姉さん(子供に対して) 二人称 アンタ(緊迫時や敵対者に対して)貴女(女性に対して) 三人称 苗字に「さん」付け(日本人に対して)ファーストネーム呼び捨て(外国人に対して)コイツ、アイツ(親友や敵対者に対して)この子、あの子 二つ名 超電磁砲(レールガン) 能力 超電磁砲(レールガン)、超能力者 概要 「とある魔術の禁書目録」のヒロインで、「とある科学の超電磁砲」の主人公。 私立常盤台中学校の2年生。身長161cm、体重45kg、スリーサイズは78・56・79。推定AB型(妹達(未編集)がAB型であることから)。 常盤台の校則の都合で常に制服だが、正体を隠して犯罪まがいの行動を起こす時には私服にゲコ太のお面という格好になる。 学園都市に7人しかいない超能力者の第3位で、低能力者(レベル1)から頑張ってここまで上り詰めた努力の人。 上条に負けず劣らずの不幸体質かつ巻き込まれ体質である。 竹を割ったようにサバサバした性格で、勝気かつ喧嘩っ早い。 事件が起きると1人で背負い込む性格で、妹達(未編集)を助けるために命まで投げ出そうとしたほどだが、 テレスティーナ(未編集)との戦闘の際にはその性格を佐天(未編集)に諌められている。 かわいいものが大好きでパジャマや下着も非常に子供っぽい物を選んでいるが、その趣味には黒子(未編集)でさえ呆れている。 また、猫などの小動物も大好きであるが、能力ゆえに身体から出ている電磁波のせいで動物たちに嫌がられては落ち込んでいる。 お嬢様らしい一面もあり、美琴の乱暴な振る舞いは作法の基本をちゃんと抑えた上で崩しているものらしい。 また、財布を出すのが面倒そうだからという理由で2000円のホットドックを奢ったり、 着替えて荷物を置いておくためだけにホテルの部屋を借りるなど、金銭感覚が普通の人とはかなりずれている。 英語フランス語ロシア語あたりは理解できる、ヴァイオリンの演奏ができる等、教養もある。 魔術絡みの事件にけっこう関わっているわりにはオカルトの存在を未だに信じていない。 口調 砕けた口調。 わかりやすい口癖などはあまりない。 「ちょっと」を「ちょろっと」と言うことが多いが、これも必ずというわけではない。 以下の条件を満たす人に限り敬語になるようだ。 目上の人 一度も敵対したことがない 初対面が緊迫したシーンでない ただし、これを満たすのは主要キャラクターだと固法先輩(未編集)か木山先生(敵対前)(未編集)くらいしかいない。 所属・所在地 過去については詳細不明だが、小学校の時から学園都市にいた。 現在は常盤台中学外部寮の208号室で生活している。 以下の時期は留守にしている。 9月3日、アメリカの学芸都市へ。本来は9月10日まで滞在の予定だったが、9月6日に緊急帰還。 10月30日、ロシアへ。帰還がいつかは不明だが、11月5日には学園都市にいた。 11月10日、アメリカのハワイへ。新約3巻現在、学園都市には帰還していない。 登場巻 1巻 ちょい役で登場。 7月19日20日と連続で下校中の上条と遭遇し、幻想殺しを引き立たせる役目を負っている。 アニメ版のみ、ステイル(未編集)や神裂(未編集)との戦闘跡に集まる野次馬としても登場している。 能力や術式の詳細 超電磁砲(レールガン) 本来は電撃使い(エレクトロマスター)に分類されるが、個人でこの能力名を申請して名乗っている。 電磁場を観測し制御する能力。 学園都市に7人しかいない超能力者(レベル5)の第3位で、電撃使いとしては最高位。 美琴の能力を目の当たりにした他の電撃使いが恐怖で気を失うほど別格の存在。 攻撃超電磁砲、コインを音速の3倍で飛ばす。射程は50メートルほどだが、もっと大きな金属塊や砂鉄コーティングした物体を使えば射程を伸ばすことができる。 雷撃の槍、前髪から(アニメだと手からだったりもする)電撃を飛ばす。最大出力は10億ボルト。 雷雲を呼んでの落雷。 手に電撃をまとわせてのパンチや平手打ち。唯一上条にまともに通じたことがある能力攻撃。 磁力で砂鉄を操り、鞭のような剣を形成する。チェーンソーのように振動しているので、触れるとちょーっと血が出るかも(美琴談)。 空気中に撒き散らされた砂鉄を制御して攻撃。自分で砂鉄を竜巻のように巻き上げることもできる。 内蔵を狂わせる強力な電磁波。 防御磁力で付近の金属を集めて即席の盾を形成。 砂鉄を自分のまわりに巻きあげての防御。 自分に磁力を帯びさせて近くの鉄筋に飛んでいくことでの緊急回避。背中を打ち付けるダメージが大きい。 移動鉄筋を含む壁や天井に磁力でくっついての移動。 磁力を利用した滑空。両サイドに鉄筋を含む壁がある細い路地裏で使用。 青白い6枚の羽を展開しての飛行。空気中の水蒸気比率が絶妙でないと使えない。 情報処理電気的なセキュリティの解除。警備ロボットを制御することもできる。 ハッキングによる情報収集。またそのまま機材を遠隔爆破することも可能。 その他磁力で鉄筋をくっつけての足場形成。 人間IHクッキングヒーター。気が逸れるとすぐに吹きこぼれる。 戦歴 ○不良達 7月19日夜、第七学区の鉄橋付近の路上。1巻序章(結果だけ)及び超電磁砲7話。 幻想御手の情報を追って囮捜査を行ったが上条が余計な横槍を入れたために任務失敗。 上条を追いかけ出す不良に対して美琴は並走しながら食い下がったが、ガキと呼ばれてプッツン。 雷撃の槍で一瞬で不良達が全滅した。 ●上条当麻 7月19日夜、第七学区の鉄橋上。1巻序章。 上記戦闘の後、上条に追いついた美琴が一方的に攻撃。 超電磁砲(原作ではわざと外している)、雷撃の槍5発、落雷まで発生させるも全て幻想殺しに防がれた。 美琴は「殴られてないから引き分け」を主張している。 ●上条当麻 7月20日夕方、第7学区の上条の通学路上。1巻第1章5。 「じゃあ、マジメにやってもいいんかよ」という上条のハッタリで美琴が怯んだため、拳を交えることなく終了。 人間関係(五十音順) 上条当麻 関係:腐れ縁、片想い 上条→美琴の呼び方:御坂、美琴(御坂妹との会話中で)、ビリビリ(記憶喪失前)、お前、テメェ、アイツ 美琴→上条の呼び方:アイツ、あの馬鹿 6月中旬、不良達にナンパされる美琴を助けに上条が割って入ったことで出会う。 その際、美琴が上条もろとも不良達を焼こうとしたが、幻想殺しに阻まれて上条だけ無傷だった。 第3位のプライドを傷つけられた美琴は、以後7月20日まで上条を見つけるたびに勝負を挑むようになるが、結局一撃入れることすらできず、全戦全敗に終わる。 ただし黒子(未編集)は、美琴が上条を攻撃するのは自分を対等な存在として接してくれていることが気恥ずかしいからだと考えている。 8月21日には妹達(未編集)を救うために自殺をしようとしていた美琴を上条が引き止め、一方通行(未編集)を倒すことでその命を救う。 これが美琴が上条に恋心を持つきっかけとなった(ただしこの時点では自覚していない)。 10月には美琴が電話越しに上条の記憶喪失を知り、さらに第22学区でボロボロのまま戦地へ向かう上条との会話で恋心を自覚。 その後上条が第3次世界大戦の最前線にいると知るやいなや、美琴はありとあらゆる手段を用いてベツレヘムの星へ向かったが、その手はほんのわずかに届かなかった。 11月5日には美琴が上条に共闘することを宣言し、11月10日には実際にハワイに一緒に向かっている。 以前はことあるごとに美琴が上条にことごとくスルーされていたが、0930事件あたりから上条が美琴の科学知識を頼りにするようになった。 それでも美琴はお色気シーンを回避し続けている、かと思いきや、実はサマーセーターとスカートを上条の前で生脱衣したことがある。 上条の宿題を手伝ったり、入院する上条のお見舞いに行ったり、全財産を川に落とした上条にお金を貸したり、 なんだかんだで美琴は上条の世話を焼いているシーンも多い。 9月1日に上条が美琴の前で右手の説明をしているにもかかわらず、9月19日には美琴が上条の能力が右手しかないことを知っておらず、 そうかと思えば11月10日には上条の能力のことを得体のしれない右手と表現している。 二次創作SSでよくある間違い 内容 説明 二次創作SSでよく見られる独自設定 内容 説明
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. / ..イ三三/7 ィ | ∠ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ ハ . / .ィ /三ニ= イ // / /  ̄7ィ - 一 … ミ x  ̄ ¨ = = 一 ¨ ァ. i . / . イフ/{ヾ /ィ// ./ /´ .イィ ィ≡三ニ=ミ . ノ } } . 'イ / /イ . ヾ /〃 / / / / /ィ ,∠彡 ァ';ィ /´  ̄ `ーァ = = 彡' / : . 'ィ√´ / < . \ ./ ./ /{ /_ 乂 ̄// / .ィ ./ .イ / ′ . / / /ハ `ー- .. __`ーァ x/ / / j{ ./rャzx .ヾ{;′ //. ′ / ィ / / . / // .ヘ ´ ハ { { X{ {! ん 圷ミ` /′/ ____/ 厶 ィ / / イ . ; 〃 .. \ ` X1 弋r ハ ´イ二z //// 才 {〉ヽ . } // ..ィミx ` ー-=ニ三三三三7/ ! ` . ¨ " んイ 三斗 彡' イ _ァ彡 ) . j 〃 / `Y `>=三// { __乂 |三≦三三 彡 '" ./ . ;' / ./ | . イ´ ̄≧ . X ハ ′ _ ≦斗ァ j/ ァ 一 " ./ . 7 / ,′ | . イ . // . ヾ ヽ. 、 <三 .イ__ .斗≦ ィ . イ . ; 〃 { { /≦三三三 ;' √¨ Y´\ ` ‐一' 三7三イ _ .イ . / { .. . ヾ ̄ ´ __ ヾ \ ¨ /ィ .斗匕∠ -‐''¨´ . r' / > ´ヽ .. 丶.__ ..-‐ ¨/ . `ヽ ∨ .`x.-―/ァ彡'/ィ / . L_ {´ };;;;; .. ‘, . // .. ‘, . } .` x '// . , レ{ . `Y >. 一 1 .. \ . // . ヽ i .. ト 、 `「Y´ ;ト 、 ____ . |才 . } . .. ヽ / . Ⅵ .イ }\ |)}\ " ̄> } \ / } ! .. . イ . . /X . ハ}ヾ ソ/ ヾ x. ノ i! `ト、/ ! ヽ / . | ミx . . // .} . } .Y/ . } . イ ヽ. !i } 、 .} } / . } | . `丶、 . . // . | | ..ノ′ ` 、 ヾ 、 O} Y ! Ⅵ i. { . ヽ .. . \ ' . . // . / j/´ \ \ ! j | Y . . . | ヽ . \\ .. .` ー - // ..../ / ヾ ... ヾ Ⅵ } i! ヾ . . / > 、 .. ヽヽ . . {ヽ ノ .. イ \ ... \ヾ! j i! . ヘ ∧、 / \ . } } . . } i }、 . ,. ´ ≧=一ヾ ∨ /. ∧. }■キャラクター名 御坂美琴■コードネーム 雷鳴《サンダークラップ》■ワークス UGNチルドレンC■カヴァー 中学生■ブリード クロスブリード■シンドローム ブラックドック/ノイマン■ライフパス■覚醒:渇望 衝動:破壊出自:親の理解 経験:平凡への憧れ 邂逅:師匠■能力値と技能■ 【肉体】 【感覚】 【精神】 【社会】 2 1 7 1 〈回避〉1 〈〉 〈RC〉2 〈情報:UGN〉 〈〉 〈〉 〈意志〉1 〈〉 【HP】31 【侵蝕基本値】 33%【行動値】9 【戦闘移動】14m 【全力移動】 28m【常備化ポイント】2 【財産ポイント】0■エフェクト■ 《エフェクト名》 Lv タイミング 技能 対象 射程 侵食値 制限 《リザレクト》 1/3 オート ― 自身 至近 特殊 ~100% 《ワーディング》 1/1 オート ― シーン 視界 0 ― 《C:ブラックドック》 2/3 メジャー シンドローム ― ― 2 ― 《雷の加護》 2/3 マイナー ― 自身 至近 2 ― 《雷の槍》 4/5 メジャー 〈RC〉 ― 視界 2 ― 《雷神の槌》 2/5 メジャー 〈RC〉 範囲(選択) 視界 3 ― 《MAXボルテージ》 2/3 メジャー シンドローム ― ― 4 80↑ 《真なる雷》 2/5 マイナー ― 自身 至近 3 ― ■イージーエフェクト■ 《ショート》 《セキュリティカット》 《電子使い》 《電波障害》 《タッピング&オンエア》 ■武器■ 名称 種別 技能 命中 攻撃 ガード値 射程 備考 ■防具■ 名称 種別 ドッジ 行動 装甲値 常備化 備考 強化服 防具 0 0 1 1 ■所持品■ 名称 個数 種別 技能 常備化ポイント コネ:UGN幹部 1 コネ 〈情報:UGN〉 1 Rコントローラー 1 その他 〈RC〉 秘密兵器 制服 1 その他 0 携帯電話 1 その他 0 ■ロイス■ 対象 ポジティブ ネガティブ 備考 秘密兵器 Dロイス Rコントローラー 白井 黒子 連帯感 不安 玉野 椿 尊敬 嫉妬 佐天 涙子 友情 悔悟 蒼崎 青子 感服 恐怖 柊 つかさ 尊敬 嫉妬
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前ページ次ページ上条さんと美琴のいちゃいちゃSS/御坂美琴の消失 第2章 「――――申し訳ございませんでした。わたくしとしたことが取り乱してしまいまして」 「あ……」 白井黒子は涙が収まると同時に、やや落ち込んではいたが、それでも平静を取り戻して、上条の胸から離れる。 少女が少年に抱きついた。 にも拘らず、白井の表情には一切の照れも入っていなければ、羞恥も入っていなかった。 それは単純に白井にとって、今、この場にいる上条は異性ではなかった、ただそれだけの話。 「あなたに八つ当たりしてしまったことを心よりお詫び申し上げます。お姉さまを救えなかった、ということではわたくしも同罪ですの」 上条は愕然からくる硬直からはまだ抜け出せていなかった。 「それではごきげんよう。この町で暮らす限り、どこかでお会いするかもしれませんから、さよならは言わないでおきますわ」 すっと佇まいよく、白井は踵を返して静かに立ち去ろうとして、 「お、おい!」 それを、ようやく硬直から脱した上条は呼びとめた。 「何ですの?」 「…………今の話、本当なのか…………?」 上条は神妙に問いかける。この場にひとときの沈黙が訪れて。 振り向きもせず、白井黒子は言葉を紡ぐ。 「…………あなた様がお姉さまにどのような感情を抱いているかは存じ上げませんが、お姉さまのことを少しでも気に留めておいででしたことは、お姉さまにとって喜ばしいことですわ」 「……まあ、アレだけ突っかかって来られりゃ…………」 「事あるごとにあなた様のことを話されていたお姉さまの表情は本当に晴れやかで嬉しそうで、それでいて愛おしいそうでした。当時のわたくしはよく嫉妬を覚えましたの」 「…………いや、俺が聞きたいのは…………」 「上条さんがお姉さまに恋慕の情を抱いていないのであれば、その方があなた様にとって良いことですわ。だって――――」 ここで白井は振り返った。 その顔は寂しげに笑っていて。 しかし、その瞳からは堪え切れない涙がこぼれていて。 「わたくしのように………ならず……に済むのですから…………」 「――――白井!?」 「お姉さまとのことは………遠い思い出に……過去を振り返った時に…………笑って話せる懐かしさを感じるだけで済むのですから…………」 「…………っ!!」 上条当麻の胸の内に罪悪感が波紋のように広がっていく。 「それではごめんあそばせ」 呟き、白井は姿を消した。 空間移動能力。 しばしの間、上条は悔恨に身を震わせながら佇み、 冬の寒風さえも彼の中に生じた熱さを冷やすことはできなかった。 (御坂が殺された!? んなわけねえだろ!! 白井の悪い冗談に決まっている!!) 夜の町を。 彼が居住するアパートへと。 上条は全速力で駆けていた。 ぎりっと歯を軋ませながら。 白井に告げられた事実を否定し続けながら。 (俺が聞いたのは白井の口からだけだ! 御坂と白井が俺をからかってるだけだ!! あいつらならやりかねん!!) 自力で動かせないエレベータの中でも上条は、結構酷い人物評価を下しながら必死に否定し続ける。 ちーん。 学生寮の七階に着き、扉が開くと同時に上条はダッシュをかけた。 向かう先は自室。 目的は自室にいる同居人。 「インデックス!」 ノックをすることも、呼び鈴を鳴らすことも無く、上条は勢いよく扉を開けた。 「と、とうま!? どうしたんだよ!? いきなり怒声を上げて!? もしかして私がとうまの帰りを待たないで冷蔵庫の中を全部食べてしまったことに怒ってるのかな!?」 「んなこた、どうでもいい!! それくらいお前ならやりかねんから怒るだけ無駄だ!!」 「あ! なんかそれはそれで腹立たしいかも! とうまが私をどういう目で見てるかよく分かったんだよ――――って、え!?」 いきなり両肩を力いっぱい掴まれてインデックスは素っ頓狂な声を上げた。 そのまま、怒涛の押しを受けて、部屋の壁に押し付けられて、 「と、とうま……? えっと、私……心の準備が…………」 結構迫力満点に詰め寄る上条に、顔を赤くしてしどろもどろしながら答えるインデックス。 が、上条はインデックスのそんな乙女な心情などどこ吹く風で、 「インデックス…………一つだけ、俺の質問に答えてくれ…………」 「う、うん…………!」 インデックスの首肯を確認してから、上条は一度息を吐く。 意を決して、 「お前…………御坂を知っているか…………?」 もし、白井の言うとおり、御坂美琴が8月21日に殺されたなら、美琴とは9月1日まで面識が無かったインデックスは当然、彼女を知っているわけがない。 インデックスが美琴を知っているか知らないか。 白井の言葉の真偽を確かめるための方法として、これ以上、確実な方法はこの世界には存在しない。 なぜなら、インデックスは完全記憶能力者だからだ。 一度見た顔を忘れるはずがないからだ。 お互い自己紹介していないとしても、その場で上条は御坂という名を呼んでいたから名前を記憶しているはずだからだ。 そして、上条が期待していて、しかも希望している答えは―――― 「みさか、って――――とうま! 短髪と会ってたの!?」 インデックスの答えそのものだった。 その瞬間、上条の焦燥から来ていた緊張感は四散した。 インデックスから見れば、上条はそうとう間の抜けた顔をしていたことだろう。 しかし、インデックスはそんな上条の表情なんぞどうでもよくて、 「とうま……まさかとは思うけど……いつも補習とかで遅いのは嘘で本当は短髪といつも会ってたとか……?」 「ばーか。んなわけねえだろ」 インデックスの険悪な視線をものともせず、一つ安堵のため息を吐いて、上条はインデックスを解放した。 「ホントなのかな?」 「しつこいな。俺だって疲れているときに疲れる奴には会いたかねえよ」 なおも詰め寄るインデックスに、苦笑で返す上条。 「まったく……あの短髪は事あるごとにとうまにちょっかいかけてくるし、私にケンカ売ってくるし……」 インデックスがブツブツ呟いて、しかし、上条はインデックスのその愚痴がどこか心地よかった。 悪い冗談を聞かされた後だったからかもしれない。 普段の美琴を感じさせるインデックスの言葉は、上条に大きな安堵感を与えてくれた。 それは、今、この時に御坂美琴が存在していることを教えてくれるからだ。 (てことは、あのストラップは俺がどこかで失くしたんだな。うわ、やっべー……これが御坂に知られたら俺が御坂に殺されるんじゃね………?) などと思いながらもそれでも上条には笑顔が浮かぶ。 「とうま?」 「ああ、すまんすまん。そういや、お前、冷蔵庫の中身、全部喰っちまったんだよな?」 「う゛……!」 「いいっていいって。遅かった俺が悪いんだ。そうだ。どうせ、お前まだ食えるだろ? 今日は豪勢に、とまではいけないけれど外食しようぜ」 「ほんと!」 「おう」 「ありがとうなんだよ、とうま! じゃ、早速行くんだよ!」 先ほどまでの怒りもどこへやら。 上機嫌でスキップを踏むインデックスの後ろを上条は付いていく。 (ったく、あいつら……悪い冗談にも程があるぞ…………) 一度、常盤台中学の学生寮がある方向へと視線を移して。 さて、上条当麻は一つ、失念していたことがあった。 心臓に悪い話を聞かされて、 それが悪い冗談だと知らされて、 安心してしまったのがまずかったのかもしれない。 たまたま立ち寄ったファミレスが『大食いキャンペーン』を張っていて、『ジャンボスパゲティを三十分間でたらい上げたらタダ』というインデックスに挑戦しているような催しをやっていたものだから、インデックスをけしかけて。 そこで、相当の時間をつぶしたのは真剣にまずかったかもしれない。 もちろん、お店側の挑戦を撥ね退けたインデックスに感心してしまったのも良くなかっただろう。 なぜならば、 「上条ちゃん? 上条ちゃんには先生の気持ちが伝わらないのですかー?」 「いえいえ滅相もございません。ですからこうして、本日も先生の補習を喜んで受けさせていただいております、はい」 翌日の放課後。 上条当麻は、見た目十二歳くらいの担任、月詠小萌の呆れた視線に見下ろされながら、平身低頭、土下座に勤しんでいた。 無理もない。 昨日の分の宿題をまったく手つかずだったことを思い出したのは、本日、登校途中に月詠小萌の車を見た時だった。 そう、上条当麻は、己の救いようのない成績と出席日数の穴埋めのための宿題を忘れてしまっていたのだ。 「はぁ……上条ちゃん? 上条ちゃんを留年させたくない先生の気持ちを分かってほしいのですー」 「はい。もちろんです。海より深く山より大きく反省しております」 「まあ、遊び盛りの上条ちゃんに毎日鬼のように宿題を課していた先生にも非はありますから今回は大目に見ますけど、二度目はありませんからね?」 「ははあ! 勿体ないお言葉でございます!」 「うん、よろしい。では今日の補習を始めましょー」 「はーい………」 月詠小萌と上条当麻。 今日もまた、二人だけの授業が始まる。 もちろん、何も起こるわけがなく、いや小萌は何度か怒るかもしれないが。 「あー何だ。今日で三日連続、というかその前くらいから毎日同じことやってるよな俺…………」 今日も今日とて残業帰りのサラリーマンのようにふらふらしながら重い足取りで、どっぷり日が暮れた後に帰宅の途に付いている。 やっぱり、あの自販機がある公園を使って学生寮までの道のりをショートカットする上条当麻は珍しく、本当に珍しく、今、この場に御坂美琴か白井黒子が現れることを、ある意味、期待していた。 いつもなら、スル―スキルを如何なく発揮させて美琴を激怒させている上条は周囲に気を配ってまで二人に会えることを、最低でもどちらか一人には会えることを望んでいた。 何と言っても、昨日の白井の冗談はあまりにタチが悪すぎた。しかも迫真の演技過ぎた。 おかげで今日の小萌の説教に繋がったと言っても過言ではない。 一言、文句を言ってやらないと気が済まない。 例え、昨日が四月一日だったとしても許すわけにはいかない。 そんなわけで、上条は二人を待つことにした。 もちろん、それは上条の逆恨みでしかないのだが、そんなところまで上条の頭は回らない。 というわけで、自販機に目を移し、 「ちっ……あいつら……こっちが会いたくないときはホイホイ出てくるくせに、今日みたいに待っているときに限って出て来ないのかよ…………」 しっかりと硬貨を入れて、カレースープをすすりつつ、寒空の下で、自販機の前で一時間ほど待ってみたが二人が現れる気配はなかった。 昨日以上に遅くなったがために、部屋に戻っていきなりインデックスに噛みつかれたのは。 さすがに今回ばかりは不幸ではなく自業自得としか言いようが無かった。 「おー感心です。上条ちゃん。今日はちゃんと宿題をやってきたのですねー」 「へっへっへっへ。俺だってやる時はやるんです。ですから今日は…………」 「はい。今日も張り切って補習と行きましょー」 「やっぱりですか…………」 上機嫌な笑顔の小萌に、上条は首をかくんとさせた。 無理もない。 何と言っても昨日出された分は二日分で、やっぱり鬼のような量だったのだ。 いったい「先生にも非がある」と言ったのは何だったのだろう。 とは言え、二日連続でやらない訳に行くわけもなく、上条はほぼ徹夜で仕上げたのだ。 如何に十代、体力が有り余っている高校生でも徹夜は辛いものだ。それが遊びに費やしたならともかく、勉強に費やしたとなればその疲れは倍増する。 「おや? 上条ちゃん、この宿題、ぱらぱら見てみましたけど、ほとんど合ってますよ? 本当に頑張ったんですねー」 「へ?」 「うんうん。上条ちゃんもやればできるじゃないですかー。これで能力開発の方も上向いてくればいいのですが、それはさておきまして、あの最底辺の正解率をここまで上げられるなんて大したものですよー」 「そ、そうですか? ああ、それはきっと先生の教え方が良かったからですよ。マジで感謝します」 「えへへ。ありがとうです上条ちゃん。でも、本人が努力した結果は本人のものなのですよー。先生は生徒のお手伝いをしているだけですから」 今日の小萌はすこぶる機嫌が良さそうだ。もしかしたらご褒美に今日の補習を、口先三寸によっては回避してもらえるのではないかというくらい。 「そうですねー一度、上条ちゃんにはお話したことありましたけど、努力の成果を最高の結果で示してくれたのは常盤台中学の超電磁砲の御坂美琴さんです。何と言っても彼女はレベル1からレベル5に躍進した学生の鏡と言ってもいい存在でしたからねー。上条ちゃんも御坂さんのように、いいえ、むしろ御坂さん以上に向上してくれることを先生は期待してますよー」 (って、ここでも御坂の名前かよ……) 上条はちょっと苦笑を浮かべた。本当にあの女子中学生は有名で学園都市でも模範となる存在なんだと知らされる。 自分と接しているときのあの姿からはまったく想像できないが。 「そうですね。俺もレベル5とは言いませんけど他の成績は引き上げたいです」 「よろしい。というわけで、今日も張り切って補習と行きましょー」 「って、えええええええええええ!?」 「どうしたんです? そんな素っ頓狂な声をあげて」 「いや……その……」 「言ったじゃないですか。先生は上条ちゃんに御坂さんのようになってほしい、と。そして、上条ちゃんも了承してくれたじゃないですかー。でも、そのためにはまずこの補習を全部片付けてからでないと、スタート地点にすら立てませんよー」 ふふん、と鼻を鳴らして、指を立ててまで恍惚に語る小萌の理論展開に上条は完全に敗北した。 今日もまた、二人だけの補習が始まる。 「とうま!」 「あれ? インデックス、お前どうしてここに?」 補習を終え、校門をくぐったところで、上条は意外な出迎えに目をぱちくりさせた。 「決まってるんだよ。毎日毎日毎日毎日遅く帰ってくるし、一昨日は短髪の名前を出したし、昨日はいつも以上に遅かったし、本当に補習なのかどうか確かめに来たんだよ」 両手を腰に当てて薄い胸をふんぞり返らせるインデックスはちょっと怒っていた。 「はぁ……どうせ迎えに来てくれるなら、他校の女子生徒がもじもじしながら『か、上条君、一緒に帰ろ……』と言って恥ずかしそうに近寄ってきてくれるシチュの方がベストですな」 「何か言った?」 「いや何も」 話を打ち切って、上条とインデックスは肩を並べて歩き出す。 しばらく歩くとやっぱり、あの自販機のある公園に入っていた。 「とうま、いつもここから帰ってるの?」 「おう。学生寮までなら表通りに出るよりこっちの方が近いからな」 「そうなの? ふーん。じゃ、今度から私もとうまを迎えに行くときはここを通るんだよ」 「ついでに、この先に自販機があるんでちょうどいい」 「自販機! ということはとうま! 今日は私にも奢ってくれるんだね!?」 「分かった分かった」 そんな馬鹿話に花を咲かせながら二人は自販機へと向かう。 「あ……!」 声を漏らしたのはどちらだったのか。 今日は自販機の前に先客がいた。 既に夜に包まれているのに、上条とインデックス以外にこの場にいる者がいた。 どうやら目の前の相手は何を買うか迷っているらしい。 後ろ姿からでも分かる。 『彼女』は腕組みして首を傾げていたからだ。 亜麻色で肩までの長さの髪。 学園都市では知らない者がいないと言われるベージュのブレザーにチェックが入ったほとんど太ももの付け根までしかない短いプリッツスカート。 冬なのにコートを着ていない、というのはおそらく『彼女』は自身の能力を駆使して、防寒対策が万全だからなのだろう。 その証拠に、バチバチと身体の周りに火花を散らせている。 どちらとも言えないが、漏らした声が『彼女』の耳にも届いたらしい。 少女はゆっくりと振り返った。 その姿は、上条当麻とインデックスの二人が想像していた通りの容姿だった。 学園都市二三〇万人の頂点、七人――――いや、一昨日、新たに一人誕生したようだから八人しかいない超能力者【レベル5】の第三位。 御坂美琴がそこにいた。 「むーっ!!」 インデックスが憤慨して、御坂美琴へとずかずか歩み寄る。 「短髪! とうまに何の用! 私の承諾なしにとうまと会おうなんて絶対許さないかも!!」 ビシッと指を突き付けて、美琴にひとつ文句を付けてから、再びインデックスは肩越しに上条を睨みつけ、 「とうま! やっぱり短髪と会っていたんだね!! 私を待ちぼうけさせておいてこれは許せない……か、も……?」 が、視線の先にいた上条当麻の様子にインデックスの怒りは収まっていき、それはそのまま戸惑いへと変わった。 対する上条は言葉を失っていた。 目の前にいる存在に愕然としたのだ。 姿形は紛うことのない御坂美琴。 しかし、上条には分かる。分かってしまう。 本人と決定的に違う証拠を突き付けられて。 今、目の前にいるのは『御坂美琴本人ではない』ことが分かってしまう。 ヘアカラーと同じ瞳の色が違う。輝きが違う。 「ここ三日ほど、あなたの姿をここで見かけているという情報をキャッチしていました。よって、それを確かめに馳せ参じた次第です、とミサカは運命の出会いに心をときめかせます。ぽっ」 そこにいたのは、学園都市が創り上げた御坂美琴のクローン、 上条からは『御坂妹』と呼ばれる妹達の一人であった。 「口で言うなんてあざといんだよ!」 そんな御坂妹のセリフを聞いて、再びインデックスに怒りの炎が再点火する。 「おや、あなたもいたのですか? 小さくて気が付きませんでした、とミサカはあなたではなく上条さんを見つめながら素直な心情を吐露します」 「また馬鹿にして~~~~~~~~!! 身長は確かに負けてるけど胸の大きさはそんなに変わらないくせに!!」 「むっ……その一言は聞き捨てなりません、とミサカはあなたを睨みつけます。ぷっ、見栄を張るのはどうかと思いますよ、とミサカはあなたの胸部辺りを指差して吹き出します」 「お、おい……インデックス………」 上条は恐る恐るインデックスに問いかけた。 しかしそれは、愛想笑いを浮かべて宥めるものではなく、明らかに顔面蒼白になって。 愕然に体を震わせて。 そして、上条当麻は自分が一昨日、インデックスにした質問の仕方を間違えていたことに気が付いた。 御坂妹は一人称を『ミサカ』と言っている。 ならば「御坂を知っているか?」という質問では、インデックスには「ミサカを知っているか?」に聞こえるのだ。 「……お前の知っている『みさか』って、そっちの『みさか』なのか…………?」 「はぁ? 何言ってるんだよとうま! みさかって言えば、この変な喋り方する短髪に決まってるかも!」 「はぁ……あなただけにはミサカの喋り方について変呼ばわりされるのは心外です、とミサカは思いっきり嘆息します」 「むがあああああ!! また馬鹿にしてえええええええええええ!!」 もっとも、だからと言って、今の上条の恐怖に等しい焦燥はインデックスの鬼のような形相を持ってしても晴れはしない。 「い、インデックス……一昨日と同じ質問だけど、もう少し詳しく聞いていいか………?」 「何!?」 ほとんど恫喝に促すインデックス。 しかし、そんなインデックスでも上条は、『インデックス』には恐怖を感じない。 むしろ、今からする質問の方に恐怖を感じてしまっている。 比べ物にならないほどの寒気に支配された恐怖を。 聞くべきか聞かぬべきか。 いや、だからと言って聞かない訳にはいかない。 賽を投げたのは上条当麻の方だ。 今、取りやめたとしても、インデックスが間髪いれず追及してくるのは目に見えている。 上条は意を決して、 「…………『御坂美琴』って女を知っているか…………?」 対するインデックスの答えは即答だった。 「誰なんだよ!? ひょっとして、とうま、私の知らないところでまた別の女の人とお知り合いになっていたのかな!?」 別の意味でインデックスが追求してきそうな勢いだったが、上条はインデックスの『誰なんだよ』以降の言葉は耳に入っていなかった。 一度でも見聞きしたものは、決して忘れることができない完全記憶能力を持つインデックスが。 上条の周りにいる女子の中でも美琴に対しては、ひときわ対抗心を抱いているインデックスが。 白井黒子が上条と出会ったと言った九月一日に(上条の記憶では)一緒にいたインデックスが。 九月三十日に風斬氷華を助けるために美琴の助けを必要とし、相談したはずのインデックスが。 御坂美琴を知らない、と言ったのだ。 御坂美琴を知らない、と言ってしまったのだ。 そのフレーズが意味することはたった一つ。 今、この世界から。 御坂美琴という存在は消えてしまっている、ということに他ならなかった。 前ページ次ページ上条さんと美琴のいちゃいちゃSS/御坂美琴の消失